BANANA・FISH パート3 原作:吉田秋生(青春アドベンチャー) - 格付:AAA

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作品:BANANA・FISH パート3  
番組:青春アドベンチャー  
格付:AAA-  
分類:活劇  
初出:1995年6月26日~7月7日(全10回)  
原作:吉田秋生  
脚色:じんのひろあき  
演出:川口泰典、芦田健  
主演:古澤徹  

コルシカマフィアのボス、ディノ・ゴルツィネが企んでいたのは、新種の幻覚剤バナナフィッシュによる裏社会、そして合衆国の支配だった。
ただひとり、ゴルツィネに逆らったストリートキッズのボス・アッシュ・リンクスも、唯一の信頼する友人・奥村英二を人質に取られ、ジャーナリスト・マックスが公表しようとしていたすべての情報とバナナフィッシュの産みの親ドーソン博士、そして何より彼自身の身柄をゴルツィネに引き渡さざるを得なくなってしまった。
何度もアッシュに煮え湯を飲まされてきたゴルツィネは今度は決してアッシュを逃がさないだろう。
そしてアッシュに立ちはだかる最強のふたりの敵。
遂に訪れたアッシュ最大の危機。
しかし、絶望的な状況からアッシュと彼の仲間たちの反撃が始まる。



吉田秋生さんの名作「BANANA FISH」。
この漫画を原作として、青春アドベンチャーにて1994年から3回に分けて放送されたラジオドラマの最後の1作が、この「BANANA FISH パート3」です。
といっても、分けて放送されたのは第1作だけで、この「パート3」は「パート2」と連続して放送されたんですけどね。

さて、青春アドベンチャーでは数少ない全30回に及ぶ長編もこの「パート3」で完結。
第1作はバナナフィッシュの謎を探るサスペンス要素が強く、「パート2」では多数の勢力が絡み合う陰謀劇的な要素が強かったのですが、大詰めの「パート3」では対立関係もかなり明確化し、いよいよ「アクション!」
「パート3」の、特に後半は、派手な展開が続きます。
「パート2」の途中まではアッシュが、裏の書きあいやアクション面であまりに有能だったため興ざめの印象がありました。
しかし、「パート2」の途中から登場し特殊工作員としての能力ではアッシュの上位互換ともいえるブランカ(アッシュの師匠)や、部下も含めた総合的な戦闘力でアッシュグループを圧倒するフォックス大佐の登場により、アクションの緊張感も大幅にアップ。
腹を括ったゴルツィネの態度もあり、アッシュにとってギリギリ戦いが続くため、まさにあっという間の150分間です。

ここまで生き残ってきたその他の登場人物たちもそれぞれ輝きを見せます。
荒事は全くできないのにアッシュの危機に自ら飛び込んでいく英二。
ショーターからチャイニーズのボスを引き継いだシンは、ボスという立場に苦悩しながらも男前な発言を連発。
マッドサイエンティスト・マナーハイムは相変わらず気持ち悪く、コンプレックスで鬱屈したラオの言動はどんどんめちゃくちゃになっていきます(笑)。
彼らの愛憎と打算が、銃弾が飛び交うなか、どこに行きつくのか。
それは原作を読むか、このラジオドラマ(青春アドベンチャーには珍しくCD化されています)を聴いてのお楽しみにしましょう。
なお、この「BANANA FISH」は2018年にアニメ化も予定されています。
そちらで確認するという手もありますね。

