青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

イーシャの舟 原作:岩本隆雄(青春アドベンチャー)

作品:イーシャの舟
番組:青春アドベンチャー
格付:A-
分類:SF(日本)
初出:2001年5月14日~5月25日(全10回)
原作:岩本隆雄
脚色:平石耕一
演出:保科義久
主演:佐々木望

廃品回収業に従事する温厚な青年・宮脇年輝と、日本最大手の家電メーカー「NEED」の開発部長を務める才媛・佐久間和美。
その日、ふたりが出会った場所は、和美がNEED創業者の祖父から譲り受けた「入らずの山」だった。
そしてふたりは、それぞれ崩壊の危機にある地球の運命に大きな影響を与える発見をすることになる。
和美が見つけたのは、4000年前から地中に眠っていた宇宙船。
そして、年輝が出会ったのは、天邪鬼伝説を再現したかのような「イーシャ」という不思議な人型の生命体だった。

―――――――――――――――――――

本作品「イーシャの舟」は、岩本隆雄さんの小説を原作とするラジオドラマです。
原作は、他の岩本さんの小説作品「星虫」、「鶴姫真話」、「鶴姫異聞」とともにひとつの時間軸の物語とされ、これらはまとめて「星虫シリーズ」とされているそうです。
これら4作品の年表をまとめているページを見つけました。
ご興味のある方は以下のページをご参照ください。
ただしネタバレにはご注意下さい。

(外部リンク:『星虫』関連年表)
http://www.ne.jp/asahi/suzumori/maturiya/talk/hosihime.htm

なお、これらの中でも「星虫」は本作品に先立つ1992年に青春アドベンチャーにてラジオドラマ化されています。
時系列的に言うと、「イーシャの舟」が「星虫」より数年前の事件とされており、ラジオドラマ版「星虫」でも冒頭と終盤で一言ずつ「イーシャの舟」で起きた事件が語られています。
しかし、両作品は基本的に独立した内容であり、それぞれ別々に楽しむことができます。
また、微妙に矛盾しているような気も。
この辺は「星虫」の記事をご参照ください。

さて、本作品のジャンルはwikipediaでは「ホラー」と書かれているのですが、少なくともラジオドラマを聴いている限りでは、恐怖要素は全くありません。
ではどんなジャンルがふさわしいかというと、不思議な生物が出てくるなど、ファンタジーぽい要素もあるのですが、スペースコロニーの技術的問題点が語られていることなどを踏まえると立派なSFといってよいと思います。
敢えて言うなら「ファーストコンタクトもの」のSFといえるかも知れませんが、そんなに堅苦しいものではありません。
「大昔に空から落ちてきたUFO」という点では同じ青春アドベンチャーでラジオドラマ化された「スフィア」と似ていますが、深海が舞台で、終始サスペンス調の展開が続く「スフィア」とは全く違い、恋愛が意外と重要なテーマだったり、環境問題を背景にしているなど身近な内容であり、敢えて言うなら「ファンタジーSF」といったところでしょうか。
ご都合主義のかなり甘い話ではありますが、優しい、穏やかな作品で、ハッピーエンドの結末といい、好感の持てるストーリーだと思います。
ただし、個人的には、修験者・微角が締める物語ラストのひとくだりは必要だったのかな、と感じざるを得ませんでした。
どうしても取ってつけたような感がぬぐえませんでしたので。

なお、この環境問題についてですが、本作品の原作の初版が発行されたのは1991年なので問題なのですが、このラジオドラマが作られた2001年にはすでに「家電リサイクル法」(特定家庭用機器再商品化法、1998年)が成立していたはずですので、ややセリフに不自然さが見られます。
この辺はうまく処理してほしいところでしたね。

さて、本作品の主人公である年輝を演じるのは声優の佐々木望さん。
アニメ「銀河英雄伝説」のユリアン・ミンツ役を始めとして、1980年代から1990年代の多くのアニメで主要キャストを担当された方です。
当時は少年役が多かった印象がありますが、その後、何故か声質が変わったようであり、本作品は声質変化後の作品です。
とてもユリアンと同じ方が演じているとは思えないのが不思議なところです。
もうひとりの主役?である和美を演じるもの声優の朴璐美(ばく・ろみ)さん。
後にアニメ「鋼の錬金術師」(2003年)のエドワード・エルリック役で有名になる方ですが、時系列的には本作品出演時の朴さんはブレイク前夜といったところでしょうか。
ちなみに朴さん、「太陽の簒奪者」(2006年)、「レディ・パイレーツ」(2012年)などにも主要キャストで出演されている、青春アドベンチャーの常連出演者でもあります。
本作品は朴さんが青春アドベンチャーで主役級で出演された最初の作品なのではないかと思います。
本作品での演技が認められたんでしょうかね?

また、その他、謎の生命体(実はヒロイン?)のイーシャを演じる西原久美子さんも、年輝の友人の三島亨を演じる関俊彦さんも有名な声優さんのようです。
ラジオドラマにおいて、妖怪などの不思議な生物の役は声優さんの力の発揮どころだということについては、「封神演義」や「ミヨリの森」などの記事でたびたび書いたところであり、本作品の西原さんの演じるイーシャ役もなかなか良くあった配役だと思います。
さらに本作品のアニメ声優さん起用はこれらの主要キャストだけにとどまりません。
後半には、三石琴乃さん(役名は秘密)と玄田哲章さん(修験者・微角役)まで登場する始末。
特に三石さんは、本作品制作時ですでに、出世作となったアニメ「美少女戦士セーラームーン」の主人公・月野うさぎ役(1992年)や、社会現象になったアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の葛城ミサト役(1995年)を演じた後の時期であり、アニメファンには相当知られた方でした。
三石さんの役は、本作品のタイトルを考えるととても重要な役ではありますが、出番は主に後半に限られており、アニメファンに対するファンサービス的な匂いも感じます。
相変わらずNHKらしい豪華な使い方です。
本作品の登場人物は大人であり、この点では「星虫」よりは少しだけ大人向きの作品にはなっていますが、基本的にはファンタジックな作品です。
そのため、このようなアニメ畑の声優さんの多用は作品の傾向にあっていると思います。
まあ、演出が、アニメ声優さんを使うことが多かった保科義久さんだということが最も大きな理由だとは思いますが。

【保科義久演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。





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