青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

青春デンデケデケデケ 原作:芦原すなお(サウンド夢工房)

作品:青春デンデケデケデケ
番組:サウンド夢工房
格付:AAA-
分類:少年
初出:1991年5月7日~5月17日(全9回)
原作:芦原すなお
脚色:宮崎由香
演出:笹原紀昭
主演:古川登志夫

時は1960年代。
香川県観音寺市に住む高校生・藤原竹良(ふじわら・たけよし、通称「ちっくん」)は、ラジオから流れてきたベンチャーズの「パイプライン」に衝撃を受け、ロックバンドを結成することを決意する。
ギターの弾ける清一(せいいち)、坊主の息子で世慣れた富士男(ふじお)、ブラスバンドで大太鼓を叩くつもりだった巧(たくみ)を仲間に引き入れ、まんまとロックバンド「ロッキング・ホースメン」の結成に成功する竹良。
まずは楽器を調達するために、夏休みに全員でバイトに励み始めるが…
仲間、恋、そしてロック。
彼らのかけがえのない青春の日々が始まった。

―――――――――――――――――――

芦原すなおさんの直木賞受賞小説「青春デンデケデケデケ」を原作としたラジオドラマです。
本作品が放送された「サウンド夢工房」を含む「青春アドベンチャー」系列のラジオドラマ番組はエンターテイメント性の強い番組で、直木賞受賞作家さんの小説を採用することも多いのですが、本作品のように直木賞受賞作自体を取り上げることはごく希です。
また、「青春アドベンチャー」という番組名にもかかわらず、本作品のように作品タイトルに「青春」と入った作品も実はあまりありません。
ありそうでなさそうな、直球勝負で「青春どまんなか」の文芸作品、それが本ラジオドラマ「青春デンデケデケデケ」です。

さて、本作品で扱われるのは、ずばり「バンド」。
最近では「けいおん!」(漫画、アニメ)が流行りましたが、「バンド」は青春物語の一つの定番でしょう。
青春アドベンチャーでは他に「ゴー・ゴー!チキンズ」シリーズ(藤井青銅さん作)もバンドものですが、メジャーデビューを目指す「チキンズ」と比較すると、本作品の「ロッキング・ホースメン」はあくまで高校のアマチュアバンドですので、「ゴー・ゴー!チキンズ」のような派手な展開はありません。
なにせメンバーが集まってアルバイトをするまでで前半4回を使ってしまうくらいですから。
とにかく本作品は高校生活におけるバンド活動を丁寧に描く作品ですが、男子高校生の生活に潜む本質的なおかしさを上手く捉えており、「ゴー・ゴー!チキンズ」は違った意味でコミカルな作品にも成っています。
この全体漂うユーモラスさを際立たせているのが、登場人物達が全編、方言(讃岐弁?)で話すこと。
主人公ちっくんのナレーション(モノローグ)が標準語である他は、全員がバリバリの方言で話すためえ出演者さん達の苦労は並大抵のものではないと思います。
実際、凝ったセリフの多い富士男を演じているのは、「巨人の星」の星飛雄馬役で有名な古谷徹さんなのですが、芸達者な古谷さんをもってしても序盤は少しもたついているような印象を受けます(段々、チューニングがあってきたのか終盤はとても素晴らしい)。
とにかく、この方言トークが、作品に、そこはかとなくいい雰囲気をプラスしています。

古谷さんの話が出ましたが、この作品は出演者にも際だった特徴があります。
それは「ロッキング・ホースメン」の4人を演じた声優さん、すなわち古川登志夫さん、古谷徹さん、曽我部和恭さん、鈴置洋孝さんが、みな当時の人気声優さんであったこと。
ちなみに、この4人は揃って「機動戦士ガンダム」に出演されています(ガンダムでの配役はこちらの特集をご覧下さい)が、鈴置さんだけは「機動戦士ガンダム」におけるブライト・ノア艦長とは全く違う話し方をしています。
言われなければわからないほどで、さすがだと思います。
それはさておき、キャストの特徴はこれに限られません。
何と、この4人は、この作品以前から実際に「スラップスティック」というバンドを組んでいたメンバーなのです。
NHK側(恐らく演出の笹原紀昭さん)は「スラップスティック」を知っていてキャスティングしたものと思われます。
実際にバンドを組んでいる人気声優を、この「青春デンデケデケデケ」にセットで起用する。なかなかやるものです。
実際、本格的ではありませんが、作中で出演者が歌うシーンもあり、芝居部分と違和感なくマッチしているのはさすがです。

ちなみに「青春デンデケデケデケ」(すなわち「ロッキング・ホースメン」)における役名及び担当楽器と、出演者さんのお名前及び「スラップスティック」における楽器は以下の関係になります。

                                     
ロッキングホースメン スラップスティック
藤原竹良リーダー、サイドギター、リードボーカル 古川登志夫 サイドギター
白井清一リードギター 曽我部和恭 リードギター
合田富士男 ベース、サイドボーカル、お経(笑) 古谷徹 ドラム
岡下巧 ドラム 鈴置洋孝 キーボード

ちなみにスラップスティックには他に何人か有名声優さんがメンバーだったようです。
そのメンバーの中では、神谷明さん(「絶句」)、三ツ矢雄二さん(「王女アストライア」)が出演されているラジオドラマを紹介済みです。

ところで、この作品、その性格上、作品中で多くの有名な曲がかかるのですが、作品上絶対に外せないベンチャーズの「パイプライン」以外は、なぜは殆ど曲名がでてきません。
わざわざ不自然に「この曲」といったりします。
歌手名は割と平気で言うんですけどね。
これはやはりNHKだから宣伝になるような固有名詞を避けたのでしょうかね?

さてさて、本作品、なんと言っても舞台は1960年代。
取り上げている音楽は、ベンチャーズだったり、ビートルズだったり、グループサウンズだったりします(「最新」がローリングストーンズだったりする設定)。
それ自体が一種のノスタルジーをかき立てる要素にもなっているのですが、さっぱりした気持ちの良いストーリーの中に、少しだけ何かを思い出しかけて微かに胸が痛くなるような作品です。
序盤に高校に入学したばかりだったはずなのに、終盤ではいつの間にか卒業が近づいていたりして、短いラジオドラマの枠内(特に本作品は通常より1回少ない全9回構成)に納めるのに脚本上苦心している様子も見えます。
しかし、夏休みのバイトや結婚式での初舞台を経て、最初で最後のコンサートに収斂していく様はシンプルながらよくできた話しだと思います。

ところで、以上のとおりなかなかの名作の本作品ですが、残念ながら現在聴くことは甚だ困難です。
私も第1回の音源をもっていかなかったり、持っている回も第5回・6回などはかなり部分的な音源です。
是非、欠落部分をお持ちの方がいらっしゃいましたらお聞かせ頂きたいところです。
本当は、NHKさんが再放送をしてくれるのが一番なのですが。

【笹原紀昭演出の他の作品】
アドベンチャーロード期を中心に多くの傑作アクション作品を演出された笹原紀昭さん。
演出作品はこちらに一覧を作っています。


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