ロスト・ワールド 原作:アーサー・コナン・ドイル(青春アドベンチャー) - 格付:AA

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作品:ロスト・ワールド
番組:青春アドベンチャー
格付:AA-
分類:冒険(秘境漂流)
初出:1997年6月30日~7月11日(全10回)
原作:アーサー・コナン・ドイル
脚色:福田卓郎
演出:岩谷可奈子
主演:古川登志夫  

新聞記者エドワード・マローンは焦っていた。
恋人のグラディスに求婚したが、グラディスは大きな事をやり遂げた名のある人物としか結婚したくないという。
とにかく大きな事件を扱いたい。
部長に直談判したマローンが得た指示はチャレンジャー教授なる奇妙な老人のもとへ赴くことだった。
チャレンジャー教授は先年、アマゾンを旅行した際に何かとんでも場所ととんでもない生き物を見つけたようなのだ。
血気に逸るマローンと、自分の発見を世間に認めさせたい暴走老人チャレンジャー教授、そしてチャレンジャー教授と犬猿の仲のサマリー教授、そして冒険家のロックストン卿の一行は、アマゾン奥地にある「進化から取り残された失われた世界」へと冒険の歩を進める。

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2013年3月5日に他界された俳優・声優の納谷悟朗さんの追悼企画として、今回と次回は納谷悟朗さん出演作品を取り上げます。
納谷さんは「ルパン三世」シリーズの銭形警部役や「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長役で著名であった方で、これらの作品世代の人間にとっては納谷さんが死去されたことはとても衝撃的で感慨深いと思います(ルパン三世出演者についてはこちら)。
考えてみると「ルパン三世」の主人公ルパン三世役を演じていた山田康雄さんは既に他界されています。
また、納谷さんが沖田艦長役を演じた「宇宙戦艦ヤマト」と、メルカッツ提督役を演じた「銀河英雄伝説」の双方で主人公(「宇宙戦艦ヤマト」の古代進、「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリー)役を演じた富山敬さんもすでに他界されています。
富山さんは両方の作品で、年長の大先輩である納谷さんの役を敬愛する役を演じていましたので、富山さんがなくなられたときは、少し順番が違うのではないかと感じたのですが、ついに納谷さんにも順番が来てしまったようです。

さて、青春アドベンチャーへの納谷さんの出演作品としては「王の眠る丘」、「完璧な涙」、「虹を操る少年」などがありますが、本記事では主役級の活躍をする「ロスト・ワールド」を取り上げます。
本作品の原作は、名探偵シャーロック・ホームズシリーズの作者として有名なサー・アーサー・コナン・ドイルの書いた冒険小説です。
ドイルは推理小説草創期の大家として有名ですが、同時にいくつものSF小説の古典をものにしています。
特に1912年(ほぼ100年前です!)に書かれた本作は古典中の古典として有名で、後にスティーブン・スピルバーグ監督で映画化されたマイクル・クライトンの「ジュラシック・パーク」などに大きな影響を与えた作品です(ちなみに「ジュラシック・パーク」も青春アドベンチャーで放送されています)。
ご多分に漏れず私も幼い頃は恐竜大好き少年でしたが、「ロスト・ワールド」(当時は「失われた世界」というタイトルだったと思います)も小学校の図書館で借りてきて興奮して読んだ覚えがあります。
でも本作は実は恐竜ものの部分より、特に後半は現地人?との戦争ものとしての側面が強い物語ではあります。
それにしても改めて聴いてみると、正に古典の名にふさわしい王道の展開です。
アマゾン奥地の謎の台地へ到着。
やっと辿り着いた台地で絶たれてしまう退路。
謎の生物の来襲。
現地人同士の争いに巻き込まれる。
そして奇想天外な脱出方法(結局失敗)。

