青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

ソフィーの世界 原作:ヨースタイン・ゴルデル(FMシアター)

作品:ソフィーの世界
番組:FMシアター(FMドラマスペシャル)
格付:A
分類:幻想(海外)
初出:1996年1月14日~1月15日(全2回)
原作:ヨースタイン・ゴルデル
脚色:蓬莱泰三
演出:斎明寺以玖子
主演:島本須美

14歳の少女ソフィー・アムンセンが不思議な手紙を受け取ったのは、15歳の誕生日まであと1カ月のある日。
そこに書かれていたのはたった一言だった。
「あなたはだれ?」
それが、「哲学の先生」アルベルト・クノックスからの、手紙を通じた「哲学の講義」の始まりだった。
「人間とは何か、世界はどのようにできているのか、そして私たちはどのように生きるべきか」
そんなことを考え始めたソフィーのもとに、さらにもう一つ不思議なことが起こる。
レバノンで国連軍の仕事に就いているアルベルト・クナーグという男性が、娘のヒルデにあてた手紙もソフィーの元に届きはじめたのだ。
ソフィーはクナーグにもヒルデにも全く面識はない。
しかし、その手紙によれば、クナーグはソフィーのことを知っているようなのだが…

―――――――――――――――――――

本作品「ソフィーの世界」は、ノルウェーの高校で哲学教師をしているヨースタイン・ゴルデルのベストセラー小説「ソフィーの世界 -哲学者からの不思議な手紙」を原作としたラジオドラマです。
一見、ファンタジー小説風の体裁を取っていますが、内容としては少年少女向けの哲学入門書的な作品であり、歴史に名を残す偉大な哲学者の言葉がいくつも作中で紹介されます。
それにしてもノルウェーって高校で「哲学」を教えるんですね。
日本の「倫理」とはどう違うのでしょう。
日本の高校生と欧州の高校生との越えがたい基礎教養の差はこの辺に原因があるような気もします…

ちなみに、この小説、日本でもヒットしたそうで、1990年代半ばの哲学ブームの象徴として語られることが多いようです。
NHK-FMとしても本作品のラジオドラマ化に相当気合いが入っていたようで、1996年の1月14日(日曜日)120分、翌15日(月曜日)105分という、なかなか類例を見ないボリュームで2日連続放送されました。
また、CDとして発売されている点でも異例です。
ちなみに2日目の1月15日は21時からの放送でしたので、この作品が終わり次第、青春アドベンチャーの「モンテ・クリスト伯」の第1回が放送されたことになります。
ちなみにこの1996年1月の1日には安彦良和さん原作の「ジャンヌ」も120分の拡大枠で放送されています。
なかなかラジオドラマが豊穣な時期でした。

さて、作品の内容に移りますと、序盤は誰ともわからない「哲学の先生」からの手紙を通じてソフィーが「哲学講座」を受ける形で進みます。
本作品で言葉が紹介される欧米の哲学者は主に以下のとおりです(多少漏れているかも)。

デモクリトス、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、イエス・キリスト、アウグスティヌス、トマス・アクィナス、ヒルデガルド、ガリレオ・ガリレイ、コペルニクス、ニュートン、ルター、デカルト、スピノザ、ジョン・ロック、ディビット・ヒューム、仏陀、ジョージ・バークリー、モンテスキュー、ヴォルテール、ルソー、カント、ライプニッツ、ヘーゲル、キルケゴール、マルクス、ダーウィン、フロイト、ニーチェ、サルトル、ボーヴォワール

一部、欧米の方ではない人物や、一般的に哲学者として認識されていない方もいますが、西洋の主な哲学者を網羅していますね。
この「哲学講座」、大哲学者の言葉をかなり噛み砕き、例示を多用して解説するなど、評判どおりなかなかわかりやすい内容です。
ストーリーも序盤から、「哲学の先生」の正体がわからないこと、クナーグからヒルデに宛てた手紙がなぜソフィーに届くのかがわからないことなど、サスペンス的な面白さもあります。
ただし、この謎解きはあくまで現実世界での謎解きであり、少なくとも中盤まではファンタジー的な要素はありません。
しかし、やがて、犬がソフィーに語りかけてきたり、中世の哲学者と現代の登場人物とのつながりが見え隠れし始めるなど、(本当はちょっと違うのですが)徐々にソフィーの現実を幻想が侵食してくるようになります。
そしてついに前半終了間際に、この世界の構造がわかります。
意外とドラマチックです。
とはいえ、出演者の落ち着いた演技と吉川和夫さんの落ち着いた音楽のお陰で、あくまで上品な雰囲気に終始しているのがこの作品の魅力だと思います。
また、途中からソフィーパートとヒルデパートの交互での進行になるのですが、前者のナレーションが三田和代さん、後者のナレーションが大高洋夫さんとわかれており、聴いていてすぐにどちらのパートにいるのかがわかるのも、分かり易い工夫だと思います。

出演者に話しを移しますと、主役のソフィー役を演じているのは声優の島本須美さん。
「風の谷のナウシカ」のナウシカなどで有名な方ですね。
このブログではすでに島本さんの出演作として「ブルータスは死なず」と「小惑星美術館」を紹介済みです。
また、もうひとりのヒロインであるヒルデを演じたのは元宝塚女優の毬谷友子さん。
青春アドベンチャーでの毬谷さん出演作と言えば「ピエタ」でしょうか。
毬谷さんは本作品で主題歌も歌っています。
この主題歌、2日間の放送の中で何度もかかるので覚えてしまいそうでした。
その他、鈴木瑞穂さん(アルベルト役)、津嘉山正種さん(クナーグ役、クロスオーバーイレブンのナビゲーター役も印象的)という、とてもいい声の俳優さんが脇を固めています。
鈴木瑞穂さんも津嘉山正種さんも、ともに「スナップ・ショット」、「脱獄山脈」など1980年代の「アドベンチャーロード」では印象的な出演作がある方です。
しかし、1990年代に番組が青春アドベンチャーになって以降では、津嘉山さんこそ「赤と黒(第2部)」や「プラハの春」などはご出演しているものの、鈴木さんはFMシアターばかりで若者向けの作品にはご縁がないようです。
是非、鈴木瑞穂さんの渋い語りもまた聴きたいものです。

最後に一言。
ファンタジーで哲学を学ぶという困難な課題に取り組んだ本作品ですが、この珍しい課題に取り組んだラジオドラマが実はもうひと作品あります。
それは2007年に青春アドベンチャーで放送された「哲ねこ七つの冒険」。
こちらの記事もご参照ください。




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