青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

カラフル 原作:森絵都(青春アドベンチャー)

作品:カラフル
番組:青春アドベンチャー
格付:AA
分類:幻想(日本)
初出:1999年3月29日~4月9日(全10回)
原作:森絵都
脚色:丸尾聡
演出:江澤俊彦
主演:多賀基史

どうも「ぼく」は死んでしまったらしい。
生前の記憶はないが、天使プラプラが言うには大きな罪を犯して死んだのだという。
だから生まれ変わることもできず、このまま消滅するしかない。
しかし、そんな僕に向かって、プラプラはある驚くべきことを言い出した。
なんと僕は“ラッキー抽選”に当選し、修行をするチャンスを与えられたというのだ。
修行を通じて自分の罪を自覚すれば生まれ変わることもできるという。
でも、その修行は生前に犯した罪が重ければ重いほど過酷なものになるらしい。
苦労をしてまで無理に生まれ変わりたいとは思わなかった僕はその修行を拒否するが、ボス(=神様?)の意思には逆らえない。
嫌々、人間界に戻り、自殺したという見知らぬ少年“小林真”の体を引き継いで“修行”を開始することになったのだが...

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青春アドベンチャーでは傑作「DIVE!!」の原作者として印象深い森絵都さんの小説を原作とするラジオドラマです。
マイナーな作品を取り上げることが多い青春アドベンチャーでは珍しいことに、森さんは直木賞作家ですし、「DIVE!!」も本作品「カラフル」も森さんの代表作のひとつと言って良いかと思います。
この「カラフル」も、2000年に田中聖さん(当時はKAT-TUN)主演で実写映画化され、2010年にはアニメ映画化もされています。
ちなみに、ジュブナイル的な作品を原作として取り上げることが多い青春アドベンチャーでは、「天使が人間界にやってくる」ことをネタにした作品が意外と多く、すでに紹介した作品では、「赤川次郎の天使と悪魔」や「折原みとの“夢みるように愛したい”」・「折原みとの“天使の降る夜”」がそのような作品です。
そういえば主人公がある種の天使(エンジェル)である「エンジェル」や、主人公が死神である「死神の精度」なんて作品もありましたね。

さて、本作品の主人公は、自分が誰だかわからない“ボク”です。
ただし、輪廻のサイクルに戻るための修行として“小林真”の体に入るため、プラプラ以外の登場人物たちは彼をあくまで“真”として認識しており、そのため彼は作中で終始、“真”と呼ばれます。
そして、その生活をするための基礎知識として、真が自殺した日の行動をプラプラから教えてもらうのですが、それを通じて、一見、円満そうな彼の家族(父・母・兄)やガールフレンドの裏の顔を知ってしまいます。
それで一層やる気を失ってしまう“ボク”なのですが、その世界で暮らすうちに、本作品のタイトルである「カラフル」という言葉につながる人間の特性に気がついていきます。
それが何なのか、“ボク”は自分の罪を自覚することが出来るのか。
後者については、正直言って、最初の1・2回あたりを聴いた段階で何となく想像ができてしまうミエミエの展開ではあります。
また、周囲の人たちの「裏の顔」は、ストーリーが進んでいくうちに、そもそも誤解だったりそうでないとしても行動で反省を示していたり、あるいは自分自身も傷ついていることがわかったりするのですが、中には押し黙っただけで通しちゃう人がいて、そのことに微妙に納得いかない感も受けました。
しかし、身勝手な言動や援助交際、自*(自主規制で伏せ字)を含めて、中学生の内面や行動を(そこそこですが)美化せず描き、そうでありながら、爽やかな成長物語になっている点でなかなか好印象の作品でした。

さて、本作品で主役の“ボク=真”を演じているのは多賀基史さん。
青春アドベンチャーでは本作品のほか、「鬼の橋」(1999年)、「渚にて」(2004年)でも主演されており、かなりの常連出演者さんなのですが、今ひとつ来歴がわかりません。
そして、本作品の出演者でなんと言っても印象的なのは、天使プラプラを演じている井上真樹夫さん。
井上さんと言えば、アニメ「ルパン三世」の石川五ェ門役や、「宇宙海賊キャプテンハーロック」のハーロック役、「巨人の星」の花形満役などで有名で、口数の少ない(花形はそうでもないか)大人の男性役のイメージが強い声優・俳優さんです。
しかし、NHK-FMのラジオドラマではむしろ「もしかして時代劇」や「サハラの涙」、「完璧な涙」などでの、軽妙なナレーションのイメージが強い。
その中でも本作品のプラプラは一段とはっちゃけたキャラクターで、井上さんの演技も五ェ門やハーロックと同じ人が演じているとは思えないテンションの高いもので、もはや怪演といってもよいほどです。
さすがにプロフェッショナルですね。
ちなみに、本作放送時点で井上さんは59歳くらいだったはずです。
本作品のプラプラの声は意識してか、結構、年齢を感じる声なのですが、五ェ門やハーロックの声を聞いていて年齢を感じたことがありません。
この辺もプロフェッショナルらしいところです。
また、丸尾聡さん脚色作品の恒例として、本作品でも脚本家の丸尾聡さん自身がカメオ出演されています。
サバイバル」、「オペレーション太陽(ソル)」、「世界でたったひとりの子」などにも出演されており、結構、丸尾さん出たがりですよね。
なお、丸尾さんが脚色された「精霊の守り人」などでは、世界設定を視聴者に説明する必要がある作品だったからか、ナレーションが多い印象があったのですが、本作品のナレーションは“ボク”による自然なモノローグになっており、違和感はありませんでした。

最後に「恒例」つながりで、本作品でみつけたNHK恒例の「言い換え」を紹介しますと、本作品には「ミセスドーナッツ」なる言葉が出てきています。
いうまでもなく例のドーナッツ屋さんを実在しない固有名詞に言い換えたもののようです。





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