青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

「冷凍人間の復活」に隠された真相に関する妄想

この記事はNHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」で放送された小金丸大和さん作のラジオドラマ「冷凍人間の復活」について、私の勝手な妄想を述べる記事です。
「冷凍人間の復活」のまっとうな紹介記事はこちらですので、まずはそちらをご覧ください。
この記事は、私の憶測と妄想を練り上げて、ラジオドラマの行間を無理やり読み、ラジオドラマで語られなかった真相を想像しようとするものです。
本作品が大好きな方や関係者の皆様にはご不快な部分もあるかもしれません。
平にご容赦頂き、できれば読み飛ばして頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

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さて、私の妄想を語る前にまずこの「冷凍人間の復活」の粗筋を書かねばなりません。
完全にネタバレです、ご注意下さい。

がんの治療方法が見つかるまで約5年と信じ、必ず待っていると約束する身重の妻・美幸を残して、親友・丸木の提案するコールドスリープに入った明。
しかし実際に目覚めたのは40年以上も経過した未来だった。
出迎えてくれたのは老人になった妻・美幸と丸木。
そして、すでに中年男性になっている息子の光と、大学生の孫の晃一。
さらに丸木の娘で主治医として付いてくれた涼子。
驚く明だが、やがてもっと驚くことを知ってしまう。
自分が眠っている間に、妻・美幸が自分を裏切って、親友だった丸木と結婚しているという。
つまり、涼子は美幸と丸木の子であり、光と涼子は父親の違う兄妹。
そして彼ら全員は、この事実を明に伏せて対応していたのだ。
「ショックを与えないため。いずれ真相はきちんと話すつもりだった」と語る丸木と美幸だが、この事実を知り当然ながら荒れに荒れる明。
しかし、最終的には、親身になってくれた涼子や、気負わず付き合ってくれる晃一に助けられ、自分にとって最も大事なことは美幸の幸せだったことを思い出し、美幸と丸木の仲を認めることを決める。
幸運にもコールドスリープ中に明の会社は大発展を遂げたことから、明は思わぬお金持ちになっていた。
明は新しい人生を生きる決意をするのだった。

全体のストーリーとしてはこんな感じです。
言葉だけだと人間関係がわかりづらいので、図で示すと以下のとおりです。
冷凍系図3
このような形で、爽やかな話として美しく完結した「冷凍人間の復活」ですが、私の中ではどうしても、ざわざわする気持ちが納まらないのです。
このざわざわは本作品のどの部分に起因するか考えてみると、いくつか思いつきました。
まず、明がコールドスリープに入る前に美幸が暮らしていたマンションで、丸木は美幸と約40年間も同居していたという事実。
自分が寝取った女の旦那が所有していたマンションに居座り続けるという行為は明らかにグロテスクです。
また、明が荒れたときに、光は実の父親である明を罵倒するのですが、後日、コロッと態度を変えて、明に一緒に住もうなどと提案します。
嫌っており面罵した父親に対して一緒に住もうというのはとても異様です。
そもそも明も戸籍上は老人とはいえ、実質上は心身ともに健康な30歳前の健康な男性。
新しい時代にだってすぐに慣れるでしょうし、息子が一緒に住んでやらなければいけない理由は何もありません。
さらに、第4話ではめちゃくちゃ荒れていた明が、第5話からいきなり悟ったように良い人になってしまったこと。
冷静になったといえばそれまでですが、あまりに物わかりが良すぎます。
これでは単なる「都合のいい男」です。

これらのことが自分の中で気になった背景をさらに考えてみると、「夏への扉」の存在に思い至りました。
「夏への扉」は青春アドベンチャーでもラジオドラマ化された、SF小説の古典的名作です。
それがこの「冷凍人間の復活」と似た要素を多く持っているのです。

・主人公は親友の手によってコールドスリープされること。
・その親友に裏切られ最愛の女を奪われること。
・でも目覚めた世界で主人公は大金持ちになること。
・裏切った親友の身内に心の優しい女性がいて、主人公の味方になってくれること。

こうしてみるとそっくりです。
でも両作品には違いもあります。
一番大きいのは、「夏への扉」のマイルズとベルは計画的に主人公ダンを裏切って邪魔者を消すためにダンを騙してコールドスリープに送り込んでいるのに対して、「冷凍人間の復活」の丸木と美幸は明がコールドスリープに入った時には裏切るつもりはなかったのに、状況に流されて仕方なく裏切ってしまったことです。
でも、本当に仕方なくなのか?!

