青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

せえけつ教育委員会ホイホイ 原作:村田基(青春アドベンチャー)

作品:せえけつ教育委員会ホイホイ
番組:青春アドベンチャー
格付:AA
分類:SF(その他)
初出:1995年2月27日~3月3日(全5回)
原作:村田基
脚色:綾瀬麦彦
音楽:BANANA
演出:佐藤謙
主演:佃典彦

いつの頃からだろう、こんな奇妙な社会になってしまったのは。
環境汚染や世界経済の破綻と言った相次ぐ不幸に見舞われ、誰しもが物質文明の行き詰まりを感じていたのは確かだ。
しかし、不潔にしてさえいれば肉体的にも精神的にも逞しくなれる、などという「不潔思想」はいくら何でも極端な考え方だったはずだ。
それなのに、現実の世の中では、急進的な不潔主義者による不潔革命が成立し、世界は不潔思想で覆われてしまった。
本当に不潔が正しいことなのか。
誰も疑問は持たない。
いや、本当に誰も疑問に思っていないのか、この僕以外は。

―――――――――――――――――――

いやー、これは無理かな~
…冒頭から変な調子でスミマセン。
いえね、このブログはNHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」で放送されたラジオドラマ作品について、私の感想を述べるものです。
「私の感想」ですので、当然、私とは違う感想の方がいるのも当たり前、という気持ちでは書いているのですが、そうはいっても、格付けをするということは一種の「おススメ」をしているのと同じです。
だから、皆さんが同じ感想を持ってくれるんじゃないかな、と思いつつ書いているのも事実なのですが…
この作品への共感は得られないかも知れない。
この作品を評価しちゃう人って少ないかも知れない。
そんな気持ちを持ってしまった作品でした。

分類としては、一種のディストピア(反ユートピア)ものです。
青春アドベンチャーでは「狩人たち」(1999年)、「愛のふりかけ」(2000年)などでおなじみのテーマ。
主人公たちが徐々にディストピアであることに気づいていく作品類型、例えば「テレヴィジョン・シティ」(1993年)、「僕たちの宇宙船」(2013年)、「ニコルの塔」(2015年)まで含めれば、青春アドベンチャーの一大勢力といえるかも知れません。
しかし、これらの作品群の中でも本作品は特に異彩を放っている作品です。

まずは、なんと言ってもやたらと汚物の話が出てくること。
テーマが「不潔革命」ですので仕方がないのですが、とにかく、序盤から終盤まで「糞便」とか、「残飯」とか、「汚れた洗濯物」とか、「フロに入らない」とか、そんなネタのオンパレードです。
サウンド・ドライブ」(2005年)に「天使のおなら」というやたらとおならの音が鳴り響く怪作がありましたが、それに匹敵する汚れっぷりです。
ただ、本作品が人を選ぶのは必ずしもそれだけではありません。

大げさなセリフと奇天烈な用語、意外なのかよくわからないストーリー展開と笑っていいのか微妙なギャグ。
そういったものが、BANANAさんの作った妙にエスニックぽい音楽を相まって、妙なおかしみと悲しみ、あるいは馬鹿馬鹿しさと感動、に昇華しています。
…昇華していると感じるのですが、そう感じるのは私だけ?とも思わずにもいられません。
困った作品です。

さて、本作品の主役であり、やむにやまれぬ状況で「カクレきれい好き」一統に加わってしまう平助を演じるのは劇作家・俳優の佃典彦さん。
佃さんは「カバが棲んでいる」(2013年の「新・動物園物語」のうちの一編)やアドベンチャーロード時代の「ロスト・タイム」(1990年)の脚本を担当される一方で、本作品と「新・夢十夜」(1996年)では主演を張っています。
丸尾聡さんや北村想さんなど、ドラマに出演する脚本家さんは意外と多いのですが、脚本と主演の双方で青春アドベンチャーにタッチしているのは、青春アドベンチャー20年以上の歴史の中でも、佃さん以外では、前田悠衣さん(主演「五番目のサリー」など、脚色「優しすぎて怖い」など)や中江有里さん(主演「私の告白」、脚色「インテリア・ライフ」など)くらいでしょうか。
その他、平助の妻の道子役を塚本辰子さんが、「カクレきれい好き」メンバーを内田藍子さん(シズ)、木村庄之助さん(禎吉)、小林正和さん(野崎)が、そして敵役の小暮を火田詮子さんが演じています。

スタッフ関係では、本作品は後に「封神演義」を脚色することとなる綾瀬麦彦さんの青春アドベンチャーデビュー作が本作になります。
また、本作品は名古屋局の制作ですので、演出の佐藤謙さんを始め、本局とはひと味違ったスタッフ陣です。
そういえば、確かに名古屋局らしいアンニュイな雰囲気の作品です。

ここまで書いておきながら、原作について書くのを忘れていました。
原作はその名も「不潔革命」。
著者はSF作家の村田基さん。
この原作本は短編集で、その表題作が「せえけつ教育委員会ホイホイ」という名前でラジオドラマ化されたもののようです。

さて、お勧めすべきか否か、今でも迷っている本作品。
一見、不潔革命を揶揄しつつ、本当は清潔ばかりを追い求めている現代社会をこそ皮肉っているのかなあ、とも思うのですが、深読みしすぎかも知れません。
何はともあれ、もしご興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、是非、機会を見つけて聴いてみて下さい。
最後にひとつだけ。
私は「そういう」趣味はありませんよ。



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