青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

北壁の死闘 原作:ボブ・ラングレー(青春アドベンチャー)

作品:北壁の死闘
番組:青春アドベンチャー
格付:AAA
分類:冒険(山岳海洋)
初出:1992年8月3日~8月14日(全10回)
原作:ボブ・ラングレー
脚色:じんのひろあき
演出:川口泰典

時は第二次世界大戦中、主人公はイタリア戦線に配属されたドイツ国防軍のエーリッヒ・シュペングラー軍曹。
彼は戦前はドイツを代表するクライマーだったが、ある理由から登山を諦めた男だった。
しかし彼は撤退中に突然本国に呼び戻され、少尉に特進の上、精鋭クライマーで構成される特殊攻撃部隊への配属を命じられる。
過酷な訓練を経て実行に移される特殊任務。しかし、計画は徐々に狂いを生じていく。そうした中、シュペングラーは任務のため、自分自身の過去に決着をつけるためにアイガー北壁へと向かう...

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原作はボブ・ラングレー原作の小説で、ジャック・ヒギンズの名作「鷲は舞い降りた」を髣髴とさせる冒険小説に、山岳小説の要素を加えた山岳冒険小説の傑作として知られています(ジャック・ヒギンズについては「暗殺のソロ」がラジオドラマ化されています)。
番組名が青春アドベンチャーになって以降では数少ない軍人が主人公の硬派な作品です
さらに冬山が舞台ということで、アイガー北壁に吹きすさぶ吹雪が、音だけの表現手段であるラジオドラマにとてもマッチし、想像力を掻き立てます。
また伊藤守恵さんの選曲もぴったりで、毎回、絶妙のエンディングで、次回を聞く気にさせます。
主役のシュペングラー役は渡辺いっけいさん。
同時期に「五番目のサリー」「サンタクロースが歌ってくれた」などにも出演し、当時の青春アドベンチャーの常連出演者でした。
私がはじめて渡辺いっけいさんを知ったのが青春アドベンチャーでしたが、その後テレビなどで姿を見かけるようになり、なんとなく嬉しかったのを覚えています。
若葉ひろみさんをはじめとする他の出演陣もイメージどおりですが、もう一人だけ出演陣に言及するなら、田山涼成さん。
田山さんといえばTVドラマ「特命係長 只野仁」の情けない中年上司役が印象的です。
しかし、声だけなら(失礼!)歴戦の特殊部隊指揮官であるオットー・スコルツェニーの役が見事に嵌っています。
田山さんは後半ではラッサー博士も担当しているのですがこれもぴったり。
厳格な軍人と老物理学者の両方に違和感ないという素晴らしい配役です。
ちなみに「サンタクロースが歌ってくれた」では本作のヒロインであるヘレーネ役の若葉ひろみさんと田山さん、そして渡辺さんがセットでご出演されています。
その他、ヘンケ役の鈴木勝秀さん、アルノ役の樋渡真司さん、シェルバーン少佐役の森下哲夫さんなどといったすべての役がイメージどおり。
役者さんの演技力ももちろんあるのでしょうが配役自体が奇跡です。

実は「北壁の死闘」をはじめて知ったのは、今はなきアニマルハウス誌で井上康彦さんが書いていた漫画版でした。
この漫画、作画は今風ではないのですがなかなか迫力があり、先を知りたくなり漫画の終了を待たず原作小説を読了。
その後にラジオドラマ化されました。
青春アドベンチャーの15分×10回というのは実質的に合計2時間弱の枠です。
そのため、たとえば「空色勾玉」がそうだったのですが、先に原作を読んでいるとどうしても省略されている箇所が気になる作品が多いのが現実です。
この作品の脚本家は「じんのひろあき」さんですが、この作品でも前半の山場であるカラニア・タワーのくだりやヘンケとの確執がばっさり削除されています。
しかし、その分、物語に必要な部分に絞ったシナリオになり、ラジオならではの音響表現を含めて、原作小説や漫画とはまた違った、しかし見劣りのしない作品になっていると感じます。
また、エピローグが秀逸なのも聞き終わった後に満足感が得られる原因だと思います。
実質的な冒険は第9話までで終わり、第10話はシュペングラーの最後の挑戦と現代に戻ってのエピローグに使われているのですが、これが余韻の残る良いエンディングです。

個人的には、この種の作品が毎回このレベルで続くと大変嬉しいのですが、そうは問屋がおろさないというのもまた青春アドベンチャーらしいところかも知れません。

【じんのひろあき脚本の他の作品】
スピーディーな展開、的を絞った見せ場。
青春アドベンチャー初期の名脚色家・じんのひろあきさんの担当作品一覧はこちらです。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。





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