そこまで考えて作中のあるセリフを思い出し愕然としました。
「光は丸木に似ている」、「お父さん(=光)は丸木さんの子なの?」
このセリフは、光は丸木に育てられたから似ている、丸木は光をよく育ててくれた、という流れ中のセリフで深い意味はないはずなのですが、これに意味があるとしたら!
仮に、明がコールドスリープに入る前から丸木と美幸はできており、美幸のお腹の子供(=光)の真の父親は丸木だ、などという可能性はあるのでしょうか。
これについては、実は作中でも明らかにされているのですが、もともと明と美幸と丸木は学生時代からの友人で、実は丸木は昔から美幸が好きだったという設定があります。
さらに意味深なのが丸木が明のガンを知った経緯。
作中で明が直接伝えたのではないことは明言されています。
では誰が丸木に伝えたのか。
美幸しかありえません。
美幸が学生時代からの知り合いでしかも医者である丸木に話すのは、一見自然なことのように思えます。
しかし、ことは不治の病です。
いくら親友とはいえ、本人に黙って話すのはちょっと不自然です。
しかも丸木が知ったことを明が知らなかったことは、作中のセリフから明らかなのです。
こうしてみると何もかも怪しく見えてきます。
仮に光が丸木の子だとした場合なにが起こるか。
光が生まれた後であれば、「光の顔が自分にいていない。なぜかむしろ親友の丸木似ている」なんて、明が疑う事態も生じたかもしれません。
そういう意味では、光がまだお腹の中にいる時期こそが、丸木と美幸が何かする最後のタイミングだったことになります。
さらに考えるとこの絶好のタイミングにたまたま明がガンになったのも偶然なのかまで疑惑は及んできます。
はっきりいって明は本当にガンだったのか。
明を診断した医者は血液検査とレントゲンだけで「末期の肝臓がん」と断言しています。
私も身内をガンでなくしていますが、こんな安易な判定はありえません。
明の腹が痛かったのは確かですが、腹痛くらいであえば妻が共謀すれば腐ったものを食べさせるなどして起こさせることは十分可能でしょう。
また、診察医を抱き込むのは一般的には難しいでしょうが、丸木が医者であることを考えれば一般人よりはハードルは下がります。
そもそもこの診察をした医者だって親友である医師の丸木が明に紹介した可能性が高いでしょう。
明は社長ですが会社といってもほぼ自営業に近い規模でしょうし、大会社で指定の医療機関の医師に検診を受けているのとはわけが違いますから。
不倫の関係にある丸木と美幸が、生まれた子供から不倫が明に露見する前に、彼をガンだと騙してコールドスリープに入れた...
何ともどす黒い構図が見てきました。

でもまだまだ問題があります。
動機です。
しかも動機についてはふたつの動機を解明しなければいけません。
ひとつは「なぜ二人は明をコールドスリープに送り込んだか」。
そしてもうひとつは「折角眠っている明をなぜわざわざ起こしたのか」です。
ここでキーとなるのは、最終的に明が大金持ちとなっていることです。
明が経営していた会社が眠っている間に大発展していた、というのがその原因です。
でもこれで、妻の美幸ではなく、明が大金持ちになったということは、会社の株は明が所有し続けていたことになります。
そもそもコールドスリープに入った人間の法的な権利義務がどうなっているのか、についての直接の言及は作中にはありません。
作中では、明がコールドスリープ中も妻子が困らないだけの財産を残したことにされていますが、目覚めた後に明自身が大金持ちになっていることから、遺産として妻子に入ったわけではないようです。
あくまで明の財産のおこぼれを、明の代わりに使っているという位置づけだったのでしょう。
それについては、終盤、美幸が初めて海沿いの明の作った家に行くシーンが傍証になっています。
この時まで、美幸はこの家の存在を知りませんでした。
つまり美幸は夫、明の資産状況を全くつかめていなかったわけです。
しかも美幸の息子・光が弁護士でありながらです。
弁護士ですら資産を自由にするどころか、資産の全容を把握するでことすらできていなかったことがわかります。
とすると美幸が明のマンションに住み続けていたのも、結局、自分の所有物ではないので売却どころか賃貸すらできなかったということなのでしょう。

