青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

女たちは泥棒 原作:半村良(FMアドベンチャー)

作品:女たちは泥棒
番組:FMアドベンチャー
格付:B
分類:活劇
初出:1984年5月21日~6月8日(全15回)
原作:半村良
脚色:安江進
演出:安江進
主演:松橋昇

フランス料理店「リトリート」に集う4人の男女。
「リトリート」と貴金属商のオーナーを兼ねる初老の紳士・堂島。
およそソムリエとは思えない巨漢の偉丈夫・渋田。
女性を虜にせずにはいられないハンサムの谷本。
そして谷本を師匠と慕う美女・加奈子。
彼らには人に知られていけない裏の顔があった。
そう、彼らは日本でも指折りの泥棒。
まさにプロフェッショナルと呼ぶにふさわしい現在の盗賊なのだ。

―――――――――――――――――――

皆さんは半村良さんといえば何を想像されるでしょうか。
一般的にはSF小説でしょうか。
「戦国自衛隊」などが有名ですし、私自身「岬一郎の抵抗」なども思い出深いので、やはりSF作家の印象も強いのですが、個人的に一番印象的なのはやはり「産霊山秘録」や「妖星伝」などの伝奇色の強い作品。
子供にはちょっと刺激が強すぎましたけど。

さて、そんな半村さんですが、このラジオドラマの原作である同名の小説「女たちは泥棒」はSF小説や伝奇小説ではなく、いわゆるピカレスクロマン(悪漢小説)です。
敢えてSFじゃない半村作品をチョイスするあたり、むかしからNHK-FMのドラマスタッフが変化球好きだったことがわかり面白いですね。
まあ、半村さんはもともと人情小説で直木賞をとった方でもあるので、SF小説家と単純に規定することの方が間違いなのかもしれません。

さて、本作品は前に述べたようにピカレスクロマンなのです。
「ピカレスクロマン」って何?という方に簡単に紹介すると、「ルパン三世」みたいな犯罪者を主人公とする作品です。
本作品の主人公・谷本修一は「天才的怪盗」といえば聞こえはいいですが、れっきとした犯罪者です。
その圧倒的な泥棒の才能で、どんなところにも潜り込んで、どんなものでも簡単に盗み出してしまします。
ただし完璧な人間かというと意外とそうでもなく、本作品中でもいくどもミスとして、師匠である堂島や、仲間の渋田に助けられます。
この3人のプロフェッショナルに、押しかけ弟子である「素っ裸泥棒」の加奈子が加わって、「泥棒一家」のような趣です。
そのため、常にギリギリの緊張感が漂う「クライムアクション」というより、「ピカレスクロマン」のうちロマンの要素も強い、娯楽性の高い作品になっています。
ただし、肝心の盗みがどのように天才的なのかがいまひとつ省略気味であったり、連作短編形式であるからか一つ一つのエピソードにあまり深みがなかったりする点がやや不満足に感じられました。
この辺は10分番組であった「FMアドベンチャー」の限界なのかもしれません。

さて、この作品で主役の谷本を演じているのは、元劇団四季の俳優・松橋昇さん。
松橋さんは同時期に放送されていたNHKの人形劇「三国志」でも、孫権や孫策、趙雲など多くの役で出演されていました。
松橋さんの起用はそんな縁があったからかもしれませんね。
一方、ヒロインの加奈子を演じるのは「ひろなかふじこ」さんという方。
残念ながら経歴等が全く分かりません。
むしろ謎の女性を演じている池田昌子さん(銀河鉄道999のメーテル。ラジオドラマでは「いつか猫になる日まで」)の方が有名ですね。
また、仲間の渋田を演じるのは東京放送劇団(当時)の川久保潔さん。
後の作品では「サラマンダー殲滅」、「ジュラシック・パーク」、「これは王国のかぎ」など、老人の役専門という印象ですが、この頃はまだ壮年の役もやっていたわけです。
そして、ボス的な立ち位置の堂島は若山弦蔵さん。
若山さんといえばショーン・コネリーを始めとした洋画の吹き替えで有名な方ですが、もともとはNHKの専属劇団である札幌放送劇団のご出身だそうで、ラジオドラマはお手の物です。
最後にナレーションを担当するのは城達也さん。
城さんといえば「JET STREAM」ですが、その他にもF1や銀河鉄道999(「万感の思いを込めて汽車がゆく…」)、忍風カムイ外伝(NHK-FM版ではない方)など、多くのナレーションが印象的です。
あの落ち着いた語り口は本作品でも健在です。

最後にスタッフについて触れますと、本作品は演出の安江進さんが脚色も担当する異色の布陣。
脚色と演出を兼ねた方は、今まで紹介した中では、高橋陽一郎さん(「カラマーゾフの森」)、吉田浩樹さん(「ふたり」)など、極わずかしかおられません。
安江さんはTVドラマでも「銀河少年隊」や「まんが道」、「快傑黒頭巾」など多くの作品を演出されているようですので、多芸な方だったのかもしれませんね。




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