ユンカース・カム・ヒア 原作:木根尚登(サウンド夢工房) - 格付:C

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作品:ユンカース・カム・ヒア  
番組:サウンド夢工房  
格付:C+  
分類:日常  
初出:1991年4月1日~4月12日(全10回)  
原作:木根尚登  
脚色:成田勝也  
演出:千葉守  
主演:久我陽子  

瞳(ひとみ)が、ひとりで遊びに行ったロンドンのペットショップで出会ったのは一匹のミニチュア・シュナウザーだった。
すっかり気に入ってしまったその犬・ユンカースを日本に連れて帰ることに決めた瞳だったが、その犬はなんと人の言葉を話せる不思議な犬だったのだ。



本作品「ユンカース・カム・ヒア」はTMネットワークの木根尚登さんによる小説を原作とするラジオドラマです。
木根さんの小説は1990年代に集中してNHK-FMのラジオドラマの題材として取り上げられました。
具体的には、まず1991年1月に単発ドラマとして「キャロル」が放送されたのですが、その際に「次は『ユンカース・カム・ヒア』をラジオドラマ化して」という要望が多かったため制作されたのが本作品なのだそうです(この辺の経緯は、本作品第5回末で簡単に説明されています)。
そして、すぐ後に同じ「サウンド夢工房」で続編「ユンカース・カム・ヒアⅡ」(1991年)がラジオドラマ化されたほか、後番組の「青春アドベンチャー」では「夢の木」・「武蔵野蹴球団」(ともに1993年)及び「P」(1997年)が取り上げられました。
同時期に、同じように本業がミュージシャンである谷山浩子さんの作品も多くラジオドラマ化されましたが、谷山さんの作品は青春アドベンチャー時代になるとパタッと取り上げられなくなりますので、この点では木根さんとは対照的です(ただ谷山さんは青春アドベンチャーでは「おしまいの日」で役者として主演されていますが)。
これほど多くの作品が取り上げられた原作者さんは、長いNHK-FMの帯ドラマの歴史を見ても数少ないのですが、実は全6作品とも千葉守さんの演出作品であり、とくに千葉さんが木根作品を重用していたことがわかります。

当ブログでは、本作品「ユンカース・カム・ヒア」を紹介したことにより、6作品のうち音源を所有していない「ユンカース・カム・ヒアⅡ」を除く5作品を紹介することができました。
できたのですが…
ファンの方、すみません。
世間的な高評価とは別に、個人的にはあまり合わない作品が多かったというのが正直な感想です。
そしてそれはこの「ユンカース・カム・ヒア」でも同じ。
個人的にはまず犬がしゃべるというのがダメ。
ユンカースの声はアニメ作品にも多く出演されている上村典子さんが担当されているのですが、これが普通の少年っぽい声としゃべり方。
動物がしゃべるという点で似たような作品だった「P」も同じなのですが、特に本作品は単に犬が人間の言葉をしゃべるだけではなく、考え方や行動原理までが人間と同じということが気持ち悪い。
確かに「犬は人間の最古のパートナー」であり、犬ほど人間と相性の良い動物はいないでしょう。
しかし、それは犬が元々持っていた「群れのルールに従う」という習性が、人間の行動様式にたまたまうまく嵌まっただけであり、犬が人間と同じ思考様式を持っていると考えるべきではないと思います。
獣と人間の間には深い断絶があり、人間から受けるのと同種の愛情を動物に期待するのは、正直、センチメンタルにすぎると思います。
私とて、動物が自分の気持ちを理解してくれたら、人間が動物の気持ちを完全に理解できたらどんなにいいだろう、とは思うのですけどね。
いずれにしろあまりにもユンカースの思考が人間そのものなので、「実はユンカースはロボットで人間が遠隔で操作しているのではないか」とか「ユンカースの台詞はすべて瞳の妄想だったとかいうトンデモないオチがあるのではないか」とか、あらぬ展開まで妄想してしまったのですが、もちろんそんなことはありませんでした。
ただ、物語が少しサスペンス調になった後半、ユンカースが唐突に後出しじゃんけんのような特殊能力を使い出してきたあたりは確かに予想外。
しかし、その特殊能力「3つの奇跡」の落ち着く先、すなわち物語の「オチ」が多少の想像力があれば予想できてしまうのがイタイ。
そもそもその終盤の展開全体が、いわゆる「お涙ちょうだい」的であることも残念でした。
その他にも、
「イギリスでペットショップで犬が買えるのか」(動物愛護先進国のイギリスでは、犬はブリーダーから直接買うのが当たり前。20年前は違ったのか?)とか、
「ユンカースという言葉には「爆撃機」のイメージしかないようだけど、その前にドイツの人名であるとか、ユンカー(地主貴族)が語源とかは想像しないの?」とか、
「順おじさん(瞳の叔父で大山尚雄(ひさお)さんが演じる田代順)は、姪を心配するのはいいとして、四六時中、作品に登場していて仕事(レコード会社勤務のハズ)は大丈夫なの?」とか、
突っ込みどころは満載です。
それでも最後に作品タイトルにつながって綺麗に終わる畳み方だけはちょっと気に入りました。
格付けの「+」はその分です。

そして気になるといえば登場人物(人間たち)の性格も気になる。
まず、女優・歌手の久我陽子さん(青春アドベンチャーの「ロンリー・ランナー」ではヒロインを演じていらっしゃいました)が演じる主役の麻生瞳(あそう・ひとみ)は、一言で言えば、世間知らずのお嬢様。
父親と暮らすか母親と暮らすかの選択を迫られて出した答えが「ロンドンに留学する」だなんて、予想の斜め上をいっています…
主人公の母親であるジャズシンガーの久美子(演じるのは宝塚歌劇団・元花組トップスターの順みつきさん)も、娘のことを考えて引き取りたいなどと口では言いつつ、実は自分が一緒にいたいだけというわがまま一杯の女性。
そもそも親権の取得に関しては異常に女性有利な日本で、離婚時に瞳の親権がとれなかったという時点で、離婚時の久美子の素行不良の程度が推測できようというものです。
一方の森本レオさんが演じる父・秀一郎も、仕事熱心すぎるのはともかく割とまともな父親かと思いきや、瞳が母親のところにいく可能性が出てくるや否やプッツン。
見苦しいと言ったらありゃしません。

などと後ろ向き事ばかり書いてしまってすみません。
今回、記事にするために聴くに当たり、アニメ化もされた人気作ということで過剰な期待をしてしまったことの反動なのかもしれません。
ご気分を悪くされた方がいらっしゃいましたらお詫びいたします。
本記事はあくまで個人の感想ということでご容赦を。
それにしても、やはり先入観なくフラットに聞かないといけませんね。

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Hirokazu
Posted byHirokazu

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