青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

双子島の秘密 作:原田裕文(青春アドベンチャー)

作品:双子島の秘密
番組:青春アドベンチャー
格付:A
分類:サスペンス
初出:2015年9月21日~10月2日(全10回)
作 :原田裕文
音楽:澁江夏奈
演出:小見山佳典
主演:小川涼

平家の落人の里とされる蓮花島(はすはな・じま)と、それを監視するために源氏方が住み着いたとされる晴友島(はるとも・じま)。
しかし現代では、両島を併せても人口は数百人の過疎の島。
過去の因縁はともかく、二つの島の住民たちは協力して、両島を結ぶ海上にある一二三神社(ひふみ・じんじゃ)を守って平和に暮らしていた。
中学生の少女・四ノ宮かれんは、蓮花島に伝わる伝説上の姫君・蓮花姫の子孫とされる四ノ宮家の跡取り娘。
10年前に謎の失踪をしてしまった父親のことを気に掛けつつも、母と二人、四ノ宮家を守って元気に暮らしていた。
今年は10年に一度の一二三神社の大祭の年。
今回は母に変わってかれんが神楽を舞うことになる。
準備は着々と進んでいたのだが、祭りの安全を願う儀式の際にハプニングが起こる。
そして思いもよらない人間たちが島に集まり始める。

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青春アドベンチャーは、基本的には小説などの原作をラジオドラマ化することが多い番組です。
そのため、オリジナル脚本の長編は、年十数本の新作の中で毎年1~2本程度なのですが、2015年は、1月の「ニコイナ食堂」、2月の「夜叉ヶ池で見つけた命」、7月の「人喰い大熊と火縄銃の少女」に続いて、この「双子島の秘密」で4作品目のオリジナル長編になります。
これらの4作品のうち3作品の演出を手がけられているのが小見山佳典さん。
小見山さんは2013年の「泥の子と狭い家の物語~魔女と私の七〇日間戦争~」以来、青春アドベンチャーでは比較的少数の、「オリジナル脚本」+「オリジナル音楽」のパターンで多くの作品を演出されている方です。
具体的には、「泥の子と狭い家の物語」のほかに、2013年の「屋上デモクラシー」(高羽彩さん脚本)なども、帯ドラマならではの作り込みでした。

さて、早々に脱線してしまったので、早速話しを本作品に戻しましょう。
本作品の主人公は、冒頭で書いたように蓮花島に住む中学生の少女・四ノ宮かれん(演:小川涼さん)です。
晴友島にある中学校に毎日、船で通っていますが、何分、過疎の島ですので、同級生は同じ蓮花島の花子(演:小飯塚貴世江さん)と晴友島の晴(演:本城雄太郎さん)の3人だけ。
これに途中で加わる転校生のレラ(演:水石亜飛夢さん)を加えた同級生4人組が主人公格…と言いたいところですが、実は彼らと同等以上に、かれんの母親である珠子(演:林真里花さん)と叔父の山彦(演:粟野史浩さん)、晴の父親の一郎(演:木下政治さん)や担任の蝉島先生(演:神尾晋一郎)、そして島にやって来る開発業者の藪澤(演:大橋吾郎さん)といった、かれんよりひと世代上の大人たちが物語の中心になっていきます。
つまり、一世前に起こった出来事が本作品に事件の原因となっているわけであり、その意味で典型的な「サスペンス」です。
本作品のこのブログでのジャンルを「サスペンス」としたのはこれが理由であり、平家の怨霊といった超常的な要素は、実は本作品の根幹をなしていません。
どちらかというと、人の感情の裏側や積年の思いなどが主題の作品であり、超常的な要素で問題解決が図られるよりもよほど理解のしやすい作品だったと思います。

ただし、個人的な意見ですが、物語の決着の付け方については、どうしても納得できない部分が残ってしまいました。
まずは何となく説明不足の部分が多いこと。
途中までは不気味な言動で存在感のあった鬼龍院なる女性ですが、結局何者かよくわからないまま終了。
存在感と言えば、小飯塚貴世江さんの好演で途中まではとても存在感のあった花子も、終盤は扱いがちょっとぞんざい。
また、ストーリー面でも、**の娘や、かれんの父・海彦に何があったかも、一応示されはするものの、その状況はあまり明らかにされず。
終盤のかれんの「私は歌手になりたい」といった後の最後のセリフも逆ではないかと思いますし、そもそも「悪い人はいない」的な結論も何か違う気がします。
本作品、「平家の落人伝説」や「島に伝わる三種の神器」、「10年ごとの祭りの際に起きる謎の死亡事故(?)」など、ホラーやファンタジー色のある要素を盛り込みつつ、へき地のリゾート開発といった(少しステレオタイプではありますが)現実的な問題も盛り込んだ作品です。
シナリオ上も、先を聴きたくなるような適度なスピードと聞き安さが共存していたため終盤の微妙な雑さにはちょっと疑問符が付いてしまいました。
でもひょっとしたら「冷凍人間の復活」みたいな深読みの余地があるのかも知れませんね。

さてさて、話は変わりまして、出演者について説明しますと、まず主演の小川涼さんは、2011年の第7回「東宝シンデレラオーディション」のニュージェネレーション賞を受賞された方です。
FMシアター「沈黙とオルゴール」の上白石萌歌さん(同オーディションのグランプリ)といい、相変わらずNHK-FMスタッフが先物買いにチャレンジしているなあと感じます。
でもこの先物買い、宮崎あおいさん(2002年のFMシアター「翔べない豚さん」)や蒼井優さん(同じく2002年のFMシアター「煙突少女」)で成功している例もあるのでなかなか侮れない。
白石さんにも大成していただきたいものです。
また、本城雄太郎さんは2009年に「世界でたったひとりの子」に子役として出演されて以来、青春アドベンチャーには何度となく出演されており安心感があります。
しかし、本作品で最も気になるのはむしろ小飯塚貴世江(こいいづか・きよえ)さん。
少なくとも青春アドベンチャーで主要な役を演じられるのは初めてだと思います。
極端な演技をしているわけではありません、一度聞いたら忘れられない声と演技。
とても古くて恐縮ですが「妖精作戦」で鳴海つばさを演じた時の石丸有里子さん(劇団鳥獣戯画)を思い出しました。

さて、ちょっとしたおまけです。
本作品の第3回が放送された2015年9月23日は、特番「今日は一日ラジオドラマ三昧」が放送された日でもありませいた。
そのため、ラジオドラマ三昧からそのまま本作品を聴かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
青春アドベンチャーでは10月5日からはまた新作「アグリー・ガール」が始まります。
これを機に是非、続けて視聴して頂ければ、この非公式ブログを主催する者としてとても嬉しいです。
そういえば本作の主人公が「かれん」なのも、「おいしいコーヒーのいれ方」で花村かれん役を演じた長谷川真弓さんが「今日は一日ラジオドラマ三昧」でMCを勤めることを意識してなのでしょうか?
考えすぎですかね。



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