青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

トゥー・ラブ・アゲイン~若き文学者たち 作:森治美(ふたりの部屋)

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Hirokazu
作品 : トゥー・ラブ・アゲイン~若き文学者たち  
番組 : ふたりの部屋  
格付 : B+  
分類 : 恋愛  
初出 : 1983年3月28日~4月1日(全5回)
作  : 森治美  
演出 : (不明)  
主演 : 風間杜夫、岡本舞  

岡山県にある竹久夢二の成果に向かう途中に出会った、「29歳のおじんに片足を突っ込んだ」男性と、自称「20歳の大学生」の女の子。
ふたりは成り行きで、文学者に縁のある土地を巡る「文学の旅」で中国地方を巡ることになったのだが…



本作品「トゥー・ラブ・アゲイン~若き文学者たち」は、NHK-FMで1978年から1985年まで放送されていた「ふたりの部屋」で放送されていた作品です。
全体として、男女ふたりが中国地方を旅しながら作家のゆかりの地を巡る構成のラジオドラマになっており、このふたり、「やの・あきら」と「ふじさわ・るみ」(ともに漢字は不明)を風間杜夫さんと岡本舞さんが演じています。
そして本作品では、同時に回ごとにテーマとなっている作家のドラマ(著作の再現という形式を取ったり、単に再現ドラマ的に放送したり)が挟み込まれるのですが、このいわば「劇中劇」の主人公(つまりその回の作家さんとその相手方)もこのおふたりが演じています。
というか本作品の出演者はこのおふたりだけであり、かつ男性作家も女性作家も取り上げられているので、ほぼイコールの立場でおふたりが主演、といっていい作品だと思います。

さて、本作品で訪ねた土地、、各回のタイトル、取り上げている作家と(余計なお世話かも知れませんが)各作家の概要紹介も含めて一覧にすると以下のとおりです。
なお、舞台が中国地方限定なのは、本作品を制作したのがNHK広島局だからだと思われます。

土地タイトル作家
1岡山二人の出逢い竹久夢二夢二式美人画で有名な画家・詩人。「夢二をめぐる3人の女性」は有名。
2尾道二人に愛が?林芙美子代表作は「放浪記」。激しい性格で毀誉褒貶も多かった。
3鳥取母と妹三木露風作詞家として北原白秋と並び称された。代表作は山田耕筰作曲の「赤とんぼ」。
4松江愛のゆくえ小泉八雲ラフカディオ・ハーン。出版社の通信員として来日し終生日本で過ごした。
5山口トゥー・ラブ・アゲイン中原中也30歳で早逝した天才詩人。「汚れつちまつた悲しみに……」はあまりに有名。

本作品は文学者の生涯や作品を紹介することがメインとなっている作品ではありますが、各回のタイトルを見るとわかるとおり、主人公ふたりのストーリーも少しずつ進行していきます。
もともと、どこかぎくしゃくとした旅を続けていたふたりではありますが、そもそも作中で語られる作家たちのエピソードが基本的に恋愛絡みであることもあり、そういった逸話について話している中でふたりの関係は少しずつ変化を見せていきます。
特に終盤その傾向は強くなり、あきらの目的地でもある故郷の山口についた時点でクライマックスを迎える…ような、向かえないような…
まあこの辺は聴いてのお楽しみでしょうか。
なお、上記の各回タイトルはネットで検索(参考:外部サイト)して見つけたものです。
当時のラジオ・テレビ欄に記載されたものなのかも知れませんが、検証しようにも本作品には原作がない(2017年に他界された脚本家の森治美さんによるオリジナル)ため確認は困難です。

さて、出演者は上記のとおり風間杜夫さんと岡本舞さんのおふたり。
本作品が放送されたのは1983年3月ですので、風間さんの出世作となった映画「蒲田行進曲」(1982年)公開の翌年、そしてお茶の間における風間さんの認知度を大きく上げたTVドラマ「スチュワーデス物語」(1983年10月~1984年3月)の放送直前の時期にあたります。
一方の岡本舞さんも1981年の朝ドラ「なっちゃんの写真館」(星野友子さん主演)で注目を浴びて2年後。
とても旬の出演者を採用した作品だったと言えると思います。
ふたりとも中国地方には特に関係はないようですが。



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手をつないだまま さくらんぼの館で 原作:令丈ヒロ子(青春アドベンチャー)

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Hirokazu
作品 : 手をつないだまま さくらんぼの館で  
番組 : 青春アドベンチャー  
格付 : B+  
分類 : 恋愛  
初出 : 2019年5月27日~6月7日(全10回・予定)
原作 : 令丈ヒロ子  
脚色 : さわだみきお  
演出 : 佐々木正之  
主演 : 熊谷魁人  

僕、学生作家のモドリ野颯太(もどりの・さった)は、入院した遠縁のおばあさんに代わって白桜館(はくおうかん)なる洋館を住み込みで管理することになった。
洋館と言っても木造2階建て小さなもの。
大学休学中という暇な身にとっては、管理などお手のものだ。
そもそも、リア充高校生を主人公にしたお手軽な青春小説がいつまでも売れ続けるとは思えず、大学を休学して本格的に執筆に専念したいと思っていたところだったのだから、学生作家の身には不相応な平穏な執筆環境を手に入れられると思えば大歓迎、むしろ渡りに舟、まさに夢のような話だ。
でも平穏な生活は長くは続かなかった。
ある日突然、家原りりな(いえはら・りりな)と名乗る10歳の少女が現れたのだ。
彼女がいうには、りりなはおばあさんの孫で、そのおばあさんに白桜館に住むように言われたのだから、同じようにおばあさんから館の管理を任された颯大にはりりなを世話する義務がある、らしいのだが…