21世紀の現代に聴くとあまりにコテコテで飛び抜けた奇抜さはないのですが、それはこのような原典があって、後のフォロワーがマネをしまくった結果だと思います。
山田正紀さんなどは本作品へのリスペクトから意識的に真似している部分もあるようです(ツングース特命隊など)。
20世紀初頭の作品発表当時は今よりもずっと地球の多くの部分が謎に包まれていた時代。
当時の人たちは今では想像できないほどわくわくしながらこの物語を読んだのではないでしょうか?
ちなみに青春アドベンチャーでは冒険小説的な要素があるものに限定されますが、発表年代がやや古いいわゆる世界の古典といわれる作品を時々放送しています。
本作もそうですし、以前紹介した「失われた地平線」などもこれにあたります。

この作品のおもしろさは舞台設定の巧みさもさることながら、個性豊かな登場人物達にもあります。
恋人に振り向いてもらうためにいきなり人跡未踏のアマゾンの奥地に行ってしまう新聞記者マローンも大概ですが、実際に冒険行が始まってみると、マローンすら一行の中では明らかに常識派に属する扱いです。
とにかくチャレンジャー教授とサマリー教授の二大暴走老人が大騒ぎをしまくります。
ダミ声でひたすら自己主張を続けるチャレンジャー教授。
それに対して常に反論するサマリー教授。
逆にサマリー教授が意見を述べれば今度はチャレンジャー教授が噛みつく。
どんなピンチの状況でも学問的対立をあらわにして論争を始め更なる危機に陥ってしまう始末。
チャレンジャー教授はもちろんうるさいのですが、サマリー教授もやたらとことわざを引き合いに出し煩わしい。
煩わしいと言えば、熟練の冒険家で一行の中で最も実務的で頼りになるロックストン卿も物事の判断に当たって「ジンクス」を持ち出し、皆をうんざりさせることもしばしば。
この困った一行の雰囲気をより上手く表現しているのがベテラン出演陣さん達の演技です。
チャレンジャー教授役の納谷さんは序盤こそマシンガンのようにしゃべり続けるこの役に少し気後れ気味でしたが、途中からは感情を自在に込めた話しぶりで、この困った頑固老人を巧みに演じています。
一方のサマリー教授役の西村淳二さんとの掛け合いは絶妙で、ほとんどギャグの領域にまで入りつつあります。
西村さんと言えばアドベンチャーロード時代の「妖精作戦」のキーラー司令官がまず思い浮かびます。
キーラー司令官はあまり出番の多い役ではありませんでしたが、この「ロスト・ワールド」では全編しゃべりっぱなしです。
そしてマローンを演じるのは声優の古川登志夫さん。
「機動戦士ガンダム」のカイ・シデン(ガンダムの出演者についてはこちら)、「うる星やつら」の諸星あたる、「銀河英雄伝説」のオリビエ・ポプランなど癖のあるいい加減な性格(ただしどの役も単なるいい加減な人間ではない)の役をやらせたら天下一品の名優です。
本作では序盤こそやや暴走気味であるものの、中盤以降はロックストンとともに頑固老人達のお守りに一杯一杯な感じが素晴らしいです。
ちなみにロックストン役は演劇集団円の舞台俳優・井上倫宏さん。
声優としての活動も積極的にされている方で、知的な声がロックストンにぴったりです。
ちなみに井上さんは最近の作品では「月蝕島の魔物」で小説家アンデルセンの役で出演されていました。
このアンデルセン役はロックストン卿とは全く違った小心でビビリの役で、ちょっと驚きです。

基本的に何か深遠なテーマがある作品ではない(と思います)ので、全編、冒険物語として肩が凝らずに楽しく聴ける作品です。
特に全盛期を彷彿とさせる納谷悟朗さんの本作後半でのしゃべりっぷりが必聴の作品です。


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Hirokazu
Posted byHirokazu

Comments 2

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コン  
楽しい!

この作品はスリルがあって聴いて楽しかったです!教授たちの遣り取りも面白かったです。

2016/12/05 (Mon) 11:45 | EDIT | REPLY |   
Hirokazu  
Re: 楽しい!

コンさま

コメントありがとうございます。
ホンと、この作品は良きょじゅのための作品ですよね。
ただ納谷悟朗さんも西村淳二さんも他界されているのが残念です。

2016/12/07 (Wed) 00:25 | EDIT | REPLY |   

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