青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

名探偵なんか怖くない 原作:西村京太郎(FMアドベンチャー)

作品:名探偵なんか怖くない
番組:FMアドベンチャー
格付:AA
分類:推理
初出:1985年1月7日~1月18日(全10回)
原作:西村京太郎
脚色:高橋辰雄
演出:香西久、前田充男
主演:金内吉男

アメリカの名探偵エラリー・クイーン、フランスの名探偵メグレ元警部(すでに警察を退職しているため「元」)、イギリスの名探偵エルキュール・ポワロ、そして日本の名探偵・明智小五郎。
各国を代表する4人の名探偵が東京で一堂に会した。
4人を呼び集めたのは日本の富豪である佐藤大造氏。
かの有名な三億円事件を現実の事件として再現し、それを4人の名探偵に推理させることにより、三億円事件の真相に迫ろうというのだ。
鋭い推理で、“モデル犯人”村越の動きを次々に言い当てる4人の名探偵。
しかし、事件は当初の筋書きを超えて思いもよらない展開を始める。

―――――――――――――――――――

トラベルミステリーの第一人者で、今でも多くの作品がTVドラマ化される続けている「国民作家」西村京太郎さんのパロディ推理小説を原作とするラジオドラマです。
wikipedia(外部リンク)によれば単行本の類型発行部数が2億冊を超える作家は、日本では西村さんと赤川次郎さんだけだそうです。
そういう意味ではまさに現代の怪物作家なのですが、青春アドベンチャー系列の番組への取り上げられ方という面で見ると、「ふたり」や「魔女たちのたそがれ」など多くの作品が採用された赤川次郎さんと比較して、西村さん原作の作品はこれ一作であり、少し寂しいところです(誤認であればご指摘を)。
やはりトラベルミステリーは絵のあるテレビドラマでこそ生きると言うことでしょうか。

さて、本作品「名探偵なんか怖くない」は、冒頭の粗筋のとおり、トラベルミステリーではなく、クイーン、シムノン、クリスティ、乱歩という4人の推理小説の大家が生み出した架空の名探偵が、同一の世界で“夢の競演”をするパロディ作品です。
パロディと言ってもこれらの名探偵を茶化すのが目的のコメディ作品ではなく、すべての名探偵をキチンと立てた内容になっており、どちらかというと“オマージュ”とか“リスペクト”という言葉の方がぴったり来る作品です。
他の作家の作り出したフィクションの人物を“本歌取り”する作品としては、青春アドベンチャーでは北村想さんの「怪人二十面相・伝」をすでに紹介しています。
しかし、本作品は何と4人もの名探偵を出演させている豪華な作品です。
もちろん本家の作家に許可は取っていないと思うので、法的な問題は生じないのかという疑問が頭をかすめはするのですが、受け手としては単純に楽しむこととしましょう。

ちなみに本作品の原作は実は4部作で、本作品はその第1作です。
私は随分昔に4作とも文庫で持っていた覚えがありますが、この記事を書くにあたり久々に聴いてみるとやっぱり楽しいですね。
クイーン、メグレ、ポアロ、明智のそれぞれの役者さんがなかなか役にあった配役です。
加藤精三さんなんかメグレ役がぴったりだし、老境に入った明智役の森塚敏さんもいいし、金内吉男のクイーンや上田忠好さんのポアロも悪くないない。
また、佐藤に通訳として雇われた「三島」が作品全体の紹介役なのですが、この三島を演じているのが俳優の大和田獏さん(の大和田伸也さんは「封神演義」に出演されていましたね)。
なかなか粋な配役です。

さて、この「名探偵なんか怖くない」の原作小説を紹介する文章に必ず書かれていることがあります。
それは「ネタバレ注意」ということ。
原作小説は、とにかくたくさん、元々の各探偵が登場する作品のネタバレを含んでいるようです。
これは恐らくそういった古典を全て読んでいるであろうミステリー好きの読者に対するサービスであり、これこそ“リスペクト”なんだと思いますが、読んでいない人、特にこれから読もうと思っていた人にとっては確かに単なるネタバレ。
本ラジオドラマは原作ほどには、その要素はないのですが、メグレ警部の関与した「アクロイド殺し」や明智の「吸血鬼」、ポワロの「ローマ帽子の謎」に関しては、核心部分に関する情報が出てきたりするのも確かです。
聴かれる際にはご注意下さい。

なお、本作品が放送されたFMアドベンチャーは1話あたり10分間の番組でした。
そのため、通しで聴いているとすぐに1話が終わります。
正直ボリューム的には今ひとつで、物足りないと言えば物足りないのですが、本作品では10分という制限がテンポを良くしているという一面もあると思います。
ちなみに、各回に付けられている副題は以下のとおりです。

第1夜 名探偵勢揃い
第2夜 奇妙な提案
第3夜 第二の三億円事件
第4夜 目下、犯人を監視中
第5夜 クリスマスイブに事件が起こった
第6夜 犯人は誰か
第7夜 (不明)
第8夜 (不明)
第9夜 犯人からの手紙
第10夜 終わり良ければすべてが良いか



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