青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

カルパチア綺想曲 原作:田中芳樹(青春アドベンチャー)

作品:カルパチア綺想曲
番組:青春アドベンチャー
格付:AAA-
分類:活劇
初出:1994年11月7日~11月18日(全10回)
原作:田中芳樹
脚色:香取真理
演出:川口泰典、芦田健
主演:大輝ゆう

1898年、ロンドン。
ジョー・アッテンボローは「ロンドン絵入新聞」で駆け出しの新聞記者をしている17歳の女の子だ。
父親の元英国下院議員ジェラード・アッテンボローは、選挙に落選した後、見聞を広めると称して、ジョーを放り出して外国に出かけてしまった。
ジョーは父親の所業に呆れつつも、一流のジャーナリストになることを夢見て、毎日、ゴシップ記事の取材に駆け回っている。
ある日、放蕩親父のジェラードが、突然、女連れで帰国してきた。
伊達と酔狂で生きているような父親に反発するジョー。
しかし、続いてハンガリーの大貴族・ヴルム伯爵の息子、イオンがジェラードを尋ねてやってくる。
ハンガリー独立運動の旗手であるヴルム伯爵がオーストリア・ハンガリー二重帝国に幽閉されてしまったというのだ。
これがジョーの大冒険の幕開けであった。

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「銀河英雄伝説」で有名な田中芳樹さんの小説を原作としたラジオドラマです。
田中さんは青春アドベンチャー系列のNHK-FMのラジオドラマに非常に多くの作品が取り上げられている人気原作者さんです。
本作は、ジョーとその先輩である新聞記者アランが、破天荒なジェラードとその妻・蘭花(ランファ)とともに、伝説と迷信が残るヨーロッパの辺境・トランシルバニアに赴き、大冒険を繰り広げる話です。
怪奇と幻想に彩られた話であり、吸血鬼伝説や人食い狼などが道具立てとして使われていますが、基本的には超常現象は起こらない健全・合理的な冒険物語です。
また、「西風の戦記」や「夏の魔術」などと同じようにいかにも田中さんらしい辛辣なセリフも随所に登場しますが、辛辣なセリフといっても嫌味になるほど多用されているわけではないので、テンポのよい冒険活劇として単純に楽しめます。
ただ、個人的な感想としては最終話最後の恋愛シーンはちょっと唐突だった気がします。
小説のラジオドラマ化ではラジオドラマとしてのテンポを重視すると、ある程度内容を省略した脚本にせざるを得ない傾向があるように感じます。
もちろん恋愛自体がテーマの作品であればそんなことはないのでしょうが、本筋に関係ないちょっとした男女のやり取りや心の移り変わりなどはどうしても省略されがちであり、エンディングが少し唐突になってしまうことになります。
青春アドベンチャー初期の名作「北壁の死闘」ですら少しだけその傾向がある気がします。
本作の格付けの「-」部分の理由の一つはその部分です。
なお、田中さんのファンであれば、主人公の「アッテンボロー」という姓を聞くと当然思い出すのが「銀河英雄伝説」のダスティ・アッテンボローだと思います。
本作のアッテンボローたちも「面白いことが最大の原動力」、「ジャーナリスト志向」、「野党気質」、「トラブルメーカー」などダスティ・アッテンボローと共通する性格であり、ひょっとして彼らはダスティ・アッテンボローの祖先なのか?などと想像させられるのは原作者のちょっとしたファンサービスだと思います。

出演者は主役のジョーが宝塚出身の大輝ゆうさん。
五番目のサリー」のノラ役や「ジュラシック・パーク」のエリー役が印象的ですが、本作では理知的なノラと異なり、活動的でボーイッシュで元気な役です。
その他、真の主役ではないかというほど大活躍する父親のジェラードが海津義孝さん。
海津さんといえばやはり「ジュラシック・パーク」のタイトルコール&グラント役。
その他、先輩記者のアラン役の古澤徹さん、蘭花役の前田悠衣さん、そして、物語のキーパーソンであるハンガリー貴族イオンの舵一星さんなど、青春アドベンチャー初期を象徴するような常連出演者さんがそろい踏みです。
個人的には活劇シーンのジェラードはもう少し抑えた感じで(キャラクター自体十分、人を食ったような感じなので)、一方、ジョーはもう少しボーイッシュなイメージで、演じていただいた方がイメージとあっていたと思うのですが、全般的に出演者の皆さんがとても手馴れており、安心感のあり配役です。
ちなみに、個人的な一押しはノイマン中佐役の加藤忠可(ただよし)さん。
「北壁の死闘」ではタイトルコール&クルト・ヒュッサー役を担当され、出番が少ない割りになぜか気に入っていたのですが、本作でも有能、理知的かつちょっとだけ厭世的な感じのノイマン中佐が非常に好印象です。

【田中芳樹原作の他の作品】
西風の戦記
月蝕島の魔物
髑髏城の花嫁
夏の魔術
窓辺には夜の歌
バルト海の復讐

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。




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テーマ:ラジオドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

コメント

イオンとの戦闘シーンは音声では想像するのが難しかった気がします。そしてラジオドラマだからか展開が早かったですね。
ところで「(キャラクター自体十分が人を食ったような感じなので)」の「十分が」は「十分」じゃないですか?

  • 2017/01/06(金) 12:13:27 |
  • URL |
  • コン #-

Re: タイトルなし

コンさま

コメントありがとうございます。

> イオンとの戦闘シーンは音声では想像するのが難しかった気がします。そしてラジオドラマだからか展開が早かったですね。

確かに展開が速いですね。
全10回だと、長編小説をラジオドラマ化するとどうしても窮屈になってしまいますね。
どこをどのように端折るかは脚本家の腕の見せ所だと思います。
う屈であるため、どこかを端折らないといけない


> ところで「(キャラクター自体十分が人を食ったような感じなので)」の「十分が」は「十分」じゃないですか?

ご指摘のありがとうございます。
直しておきますね。

  • 2017/01/07(土) 10:17:06 |
  • URL |
  • Hirokazu #-

う屈って何ですか?

  • 2017/01/08(日) 03:13:15 |
  • URL |
  • コン #-

最後の1行は消し忘れです。気にしないでください。

  • 2017/01/08(日) 09:57:44 |
  • URL |
  • Hirokazu #-

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