青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

しゃべれどもしゃべれども 原作:佐藤多佳子(青春アドベンチャー)

作品:しゃべれどもしゃべれども
番組:青春アドベンチャー
格付:A
分類:職業
初出:1999年4月12日~4月30日(全15回)
原作:佐藤多佳子
脚色:岡本螢
演出:平位敦
主演:林家いっ平

今昔亭三つ葉(こんじゃくてい・みつば)こと、外山達也は26歳の落語家だ。
性格は、超の付くほどお人好しでお節介で、しかも鈍感だ。
今回も、あがり症の幼なじみ・綾丸良(あやまる・りょう)に泣きつかれて、話し方教室ならぬ落語教室を開くことになってしまった。
良のほかに、この教室に通うことになったのは、美人だがやたらと冷たい印象の元劇団員・十河五月(とがわ・さつき)と、母親の願いを無視して関西弁を直そうとしない少年・村林優、そして頑固で監督やフロントと衝突を繰り返していた元プロ野球選手・湯河原太一の3人。
4人併せて、内気・無愛想・生意気・偏屈と四拍子揃った落語教室とは思えない生徒達だ。
始まった教室も予想通りなかなかまともな授業にはならないが、実は生徒たちは皆、それぞれの事情を抱えており、やがて彼らなりに真剣に落語に向かい合うことになる。
そんな4人を通じて三つ葉もまた、自分自身と自分の芸を再発見していくのだった。

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本作品「しゃべれどもしゃべれども」は佐藤多佳子さんの漫画化、映画化もされた同名の小説を原作とするラジオドラマです。
「落語」がクローズアップされた作品であり、「雨にもまけず粗茶一服」(茶道)と並び、日本古来の文化を道具立てとして使いながら現代の若者の成長を描くタイプの作品です。
ちなみに脚本はNHK-FMのラジオドラマではおなじみ、ベテランの岡本螢さんです。

さて、本作品は、若手落語家の三つ葉が、性格もおかれている環境も全く違う4人の様々な事情に巻き込まれて(おせっかいで首を突っ込んで?)、人間として、また落語家として成長していく過程を描いた作品です。
三つ葉も彼ら4人も、一見、普通の正確に見えますが、実はなかなかクセのあるキャラクターで、意外とイラッとくる言動もあります。
特に序盤の綾丸良のダメ人間っぷりがうざい。
うざいといえば村林も結構うざいし、クールビューティーっぽく登場した十河も男をダメにするタイプだし、湯河原も社会人としてはどうかなあ。
ただ、それがそれほど嫌味には感じられず、うまい構成と相まって、全体として爽やかな青春ストーリーになっているところが好印象です。
2007年に、やはり青春アドベンチャーでラジオドラマになった「一瞬の風になれ」も一ノ瀬連というクセのあるキャラクターを登場させながら同じように爽やかな話になっており、佐藤さんの作品は安心して聴けるという印象が強いですね。

さて、ストーリーはこの辺にしてこの作品の一番の特徴である、出演者に話を映します。
主役の今昔亭三つ葉を演じるのは、本職の落語家さんの林家いっ平さん。
いっ平さんは、本作品が放送された約10年後の2009年に2代目林家三平を襲名することになる方ですが、もともと初代・林家三平さんの息子さんで、師匠は林家こん平さんという落語界のサラブレッドです。
この「しゃべれどもしゃべれど」は映画化もされており、そちらで三つ葉を演じた国分太一さんのキャスティングも悪いとは思いませんが、青春アドベンチャーの方が、本職を起用しており本格的です。
三つ葉は「26歳の二つ目」という設定ですが、本作品の中のミニコーナー「落語一口メモ」によれば、これを演じた当時のいっ平さんは「28歳の二つ目」だったそうですので、ほぼ同じ立場。
絶妙のキャスティングですね。
なお、NHKクロニクルなどをみても出ていないのですが、本作品には林家鉄平さん、林家しん平さん、林家綿平(きんぺい)さん(いずれも漢字があっているかは不明です)などの落語家さんもちょい役で出演されています。
ところで、先に述べた「落語一口メモ」ですが、尺の都合からか第11回と第15回にはないのですが、それ以外の全ての回に付いており、長いときには2分を超える立派なコーナーになっています。
青春アドベンチャー系のラジオ番組で、このようなショートコーナーが付いていた例としては、「火星ワンポイント講座」が付いていた「最後の惑星」、「封神演義一口メモ」が付いていた「封神演義」、「ドラキュラをもっと知りたい」が付いていた「吸血鬼ドラキュラ」などがあります。
その中でも本作品は主演の林家さんが自分の言葉でしゃべっているという点でとても特徴的です。
これができるのも本職の落語家を採用したからこそでしょう。
このコーナーでは主として前半の回では落語の豆知識の紹介、後半の回では林家さんが小ネタを披露しており、なかなか聞き応えがあります。
ただし、第7回だけは10秒程度で一発ギャグを披露する超ショートコーナーになっています。
ちなみにいっ平さんのお兄さんの林家正蔵さんは「吸血鬼」でナレーションを担当しています。
青春アドベンチャーに縁のあるご兄弟ですね。

その他の出演者は、まずヒロインの十河五月役が麻生侑里(あそう・ゆり)さん。
十河のほか落語教室の生徒がほぼそのままメインキャラですので、綾丸良役の野沢聡さん、湯河原太一役の伊藤哲哉さん、村林優役の嚴樫佑介(いずかし・ゆうすけ。「少年H」主演。)さんあたりが主要キャストです。
また注目なのが、三つ葉の師匠・今昔亭小三文(こんじゃくてい・こさんもん)を演じた柳澤愼一さん。
1932年生まれですので結構なお年のはずですが、青春アドベンチャーでは、「しゃばけ」・「南の島のティオ」(2002年)、「金春屋ゴメス」(2006年)、「ラジオの前で」(2007年)、「ごくらくちんみ」(2009年)など近年も積極的に出演されています。
本作品の小三文はもちろん落語家ですので、落語をするシーンもあるのですが、なかなか堂に行った演技です。
柳澤さん、戦前は喜劇王といわれたエノケンこと榎本健一さんから可愛がられたとのことですが、落語の経験もあるのでしょうか。




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