さて、本作品のスタッフを紹介しますと、まず演出が芦田健さんと川口泰典さん。
このコンビで「BANANA FISH」シリーズのほか、「ウォッチャーズ」、「あの夜が知っている」、「カルパチア綺想曲」など12作品を演出されています。
2016年にはお二人が演出された「盗まれた街」(松重豊さん主演)が約20年ぶりに再放送されています。
また、脚色を担当したのは「じんのひろあき」さん。
確かに全30回は青春アドベンチャーはかなりの長編ですが、原作は全19巻ととてもボリュームが大きい。
じんのさんは原作の要素の取捨選択が巧みな方ですが、本作品でもその力はいかんなく発揮されています。
まず、登場人物の役割分担の整理。
ジャーナリスト・マックスの妻ジェシカは原作では終盤までそれなりに存在感があるのですが、このラジオドラマ版パート3では出番なし。
そもそもマックスや、カメラマン伊部、黒人グループのボス(ケイン)もかなり出番を削られています(ケインは絵がないラジオであるため黒人であるインパクトが生かせないという面もある)。
結果、このパート3に関して言えば、主人公アッシュとヒロイン(?)英二、そして敵役のゴルツィネ、ブランカ、フォックス大佐のほかは、チャイニーズのシンと李月龍(リー・ユエルン)を合せた7人で話を回すような形になっています。
ストーリー上はこれで十分ですし、これ以上減らすと話が大幅に変わってしまったでしょう。
逆に守るべきところはしっかり守る。
例えば終盤のシーン。
アッシュとブランカとの会話や、エイジの手紙(豹の下り以外)はほぼそのまま採用しており、シリーズ全体の締めくくりは順序こそ再構成していますがおおむね原作に沿う形になっています。
ただ、個人的には、最後のラオ登場シーンがやや唐突だったことと、図書館のシーンと「いい夢みたいね」のセリフがなくなってしまったのは残念です。
演じた古澤さんの声もあって、全般的に本作品のアッシュは原作より肉体派で、知的な印象が少ないのですが、それはこういったシーンの再構成も影響しているように感じます。
なお、この「原作の取捨選択」については、じんのさんとしてもご苦労をされていたようで、twitterに以下のコメントいただきました。



最後に出演者について。
第1作、「パート2」の記事で散々、原作とイメージが違うと書いてしまったのですが、決して大幅に違うわけではないですし、そもそも原作から入った人でなければ何の違和感もない配役だったのではないでしょうか。
古澤徹さんのちょっとチンピラっぽいアッシュも、まあ実際アッシュはチンピラ(自称「街のダニ」)ですし、絵がないなかでは、いたしかたない範囲ではあります。
それに古田新太さんのブランカのカッコイイこと。
これだけカッコイイと、実際の古田さんを見るとがっかりしちゃうかも知れないくらいです。
あづみれいかさんのシンもいいな。
ただ、何となく悟(「わたしは真悟」)を思い出しちゃうのが難点かもしれませんが。
最後にシリーズ途中で交代した出演者もいるので出演者の一覧を載せておきたいところですが、ごちゃごちゃしちゃうので別の記事にしたいと思います。
少しだけ補足しておくと、この「パート3」で初登場したフォックス大佐はなんと佐々木蔵之介さんが演じているんですよね。
生瀬勝久さん、橋本潤(橋本じゅん)さん、佐々木蔵之介さん、古田新太さん、と当時はあまり有名ではなかったけどその後有名になった方がいっぱい出演されている作品です。

さて、冒頭にも少し書きましたが、この「BANANA FISH」シリーズ全30回は、青春アドベンチャー系列の番組の長い歴史の中でも8番目の長さの大長編
よく考えれば「ファック」なんてセリフ連続の作品をNHKが良く30回もやったものです。
何はともあれ、紹介し終えた感慨は大きいのですが、改めて考えてみると、本記事をもって「BANANA FISH」に限らず、青春アドベンチャーの全30回以上のすべての作品を紹介し終えたことに気が付きました。
2012年にブログを始めてもう5年以上。
ようやくたどり着いたことに満足感はあるのですが、一方で寂しい気持ちもします。
まあ、これからも新しい長編が作られていくのだとは思いますけど。

【じんのひろあき脚本の他の作品】
スピーディーな展開、的を絞った見せ場。
青春アドベンチャー初期の名脚色家・じんのひろあきさんの担当作品一覧はこちらです。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。こちらをご覧ください。傑作がたくさんありますよ。

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Hirokazu
Posted byHirokazu

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