ここで光が弁護士ということを書きました。
実は「夏への扉」で主人公を騙すマイルズも弁護士です。
本作中で光が弁護士であることはストーリー上は特段必要のないことです。
「夏への扉」は超有名作ですので、本作の作者の小金丸さんももちろん知っている可能性があります。
光を弁護士にしたのはひょっとしたら小金丸さんからのヒントなのかも知れません。

さて、動機の話に戻ります。
解明が必要な動機の第1「なぜ二人は明をコールドスリープに送り込んだか」についてはすでに一応の回答を出しています。
不倫を隠すためという動機です。
もちろん殺してしまう、という選択肢もあったはずですが、さすがに明確な殺人は躊躇するでしょう。
またもう一つの動機としてはお金の問題を考えざるを得ません。
作中で明は「(コールドスリープからよみがえった前例なんてないのだから)法律は後追いにしかできない」と言っています。
これはコールドスリープからよみがえる時だけではなく、コールドスリープに入る時も同じだったのではないかと思われます。
丸木と美幸は、明を殺さなくてもコールドスリープにすれば法律上、死亡や失踪と類似した扱いになって、明の財産を自由にできる可能性があると思ったのではないでしょうか。
ところが後追いでできた法律はそうはならなかった。
丸木と美幸は疑われないように入籍をしないまま、法律が明確になるのを待っていたのでしょう。
待っていたといえば、光は「自分の分別がつくようになるまで二人は入籍を待った」と言っていますが、仮に光が18歳になるまで待ったとすれば、その時涼子はおそらく44歳(25歳+18年+1年)くらいでしょうか。
それから第2子の涼子を妊娠して出産したとすれば結構な高齢出産になってしまいます。
そのため、涼子は早めに作っていた可能性もあると思います。
入籍は待っていたとしても、ちゃっかり子供はつくっていたとすれば、「二人は入籍を我慢していた」ということから想像される風景も結構違ってくる気がします。

まあ、それはともかく二人の当ては外れて、生活費以上の明の財産をわがものとすることはできないことがわかってきたころに、明の残した会社は巨大企業になり、明の財産が巨額なものになってきたこともわかってくるわけです。
これが解明しなければいけない第2の動機「折角眠っている明をなぜわざわざ起こしたのか」につながってきます。
つまり明を起こして、再度、何とか騙して財産を譲らせる。
そのために一族全員で一芝居を打った、というのが、目覚めたときに明が体験した子芝居の原因なのではないでしょうか?
ただそうはいっても、どううまく言いくるめても最終的に美幸や丸木に金を譲らせるのは難しそうです。
真相を知った明が二人の幸せを祝福する可能性こそあれ、金まで贈るいわれはありません。それこそまさに「盗人に追い銭」ですよね。
ただ、光から見ると事情は違います。
明と離婚してしまえば他人に戻ってしまう美幸や、もともと他人の丸木と違い、光は少なくとも法律上は明の子供です。
本当は血縁上のつながりはないかも知れない、なんて話はしなければ明は気づかない。
うまく情に訴えれば、息子ということで財産をせしめることは可能でしょう。
またもう一つ気になるのが、美幸と丸木の法律上の夫婦関係。
作中では結婚したかのように言われていますが、今まで説明したように、明は法律的には死亡や失踪に類似した扱いをされていないようです。
とすると当然、法律上は明と美幸はまだ婚姻関係にあり、日本では重婚は認められませんので、美幸と丸木は法律的には結婚できていない、いわゆる事実婚の状況にあるだけなのかもしれません。
これらを総合して考えると、40年以上も忸怩たる思いできたうえに年老いて気が弱くなった美幸と丸木が、何としても法律婚を勝ち取るとともに、明から直接、許しの言葉をもらって心の平安を得たくなった。
それを知った光が、美幸と丸木をうまく丸め込む形で、今回の復活計画を首謀したと考えるのはどうでしょうか。
改めて考えてみると、美幸は何らかのトラブルで明が目覚めないまま死亡すれば自動的に明の相続人になれますが、光は明の子供でないことがばれたら相続権はなくなってしまう不安定な立場です。
法律をよく知っており、自分の立場もよくわきまえた光こそが首謀者に思えてきました。
まあ、明が目覚める場に、思い出の柱時計を持って現れてしまうあたり、美幸も相当、明を騙す気満々のようで、あまりイノセントだとは思えませんが。

