青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

オズ 原作:樹なつみ(青春アドベンチャー)

作品:オズ
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:SF(その他)
初出:1993年2月15日~2月26日(全10回)
原作:樹なつみ
脚色:前田悠衣
演出:川口泰典
主演:松本保典

近未来の地球。
多くの人命を奪い、地球環境を激変させた世界大戦から30年を経過した後も、なお人類社会は元の姿を取り戻すには至っていなかった。
ある日、無頼の傭兵・ムトーは、フィリシア・エプスタインと出会う。
フィリシアは天才一家エプスタイン家の末娘で、自身も16歳ながら生体工学の科学者であった。
フェリシアは、行方不明となった兄のリオン・エプスタインの行方を追ってスラム街へと赴くという。
護衛としてフェリシアと行動を共にするムトー。
しかし、スラム街にはリオンはおらず、ふたりは、大戦前に科学を結集してつくられた伝説のシェルター「OZ(オズ)」を探して旅をすることになるのだった。

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本作品「オズ」は、1993年に星雲賞(コミック部門)を受賞した樹なつみさんの漫画「OZ」を原作とするラジオドラマです。
本作品のタイトルは、原作では「OZ」とアルファベット表記ですが、NHK年鑑で確認するとラジオドラマはカタカナで「オズ」となっています。
当時どのように表記していたかはよくわかりませんが、まあどちらでも良いでしょう。

さて、本作品の公表前後の経緯を時系列で見ますと、まず原作漫画の最終章であるchapterXが公開されたのが「ララ」の1992年6月号であり、これが単行本化されたのが1992年9月。
実は原作完結前の1992年8月にアニメ化されています(樹さんが描いたラストのラフ原稿を参考に制作)。
また、本記事で紹介するラジオドラマ版が青春アドベンチャーで放送されたのが原作最終刊発売の5カ月後の翌1993年の2月。
そして、その年の8月に行われた日本SF大会で星雲賞(コミック部門)を受賞していますので、1992年6月から1993年8月までの1年あまりの間に「OZ」関係のイベントが集中したことになります(2005年には舞台にもなっています)。

さて、本作品はタイトルどおり「オズの魔法使い」をモチーフとした作品です。
「オズの魔法使い」の主人公ドロシーにあたるのがフィリシアで、ドロシーが途中で出会う、「脳のないカカシ」、「心のないブリキの木こり」、「臆病なライオン」にあたるのが、傭兵のムトーとネイト、そして1019(テン・ナインティーン)・1024(テン・トゥエンティフォー)といったロボットたち。
目指すべき相手である「オズの魔法使い」に該当するのがリオンといったところでしょうか。
ただし、本作品ではフィリシアではなくムトーが主人公のようです。
児童文学である「オズの魔法使い」をどのような教訓を含んだ作品と考えるかは人それぞれでしょうが、私としては、大切なものは自分の中にある、仲間と協力して困難を乗り越えていく過程が大事、といったところだと感じます。
本作品はSF漫画なので、そもそもそれほど教訓を重視した作品ではないのでしょうが、「突出しすぎた科学が毒だ」という台詞からもわかるとおり、テーマの方向性は似ているように感じます。

ところで、本作品の原作は単行本で4巻にも及ぶ大作です。
また、そもそも絵で説得する漫画と、音のみで表現するラジオドラマはあまり相性が良くない傾向にあると感じます。
青春アドベンチャーでも「東京防衛軍」、「ヘウレーカ」、「世界の終りの魔法使い」など、漫画の魅力を伝えきれていない(と感じる)作品が多くあります。
かかる状況を鑑みると、青春アドベンチャーの15分×10回の枠にこの作品を収めるのはなかなか無理があったと言わざるを得ません。
本作品を脚色しているのは、ヒロインのフィリシアを演じてもいる元宝塚女優の前田悠衣さん。
悲しみの時計少女」、「五番目のサリー」など数多くの作品で主役やヒロインを演じられ、1990年代前半の青春アドベンチャーの顔であった方です。
前田さんはまた、青春アドベンチャーで合計5作品の脚色されている方でもありますが、本作品が青春アドベンチャーに脚本家として参加した初めての作品ということになります。
そのためかどうかわかりませんが、どうしても、シーンシーンがぶつ切りで上手く繋がっていない、地名などの説明に汲々としているように感じられてしましいます。
後の前田さんの脚色作品では、例えば本作品と同じ松本保典さんが主演した「あの夜が知っている」など、この枠によくあった巧みな脚色をしていると感じる作品もありますが、正直、本作品は少し手に余ったように感じます。

その他の出演者としては、川口泰典さん演出作品らしく、1019役の春風ひとみさん(「ジュラシック・パーク」)や、1024役のあづみれいかさん(「あたしの嫌いな私の声」)など宝塚女優さんが多い配役ですが、本作品で特徴的なのはアニメ畑の大物声優さんが配されていること。
主役のムトーを演じる松本保典さん(「ランド・オーヴァー」シリーズ)もそうなのですが、もうひとりの傭兵ネイト少尉を演じるのが山寺宏一という豪華さ。
山寺さんは「困ったときの山寺宏一」と呼ばれるほど芸域が広く多くのアニメ作品に出演されている(「新世紀エヴァンゲリオン」の加持リュウジ役はこちら)のですが、今やそれだけではなく声優の枠にとらわれないマルチタレントとして活躍されています。
きちんと確認していないのですが、青春アドベンチャーに山寺さんが出演されているのはこれ一本だと思います。
ちなみにこの松本さんと山寺さんの配役はアニメ版でも同じでした。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。



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