本作品「手をつないだまま さくらんぼの館で」は、講談社青い鳥文庫「若おかみは小学生!」シリーズで人気の令丈ヒロ子(れいじょう・ひろこ)さんによる小説をラジオドラマ化した作品です。
「講談社青い鳥文庫」は、目がキラキラした漫画っぽい表紙絵に挿絵も満載のジュニア向けの新書版レーベルです。
スノッブな「本好き」からはほぼ黙殺されているようなレーベルですが、「若おかみは小学生!」シリーズは累計300万部と大ヒットしている作品。
さぞかし小学生には人気なのでしょう。
日本の大衆文学界って所詮エンタメ分野である割には権威主義的かつ保守的で、なんかみえないヒエラルキーみたいなものを感じます。
時代ものはOKだけどSFはダメとか、ライトノベルとかジュニア向けはもっとナシとか。
実際、SFはなぜか一度も直木賞を受賞したことがありませんし、ラノベやジュニア向け小説なども当然ない。
でも例えば村山由佳さんのようにこういうジャンル出身の小説家も別ジャンルでならちゃんと受賞している。
なんか笑っちゃう状況ですが、その点、青春アドベンチャーはあまり拘りがない。
例えば、1980年代(前身番組時代)から少女小説(例えば「夢みるように愛したい」)やライトノベルの元祖(例えば「妖精作戦」)などを積極的に採用してきましたし、最近は同人小説まで手を広げています。
いわゆる「なろう系」まで手を出すのも時間の問題かも知れない。
「なろう系」、私、個人的にはほとんど興味はないのですが、番組スタンスとしては是非、積極的であって欲しいものです。

さて、本作品の主人公の颯太も、そういう日本文学界のヒエラルキーやカーストを感じているのか、なぜか自分の執筆作に自信のない学生作家です。
というのも、彼の作品は彼自身が自嘲気味に「日常の他愛もない出来事を描く」「のんきでちょっと泣ける学園もの」で「芸術的価値もないし、勉強にもならないし、ハラハラドキドキもしない」、「一冊2時間程度ですいすい読めちゃう」という作品。
確かに、リア充高校生の日常なんて特に読みたいとは思いません。
だから、私自身、リア充(?)大学生・颯太が、突然現れた少女に振り回されるハートフルコメディーなんてものにも特に興味はない…といいたいところですが、本作品は実はそういう作品ではないようです。
序盤は白桜館(「はくおうかん」。どこかの都立高校みたいな名前ですね)なる洋館を舞台にほのぼのとしたタッチの物語が展開されます。
一瞬、「家守綺譚」か!…と思ったのですが、実際は「家守綺譚」以上に超常的な事柄も起きず毒にも薬にもならない展開。
ところが第4回に突如、展開が急変。
正直ここが前半の折り返しであってもいいくらいの急展開です。
そして、前半最後の第5回は急変した第4回を受けての状況説明回で、以降はこの回の状況を前提にストーリーは進みます。
ただ、前半終了間際にサスペンス的な展開も行けそうな雰囲気だったので、後半、もう一転、二転あるかなとも思ったのですが、そういう作品ではありませんでした。
…いや実はあったのかな?
最後、颯太の夢の中に、颯太が知らないはずの内容が出てきたことは、捉えようによっては隠された真相、あるいはファンタジックな要素の介在を暗示しているのかも知れません。
ただ正直、そこまで深読みしたくなる気分にはならず、単純な悲恋ものとして受け取っていましたが。

そうそう、そういえばこの作品、このブログでは「恋愛」ジャンルに分類しています。
冒頭の紹介を読んだ方の中には「大学生と小学生」で「恋愛」ジャンルって大丈夫なの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
最近の青春アドベンチャーって、腐向きの作品とか、百合古典文学とか結構、その方面で攻めていたりもしますし、「夏の魔術」シリーズも何気に結構怪しかったですし。
でも…セーフ!セーフなのです、これ。
なぜセーフかを書きたいところですが本作品のストーリー展開の根幹にかかわるところなので、残念ながら省略せざるを得ません。すみません。
ただまあ、リアルの小学生の子をもつ父としては、「いつもくっついていた」とか微妙な気持ち悪さはぬぐい切れませんが。

さて、出演者はまず主役の颯太を演じるのは俳優の熊谷魁人(くまがい・かいと)さん。
「虚構の劇団」や「俳優集団「劇☆男」」といった舞台を中心に活躍されてきた方で、青春アドベンチャーは恐らく初出演だと思われます。
とても爽やかな語り口の方ですね。
また、ヒロイン?の家原りりな役は大川春菜さん。
役の年齢より少し上の13歳(2006年生まれ)。
年齢的にはまだ子役さんですが、すでにTVドラマ、映画などに多くの出演歴があるようです。
その他、内田健介さん(「おいしいコーヒーのいれ方」)や梅舟惟永さん(「金魚姫」)といった、過去作で主役級の役を演じていらっしゃった方が、序盤に端役で出てくるのが特徴です。
これって後半で重要な役で再登板があるのでは?と思っいながら聴いていたのですが、案の定でした。
特に梅舟さんは後半の超重要な役を演じていらっしゃいます。




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