ここでもう一つ考えたいのは犯人グループの範囲です。
仮に首謀者は光として、美幸と丸木も今回の作戦を知っていたことは確かだと思います。
問題は涼子と晃一。
この二人もとりあえず現状を明に黙っているという点では明を騙す側に加担しましたが、その真の目的は知らなかったと考えます。
というのは、真相が明に知られてしまうことになった経緯です。
明は、涼子と晃一と一緒に外に遊びに出た際に、彼らの制止を振り切って自分のマンションに戻ってしまいます。
これが、ことが露見するきっかけになるのですが、このとき美幸と丸木は完全に不意を突かれています。
いつも冷静な光ですら、相当焦ったのか、明に対してつい暴言を吐いてしまいます。
しまったと思ったのか後日、同居を申し出たりするわけなんですが。
このことから涼子と晃一は、光たち3人の最終計画をきちんと把握できていなかったと推測されます。
きちんと把握していれば明がマンションにいくことは何としてでも阻止したはずですから。
そもそも涼子は明が目覚める前から、明にシンパシーを感じていたわけで、そもそも明を目覚めさせる計画を善意から積極的に進めたのは彼女かもしれません。
それを止め切れなかった丸木と光が、事態を自分たちに有利な方に捻じ曲げるために練ったのが復活計画の全貌...というには、いささか推測要素が強すぎますね。
少なくとも涼子と晃一くらいは本当に善意であって欲しいものです。
そうでないと救いがなさすぎる推測ですしね。

ところでこの事態に明はどこまで気づいていたのでしょうか?
美幸と丸木が結婚していると知るまで、全く気が付いていなかったのは明らかですが、その後の第5話で態度が急変したのが気になります。
明は明らかに涼子に好意を寄せられています。
冷静に考えてみると、70歳近い老婆になってしまった妻の美幸より、圧倒的に若い涼子とお付き合いできるほうがハッピーです。
涼子は、昔自分が惚れた美幸の娘で容貌は似ているでしょうし、きっと美人です(根拠なし)。
妻の娘ということで、ちょっと背徳的な匂いもしますが、現実は元妻とその配偶者の子に過ぎず、自分自身とは血縁関係にありませんし、家族として一緒に暮らしていた訳でもないので、まあオッケーな相手です。
この急変ぶりを見ていると、ある程度、事情を分かったうえで、涼子を取ったということなのかも知れません。
明にとって涼子は、自分を裏切った美幸と丸木の子ですので釈然としない部分も残るかもしれません。
しかし、まあそれはそれ、お金もありますし、それこそ新しい人生と思えば、もうすぐ死んでしまう美幸と丸木のことをあまり気に病むより、自分に好意を持ってくれる新しい若い妻と新生活を築いたほうが建設的であることは確かです。
問題は光にどう対処するかですが、こちらはゆるゆると真相を調べて行って、自分の子でないとわかればその時点で対処すれば良し。
弁護士で手ごわければどこかで妥協点を探すという大人の対応もありでしょう。

というわけで、なんだか随分、汚い大人の世界的な結論にたどり着いてしまいました。
でも、本当に見えてきたのは汚さではなく、人間の弱さや悲しさであったような気もします。
本作品の真のテーマはその辺を表現することだったのではないか...と上手くまとめたあたりで、この駄文を終了したいと思います。
関係者の皆様、お許しいただければ幸いです。
それでは、また。

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