青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

BANANA・FISH 原作:吉田秋生(青春アドベンチャー)

作品:BANANA・FISH
番組:青春アドベンチャー
格付:AA+
分類:活劇
初出:1994年5月23日~6月3日(全10回)
原作:吉田秋生
脚色:じんのひろあき
演出:芦田健、川口泰典
主演:古澤徹

ニューヨークはブロンクス。
謎の自殺を遂げた男が最後に言い残した「バナナ・フィッシュ…」という言葉を聞き、ストリートキッズのボスであるアッシュは愕然とした。
その言葉は、ベトナム戦争中にヤク中毒になり、今も正気が戻らない兄・グリフィンが発した唯一の言葉と同じだったからだ。
一体「バナナフィッシュ」とは何を意味するのか。
人の名前か、物の名前か。
いくつもの組織が「バナナフィッシュ」を巡り血みどろの争いを繰り広げていくこと、そしてその欲望と陰謀が渦巻く争いに自分もまた巻き込まれていくことを、この時のアッシュはまだ知らない。

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吉田秋生(よしだ・あきみ)さんの傑作漫画「BANANA FISH」を原作とするラジオドラマです。
「BANANA FISH」の原作単行本が発売されたのは1986年ですが、吉田さんは2007年に「海街diary」で第11回文化庁メディア芸術さん漫画部門優秀賞を受賞されており、今でも現役バリバリの漫画家さんです。
ちなみにこの「海街diary」、鎌倉に住む4人姉妹が主人公で、本作品「BANANA FISH」や吉田さんの代表作「YASHA-夜叉-」とは全く毛色の異なる作品。
作品の幅の広さは驚嘆ですね。

さて、本作品は日本人の原作作品ですが、舞台はアメリカです。
登場人物も基本的にはアメリカ人ですが、そこに狂言回しとして、日本から来たカメラマン助手の奥村英二が加わって物語は進んでいきます。
ストーリーの骨子は、ストリートキッズのボスである少年アッシュが、コルシカマフィアのゴルツィネや、チャイニーズマフィアの李といった大人たちを敵に回して、バナナフィッシュの謎を探っていくというもの。
アッシュ自身も少年とはいえアウトローのストリートキッズですし、敵も子供が相手であっても容赦をしない本物の悪漢です。
結果、激しい戦いが繰り広げられ、アッシュの仲間たちにも犠牲者がでるシリアスな展開です。
このラジオドラマは、原作のほぼ3分の1、6巻程度までをカバーした内容となっており、バナナフィッシュの正体判明、大切な仲間の死、アッシュ自身の大きなピンチとそこからの脱出までで物語は終わります。
その後がどうなったですが、本作品は単に「BANANA FISH」というタイトルで放送されており、続編の制作は確定していなかったものと思われます。
類似の事例を思われるものに、やはり漫画を原作とする「バイオレンスジャック」があり、こちらは残念ながらそのまま続編は制作されなかったのですが、「BANANA FISH」は人気が高かったのか、翌年に「BANANA FISH パート2」、「BANANA FISH パート3」が制作され、無事に完結を迎えることになります。

さて、本作品で主人公アッシュ・リンクスを演じるのは、「青の時間」や「あの夜が知っている」など川口泰典作品では常連だった古澤徹さん。
かなり多くの作品に出演されている古澤さんですが、やはり青春アドベンチャーでの代表作といえば、この「BANANA FISH」でしょう。
一方、視聴者の立場に立って作品世界を旅する英二を演じるのは、「ランドオーヴァー」シリーズにもご出演の人気声優の井上和彦さん。
実は個人的な印象なのですが、本作品のキャスティング全般に微妙な違和感がありました。
まず、アッシュは中身は世慣れたストリートキッズではありますが、所詮17~18歳の少年であり、作中でも中性的な美少年として描かれています。
これに対して演じる古澤さんの声はかなり渋い低音。
また、英二は平和な日本から来ただけあってと年齢以上に幼い感じを与える少年ですが、声を当てる井上さんが多くのアニメでヒーローを担当された方で、古澤さんほど男臭くはないものの、幼さを感じる声ではありません。
ここは井上さんがアッシュでもよかったように感じます。
なお、作中でアッシュが英二に「お前は俺が守る。俺の傍を離れるな」といっているとおり、はっきりいって英二は本作品におけるヒロイン的な位置づけにあるキャラクターです。
この腐女子好みの雰囲気が原作の「BANANA FISH」の一つの魅力です。
原作の漫画では絵で表現されているそういった要素については、ラジオドラマで是非、出演者の声の質で表現してほしかったところであり、それがあまり感じられないのがこのラジオドラマの残念な点です。
ちなみに、最大の敵ゴルツィネを演じる川久保潔さんの声も、漫画版のつるっぱげ親父のビジュアルとは少し違い、より老けた印象です。
その他のキャストも、生瀬勝久さん(バイオレンスジャック)、吉田鋼太郎さん(ブラジルから来た少年アナスタシア・シンドローム)、武岡淳一さん(二役は大変!)など川口作品でよくお見かけする男っぽい声の方が多数出演。
一部では川口さん演出作品らしい宝塚女優さんの出演もあるのですが、全体的に漫画版以上に男っぽい作品になっています。
全般に漫画のビジュアルよりは老けた感じの声になっているわけですが、漫画を読んでいなければこれはこれで違和感がなかったのかもしれません。

なお、本作品はCD化された数少ない青春アドベンチャー作品です。
中古で見かけることも多いので、数ある昔の青春アドベンチャー作品の中では比較的聴くことがむずかしくない作品だと思います。
放送版とCD版は音楽以外はほとんど同じです。

【じんのひろあき脚本の他の作品】
スピーディーな展開、的を絞った見せ場。
青春アドベンチャー初期の名脚色家・じんのひろあきさんの担当作品一覧はこちらです。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。



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