青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

韓国・鉄道・グルメの旅 原作:辻真先(カフェテラスのふたり)

作品:韓国・鉄道・グルメの旅
番組:カフェテラスのふたり
格付:B
分類:日常
初出:1987年11月9日~11月13日(全回)
原作:辻真先
脚色:斉藤紀美子
演出:(不明)
主演:増岡弘

僕は何としても韓国に行きたい!
韓国に行ってセマウル号に乗るのが永年の憧れだったんだ。
なに?セマウル号が何かを知らないって?
セマウル号といえば韓国の超特急だよ。
日本で言えば新幹線。
なに?鉄道についての書き下ろしを一冊と、グルメと温泉の本、さらにトラベルミステリーを1編書くなら、出版社が旅費を出してくれるって?
乗った!
よーし、こうなったら韓国の鉄道を乗りまくるぞ!

――――――――――――――――――――――――――

本作品「韓国・鉄道・グルメの旅 ~辻 真先(『韓国を乗る、韓国を食べる』より」は、その名のとおり、作家の辻真先さんによるトラベルエッセイを原作としたラジオドラマです。
辻真先さんといえば、「名犬ルパン」シリーズなどのライトなミステリーで有名な作家さんですが、SFも書かれますし、アニメの脚本も執筆するなど多芸な方。
本ブログでも既に辻さんが原作を書かれた「時はそよ風、時はつむじ風」を紹介済みです。
そんな辻さんですが、実は鉄道好きなのだそうで、本作品もその辻さんの鉄道マニアぶりが前面に出た作品です。

本作品が放送された「カフェテラスのふたり」は、朗読番組ではなく、一応、ラジオドラマっぽい作品作りをする枠でしたので、本作品についてもエッセイである原作をドラマっぽく再構成しています。
その中で、「主人公の作家」と「同行する女編集者」は、声優の増岡弘さんと加藤みどりさんがあくまでドラマとしてちゃんと「演じて」います。
しかし、どう考えても言動は辻先生ご自身のもの。
同行する女性編集者曰く、「恐怖の鉄道大好き人間」、「ド変人」。
初めて乗る韓国の電車に興奮し、電車内を行ったり来たりするさまは、多少の誇張はあれ、現実そのままだったものと思われます。
一方、その女性編集者もかなり個性的。
気軽な旅にしたいために同行する編集者に男性を希望していた辻さんの意向を完全に無視して勝手についてきたうえで、「私、気楽なタイプの女なんです」と宣言。
パスポートを紛失(あれ?直前に紹介した「スペインから」でも同じような展開があったような…)したと大騒ぎしたくせに手元から出てきたら「済んだこと、済んだこと!」。
なかなかのタマです。

そんなふたりの鉄道珍道中を、グルメを交えて描いているのがこの作品です。
全5回の小品ですが、各回には以下のタイトルが付いています。

第1回:「旅は道連れ女連れ」
第2回:「ローカル線に赤い血は散るか」
第3回:「殺したい子に旅をさせろ」
第4回:「締め切りがいっぱい」
第5回:「釜山に寄って幕が下りる」

紹介する鉄道は、地下鉄2号線、セマウル号などさまざま。
グルメは、参鶏湯(サムゲタン)、へジャンク、焼き肉とサンチュ、冷麺(ネンミョン)といったところ。
韓国料理はその後、日本でも随分一般的になったので、今となってはあまりエキセントリックなラインナップには見えませんね。
「その後」という意味では、本作品がソウルオリンピック(1988年)の前年に制作された作品であったことも注目ポイントです。
2002年のサッカー日韓ワールドカップ(2002年)、2003年の「冬のソナタ」の日本放送などの後、多くの交流と摩擦を経て、今日の日韓関係はある訳ですが、本作品はその前、日本にとって韓国が牧歌的な興味の対象であった時代の作品と言うことになります。

さて、先ほども書きましたが本作品に出演した「ふたり」は、増岡弘さんと加藤みどりさん。
そう、日本の国民的アニメ「サザエさん」で主人公夫婦である「フグ田サザエ」と「フグ田マスオ」を演じているコンビです。
加藤みどりさんはアニメ開始時からずっと、増岡弘さんは1978年からずっと、「サザエさん」に出演されていますので、サザエとマスオの声といえば、日本国民誰しもがお二人の声を思い出す状況にあると思います。
本作品も、男性が女性に押され気味という点で「サザエさん」に似ていることもあり、なかなかのはまり役になっています。


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