青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

黄昏のベルリン 原作:連城三紀彦(アドベンチャーロード)

作品:黄昏のベルリン
番組:アドベンチャーロード
格付:AA+
分類:サスペンス
初出:1989年9月18日~9月29日(全10回)
原作:連城三紀彦
脚色:佐々木守
演出:笹原紀昭
主演:石橋蓮司

戦後40年を経て好景気に湧く日本。
美術大学の講師・青木雄二が、年末年始のカウントダウンを過ごすために向かったホテルで待っていたのは、懇意の女子学生ではなく、エルザという見知らぬ外国人女性だった。
外国人に間違えられる容姿を持った日本人の男と、日本人と遜色ない日本語を話すドイツ女との出会い。
女は男に謎めいた言葉を伝える。
「私はあなたを必要としている」
「貴方の描いた『ひなげし』という絵に描かれている女性とそっくりの女性が描かれている絵を知っている」
やがて男の前に現れはじめるネオナチの影。
二人の出逢いは一体、何の始まりなのか。

―――――――――――――――――――

本作品「黄昏のベルリン」は2013年に亡くなられた直木賞作家・連城三紀彦さんのサスペンス小説をラジオドラマ化した作品です。
この原作小説が発表されたのは1988年。
そのため本作品は「ネオナチの勢力拡大」や「ドイツの東西分断」といった1980年代のドイツの社会状況が重要な背景となっています。
そして、このラジオドラマが制作された1989年9月は、東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」が崩壊するまさに2か月前。
本作品中でも、ベルリンが分断されていることが物語終盤の重要な「仕掛け」のタネになっているのですが、まさかこの2か月後に壁が崩壊するとは、ほとんどの人が想像もできなかったと思います。
まさに「事実は小説よりも奇なり」です。
ところで、以上のとおりこの作品が放送されたのは1989年ですが、この冷戦が終わる時期に放送されていた番組は、現在の「青春アドベンチャー」の2代前の番組である「アドベンチャーロード」でした。
「アドベンチャーロード」は1985年4月から1990年3月までの間に放送された番組でしたが、時代背景からかサスペンスものやハードボイルドものが多い、やや大人向けの番組でした。
その面では本作品も大人向けの一つ。
なにせ主人公が中年の美術講師で、ヒロインは金髪の美女。
結構、色っぽいシーンもあったりするのですが、音だけで聞く、そういう場面もなかなか乙なものです。
また、ラストは、何とも歯切れの悪い苦いものですが、それもまた大人向け作品であることの証左でしょう。

さて、「東西ドイツ分断」と並ぶ、本作品のもうひとつ要素は「ネオナチ」。
本作品の最大のモチーフはやはりこの「ネオナチ」といって良いでしょう。
同じようにネオナチを取り扱ったラジオドラマとしては、同じアドベンチャーロード時代の「魔弾の射手」(赤羽堯さん原作)や、後年の青春アドベンチャーで放送された「ブラジルから来た少年」(アイラ・レヴィン原作)があります。
これらの作品を比較して書きたいところなのですが、実は本作品には「ミステリー」要素の核心となる大ネタがあり、そこに関係することを書いてしまうと、この作品を聴く(読む)醍醐味の一つをなくしてしまうので、これ以上は何も書けません。
冴えない中年男・青木が、なぜ、どのように、事件に巻き込まれていくのか。
その辺はまさに聴いてのお楽しみです。

さて、話を出演者に移しますと、まず主役の青木を演じるのは俳優の石橋蓮司さん。
石橋さんは、後に全60回に及ぶ超大作「封神演義」で、主役の姜子牙を演じることになります。
また、ヒロインのエルザ・ロゼガ役は声優の寺瀬めぐみ(現:寺瀬今日子)さんが演じており、色っぽい演技を見せてくれます。
その他、有名声優の塩沢兼人さん(「機動戦士ガンダム」のマ・クベ)や堀川亮さん(「ドラゴンボール」のベジータ)も出演されています。
一見すると、石橋さんの渋い演技や、田中信夫さんの吹き替えを連想させるナレーションのせいで意外と目立ちませんが、本作品は意外と声優色の強い配役の作品です。
そういえばこの塩沢兼人さんと堀川亮さんの組み合わせは、「銀河英雄伝説」のパウル・フォン・オーベルシュタインとラインハルト・フォン・ローエングラムの組み合わせですね。

最後にスタッフの紹介です。
本作品の脚色、演出は、名作「A-10奪還チーム出動せよ」のほか、「ウインブルドン」や「空色勾玉」でも組んだ佐々木守さん・笹原紀昭さんのコンビ。
本作品の出来が良いのも納得です。
そして、この作品については、その印象的なテーマ曲についても言及せねばなりますまい。
曲名は分からないのですが、力強くも物悲しいバイオリオンの旋律がとても印象的で、この作品に雰囲気にとても合っています。
選曲はいつもの伊藤守恵さんですが、本当にどこからこのようなぴったりの曲を探してくるのか不思議でなりません。

【笹原紀昭演出の他の作品】
アドベンチャーロード期を中心に多くの傑作アクション作品を演出された笹原紀昭さん。
演出作品はこちらに一覧を作っています。



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