青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

白狐魔記 戦国の雲 原作:斉藤洋(青春アドベンチャー)

作品:白狐魔記 戦国の雲
番組:青春アドベンチャー
格付:B+
分類:伝奇
初出:2015年8月24日~9月4日(全10回)
原作:斉藤洋
脚色:藤井香織
音楽:日高哲英
演出:藤井靖
主演:成河

楠木正成との悲しい別れから早200年。
命の奪い合いを繰り返す武士との付き合いに疲れ果てて、人間社会との関わりを断っていた生真面目な妖狐・白狐魔丸だが、姉とも慕う女狐・ツネ姫の誘いを受け、久しぶりに、ある人間を見にいくことにする。
その人間の名は織田信長。
信長は女性的な容姿とは裏腹に、今まで出会ったどの武士よりも苛烈な男だった。
信長や、彼を仇敵と付け狙う不動丸と出会うことにより、白狐魔丸もまた日本史上最も激しい戦乱の世に巻き込まれていくことになる。

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斉藤洋さん原作のロングセラー児童文学「白狐魔記」の第4作目「白狐魔記 戦国の雲」を原作とするラジオドラマです。
2014年7月の「源平の風」、同年9月の「蒙古の波」、2015年1月の「洛中の火」に続いてのラジオドラマ化で、わずか1年足らずの間に順調に制作されたことになります。
ちなみに、演出はすべて藤井靖さんで、脚色は第2作以降は藤井香織さん。
もちろん主役の白狐魔丸役の成河(ソンハ)さん、ツネ姫役の坂本真綾さん(「蒙古の波」から)も変わらず続投されています。
この作品、時代を大きくまたいで続いていく作品ですので、普通の人間はレギュラーキャラクターには成り得ません。
レギュラーといえるのはこのふたりの他には仙人役の今井朋彦さんくらいです。
「蒙古の波」で仙人が天竺に修行に行ってしまってからしばらく出番のなかった今井朋彦さんですが、本作品では第8話だけですが、久しぶりにお声を聞くことができます。

さて、日本の(特に武士の時代の)歴史を化け狐の観点から見ていくのがこのシリーズ。
今作の舞台は、前作「洛中の火」から時代は200年も飛んで戦国時代末期です。
白狐魔丸も随分とのんびりしていたものですが、その間の時代にあまりネタがなかったというのが実際のところでしょうか。
今回はついに歴史もの・伝奇ものとしては最高の晴れ舞台といっても過言ではない戦国時代。
しかも織田信長。
期待も高まろうというものですが、同時に織田信長が成し遂げた(あるいは、やらかした)事績はだれもが知っていることであり、それをみた白狐魔丸が憤り、落胆し、嘆くさまが大方予想出来てしまいそうなのが、痛いところ。
今回の白狐魔丸は、今までで痛い目を見てきたからか、さすが人間への関わり方が消極的なのですが、中盤以降は例によって不動丸や葛城といった下っ端の人間の運命にお節介を焼き始めてしまいます。
「いくらなんでもマンネリ気味だよなあ」と思いながら聴いていたのですが、最終的には少し違う感想を持つに至りました。
というのも、本作品の、特に後半は、これまでになく陰惨な内容になっていき、シリーズ当初に説明されていた「狐による人間探究の物語」という言葉から連想される「ほのぼの」感はあまりなくなってしまうのですが、その「陰惨な内容」になってしまう張本人である信長の言動が意外と否定的に描いていないのです。
「人間の欲深さ、残酷さに白狐魔丸が憤る」という予想からはちょっと違うニュアンスでした。
これについては少しだけ「あれ?」と思ったのですが、よく思い出してみるとこのシリーズの従来の作品で否定的に描かれてきたのは「武士という生き方の業」であり、「戦争」そのものではなかったことに気が付きました。
そういえばそもそも白狐魔丸自身が「蒙古の波」では大量虐殺に手を染めているわけであり、意外と実力行使を肯定してます。
この文脈で続いていくとすると、原作における次々作である、元禄赤穂事件を扱った「元禄の雪」がどのような内容になるのか気になるところです。

出演者は成河さんと坂本真綾さんのほか、不動丸役の玉置玲央さんや葛城役の壤晴彦さん。
その他、岡幸二郎さん演じる織田信長、岩崎ひろしさん演じる羽柴秀吉、石田圭祐さん演じる柴田勝家、大家仁志さん演じる明智光秀などの歴史上の人物も目白押し。
特に織田信長を演じる岡幸二郎さんは本作品中でたびたび「敦盛」を披露してくださっているのですが、なかなかの迫力です。
また、「敦盛」といえばツネ姫を演じる坂本真綾さんもこれを吟じるシーンがあり、必聴?です。
それにしてもこの作品、坂本さん以外の主要キャストはおやじばっかりの男臭い話です。
坂本さんの他に女性といえばナレーションを担当している坂口理恵さんが印象的なくらいでしょうか。
この坂口さんのナレーションと日高哲英さんの音楽が毎回同じであることもシリーズ全体に統一感がある原因だと思います。

スタッフは、前作同様、脚色の藤井香織さんと演出の藤井靖さんの、藤井-藤井コンビ。
そういえば藤井靖さんの肩書きがいつの間にか「演出」から「制作統括と演出」に変わっているのですが、出世されたんでしょうかね?

さて、今や青春アドベンチャーを代表する長期シリーズになりつつあるこのシリーズ。
次作は「天草の霧」です。

【白狐魔記シリーズ】
第1作 源平の風
第2作 蒙古の波
第3作 洛中の火
第4作 戦国の雲(本作品)
第5作 天草の霧(次作品)



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