青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

今夜は眠れない 原作:宮部みゆき(青春アドベンチャー)

作品:今夜は眠れない
番組:青春アドベンチャー
格付:A+
分類:推理
初出:1996年12月2日~12月13日(全10回)
原作:宮部みゆき
脚色:岡本螢
演出:松本順
主演:吉田亮

母さんが突然、5億円の相続人になった。
20年前にたった一度、命を助けた人物、20年間存在すら忘れていた男から遺産を譲られたのだという。
そして騒動が始まった。
どこで聞きつけたのかわからない様々な人からの寄付を求める電話が鳴りやまない。
外の女と不倫をしていた父さんは、自分のことを棚に上げて母さんにその男との関係を詰問し始めた。
もう家族はバラバラだ。
そして僕たちの周りに現れる不審な人物。
そん中、ついに事件は起こったのだった。

――――――――――――――――――――――――――

人気作家・宮部みゆきさんによる、中学1年生の二人組を主人公したミステリー作品を原作とするラジオドラマです。
宮部みゆきさんの作品は、この「今夜は眠れない」のほか、「夢にも思わない」と「蒲生邸事件」が青春アドベンチャーでラジオドラマになっています。
このうち「今夜は眠れない」と「夢にも思わない」は、主人公の雅男とそのクールな親友の島崎のふたりが探偵役となるシリーズです。
本作品、今、「探偵役」と書きましたし、冒頭のジャンル分類でも「推理」とはしました。
たしかに、伝説の相場師といわれた男がなぜ、20年前に会ったきりの女性に遺産を残したのか、そして終盤に発生する「事件」の犯人は誰なのかを探すという点でミステリーではあります。
しかし、主人公の雅男は最終盤までほとんど事件の真相に届けていませんし、島崎君はある程度の真相を推理で来ていたようですが、積極的に犯人を追及することはなく、いわるゆる推理ものとは少し趣の違う作品です。
そもそも、この作品にも敢えて言えば「犯人」といえる人物はいますが、「犯罪者」と言ってよいかは微妙なところですし、「被害者」もいなかったといってよいかもしれません。
また、最終回で明らかになる「真犯人」も主人公たちが解き明かしたというより、ある登場人物に教えてもらったというのが正直なところ。
これについては「真犯人」の名前を書くとネタバレになってしまうので、あまり詳しくは書けないのですが、正直、いささか唐突ではないかと感じました。
ただ、人間ドラマとしてはこの「真犯人」である意味があるのだと思います。
そういう意味でも本作品は、コテコテの推理ものというより、一種のサスペンスドラマ、それもアクションやホラー要素抜きの人情系サスペンスとして聴いた方が良い作品だと思います。

出演者は、主人公の雅男役を俳優の吉田亮さんが演じています。
この作品の時点では俳優というより「子役」という感じでしょうか。
この作品は1996年のアトランタオリンピック開催時点の雅男が、4年前、バルセロナオリンピック開催ごろに起きた事件を回想する形式で作られています。
そのため、1996年時点の雅男がナレーションをする形になっており、この「もう一人の雅男」は俳優の伊崎充則さんが演じていらっしゃいます。
ちなみに、本作品が放送されたのも1996年。
この記事をアップした2016年8月にはリオオリンピックがまさに開催中です。
作品中で、実際の実況が流れる「マイアミの奇跡」から20年が経過し、オリンピックの回数にして5回目が開催されているなんて時間が経つのは早いものです。

また、雅男の両親を演じるのは、奈良富士子さんと平泉成さん。
奈良さん演じる雅男の母は、本作品における準主人公と言ってよいほど重要な役です。
また、事件の捜査に当たる田村警部を石田太郎さんが演じているのですが、平泉成さんと石田太郎さんがお二人とも地声が低いので最初、少し混乱してしまいました。
その他、島崎を演じた笠原秀幸さんや、マダムアクアリウムを演じた高林由紀子さんといったところが、主要な出演者。
高林由紀子さん演じるマダムアクアリウムは出演場面は少ないのですが、高林さんが「アルバイト探偵」、「おいしいコーヒーのいれ方」、「分身」など当時、NHK-FMのラジオドラマで重用されていたことを考えると重要な役どころであることがばればれの配役ではありました。

最後に一言。
本作品、冒頭に弁護士が現れて緒方家の家族3人に対して、母親が5億円の相続人になったことを伝えます。
最初にこれを聴いた時に私は「弁護士さん、いきなり家族に言うのではなくて、まずはこっそり本人(=母親)に言わなきゃダメでしょう」と思ったのですが、最後まで聞いてみると、これはひょっとして伏線だったのではないと思うようになりました。
……ネタバレになりそうなので、この辺にしましょう。



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