青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

UFOはもう来ない 原作:山本弘(青春アドベンチャー)

作品:UFOはもう来ない
番組:青春アドベンチャー
格付:A+
分類:SF(日本)
初出:2017年3月13日~3月24日(全10回)
原作:山本弘
脚色:山本雄史
演出:木村明広
主演:樋井明日香

「わたしのおじいちゃん  三年四組二番  木じま千里
わたしのおじいちゃんは、とてもえらい人だと思います。
おじいちゃんの開いているはく物かんは、せかいで一番ユーフォ―にくわしいんだよ、といつもわたしに自まんします。
わたしのおじいちゃんは、ユーフォーサイエンスミュージムのかん長です。
おおきくなったら、わたしもユーフォ―のけんきゅうかになって、おじいちゃんといっしょに、うちゅう人に会いたと思います。」

2015年12月20日。曇りのち雨。
祖父が死んだ。
祖父が死んだといってもあまり実感というものがない。
今も宇宙のどこかで生きているような気がする。
私も祖父の探していた宇宙人を探す。
私もUFO研究家になるのだ。

――――――――――――――――――――――――――

…いきなり微妙なパロディから入ってしまってスミマセン。
元ネタ、わかりましたでしょうか。
いえね、本作品の第4回を聴いていて、「先人の思いを継ぐ」という場面での連想から思いついてしまったんですよ。
「艦長=館長(かんちょう)」に気がついた段階で捨てられないネタになってしまいました…
SFであるという以外、共通点は全くないんですけどね。
関係者の皆さん、ご容赦ください。
また、わからない方には意味不明な文章ですよね、スミマセン。

さて、気を取り直して本作品ラジオドラマ版「UFOはもう来ない」の紹介を始めます。
本作品はSF作家・山本弘さんの小説を原作とするSF作品です。
ジャンルは「ファーストコンタクトもの」。
「ファーストコンタクトもの」とは、地球人が初めて宇宙人と接触する事件を中心に、異文明との接触や人類の進化などを語るSFのいちジャンルで、本作中でも言及されるアーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」などが有名でしょうか。
青春アドベンチャーでファーストコンタクトものってあったかな?と思って考えてみたのですが、「スフィア」、「太陽の簒奪者」、「イーシャの舟」あたりにその要素がありましたし、アドベンチャーロード時代の「最後の惑星」も、ある意味、ファーストコンタクトものでした。
ただし、ど真ん中のファーストコンタクトものは初めてなんじゃないかと思います。

本作品、主人公は大阪弁を話す27歳の独身女性・木縞千里(きじま・ちさと)。
平日は印刷会社の事務員をしながら、土日はUFOミュージアムを運営しているというだけでも恰好な変わりものです。
加えて、大阪弁でまくしたてるUFO愛や、序盤でインチキ臭いTVディレクターとベッドインしてしまうという行動(肝心のシーンの描写はありません。いわゆる「朝チュン」です。)などなど、原作に比べると下品さはかなり抑えられているらしいのですが(原作者のブログ(外部サイト)参照)、結構濃い主人公です。
その他、千里のその相手役のTVプロデューサーがインチキ臭いUFO番組専門の中年オヤジだったかと思えば、突然、子供たちがクローズアップされて出現した宇宙人を匿ったり(「星虫」か?)
と思ったら、今度はなんとインチキ宗教の教祖が登場。
それ以外にも、「姿かたちはタコに似ているが、行動と会話がほとんど地球人と同じセンスの宇宙人」、「惑星規模のカタストロフの最終シークエンスの発動?」などなど、目を引く要素が山盛りすぎて、一体、この作品は誰を軸にして、どういう方向で話を進めるつもりなんだろう、さすがにUFOを利用した町おこしの話にはならないだろうけど、大丈夫か?、などと思って聞いていました。
しかし、第4回のファーストコンタクトシーンで、ようやくしっくりし始めました。
これですよ、これ。
肌に浮き出るパターンで会話するなんてSFチックで良いじゃないですか。
コミュケーション手段が全く異なる種族どうしが手探りで意思疎通をしていく様子は、ファーストコンタクトものの醍醐味のひとつ。
さすが、星雲賞(2011年「去年もいい年になるだろう」)も受賞しているプロのSF作家さんです。
そしてその後、しばらくはあまり盛り上がらないドタバタ劇が続くのですが、終盤2回で再びびしっとしたSF展開に戻ります。
やはり“人類の未来”や“文明のあるべき姿”といった、小難しい話を扱ってこそのSF。
「人類は救世主を待望する気持ちが強すぎる」など宇宙人に辛口に批評されちゃう辺り、堪りませんな。
ただ、最終2話で急に色々と変わったのは違和感を感じざるを得ませんでした。
例えば、千里は宇宙人を探すという常識外の行動に血道をあげている割には、行動原理が感傷的で道徳観念が常識的なのですが、ほんのちょっと宇宙人と話すだけであっさりと節をまげてしまいます。
宇宙人の言うことは至極まっとうで、当初反発した千里の方が考えが硬直的に感じられたのですが、それにしても考えをあっさり変えすぎです。
また、反応があまりにも“人間的”で宇宙人感に欠けるペイルブルーですが、終盤2話に急に宇宙人っぽい話し方になります。
一応、AI翻訳をしているという設定なのですが、最初からこのしゃべり方で良かったようにも感じました。
そういった細かい点のほか、宇宙人の誘拐と奪還の下りが冒険もの、アクションものとしてはいまいちで中だるみ感もあるなどの欠点もありましたが、インチキ宗教の登場もテーマとの関連でキチンと意味があったことなども含めて、SF的でなかなか好感触の作品でした。

さて、主人公の千里を演じるのは樋井明日香(ひのい・あすか)さん。
もともとは女性4人のダンス&ヴォーカルユニットHINOIチームのメンバーでしたが、今は女優メインで活動されている方のようです。
1991年1月生まれの26歳で、千里と1歳しか違わないのがリアルな配役です。
ちなみに樋井さんは大阪府河内長野市のご出身ですので、大阪弁はネイティブなものだと思われます。
その他、千里とコンビを組むTVディレクター・大迫役の野田晋市さん、タコ型宇宙人(でもよく見るとタコにはあまり似ていない)のペイルブルー役の久野麻子さん、そして、新興宗教DSIの教祖?龍彫(りゅうぼり)役の国木田かっぱさんあたりが主要なキャストです。


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