青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

マドモアゼル・モーツァルト 原作:福山庸治(青春アドベンチャー)

作品:マドモアゼル・モーツァルト
番組:青春アドベンチャー(特集コミックアドベンチャー)
格付:AA
分類:歴史時代
初出:1992年10月26日~11月6日(全10回)
原作:福山庸治
脚色:内田史子
演出:斎明寺以玖子
主演:土居裕子

高校で音楽教師をしている裕子のもとに、先輩の勤が、200年前のアメリカで音楽教師をしていたエリザベスという女性が書いたというオペラの譜面を持って現れた。
オペラのタイトルは「マドモアゼル・モーツァルト」。
それは、モーツァルトが女性であったという驚くべき物語だった。
少女エリーザはなぜウォルフガング・アマデウス・モーツァルトと名乗ることとなるのか、どのような気持ちで音楽を作り、そしてどのような恋をしたのか。
物語はこのオペラで語られている彼女の人生へと移っていく。

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「コミックモー二ング」(後の週刊モーニング)で連載された福山庸治さん原作の漫画をラジオドラマ化した作品です。
原作である「マドモアゼルモーツァルト」が連載されたのは1989年から1990年。
翌年の1991年には「音楽座ミュージカル」によりミュージカルとして上演されました。
さらにその翌年の1992年にNHKの手により青春アドベンチャー枠でラジオドラマ化されたのが本作品です。
実はこのラジオドラマは音楽座のミュージカルの影響を色濃く受けた作品です。
影響を受けたと言うより、もはや姉妹作品と行っても過言ではありません。
主役のエリーザ(モーツァルト)を演じたのはミュージカルと同じ音楽座の土居裕子さん、モーツァルトの妻コンスタンツェも同じ音楽座の福島桂子さんです。
音楽も小室哲哉さんがミュージカル用に作曲した作品を使っていますし、何より作中で登場人物(ほとんどモーツァルトだけですが)がいきなり歌い出すというミュージカル風の異色の演出になっています。
青春アドベンチャーでも「砂漠の歌姫」や「僕たちの宇宙船」など、一部には作品中に歌を取り込んだ作品もあります。
しかし、本作品のようにミュージカル調になっている作品は、「少年漂流伝」などごく少数で、とても珍しい作品です。
正直、ミュージカル調であるというだけで拒否反応を示される方もいらっしゃるとは思いますが、基本的にストレートプレイに近い作品(モーツァルトの心情だけが一部歌で語られる場合がある)ですので、それほどは気にならないと思います。

ちなみに本作品は「青春アドベンチャー」の枠で放送されましたが、番組コール上は「特集コミックアドベンチャー」と題されていました。
青春アドベンチャーでは、漫画原作の作品はあまり多くありません
しかし、本作品の初回放送の際には、直前に楳図かずおさん原作の「わたしは真悟」の再放送を、直後には池田理代子さん原作の「ベルサイユのばら外伝」を放送しており、漫画原作の作品が3作品連続した時期でした。
ちなみに、本作品は好評だったらしく、僅か3カ月後の1993年2月に再放送されているのですが、その際には本作品の直後に、やはり漫画原作の「オズ」(OZ)が放送されており、NHKの番組編成上の工夫が窺われます。

さて、本作品はまず、現代日本の高校の放課後を舞台として、音楽教師の「裕子先生」と、その先輩である「勤先輩」の会話からスタートします。
このふたりの役名、よくみると「裕子先生」は主役のエリーザを演じる土居裕子さんから、そして「勤先輩」はサリエリを演じる磯部勤さんから取っているんですね。
細かいお遊びです。
そして、すぐに舞台は18世紀末のオーストリアに変わり、主にエリーザがウォルフガングになり、ウィーンで作曲家として活躍していく様が描かれます。
時々、舞台は現代日本に戻り、裕子と勤が「マドモアゼル・モーツァルト」について感想や今後の展開を予想しながら進んでいき、最後は劇中劇である「マドモアゼル・モーツァルト」と、現代の裕子・勤の物語が結びついてエンディングを迎えます。
予想通りと言えば予想通りですが、なかなか良くできた構成でした。

なお、劇中のモーツァルトは陽気で気まぐれな天才として描かれていますし、終盤で意外と重要な役になるシカネーダなど、世慣れた陽気な人物も登場します。
また、ミュージカル調でいきなり歌が挟まる構成はどこかユーモラスでもあるので、基本的には明るい雰囲気の作品なのですが、描かれている人間関係は意外とドロドロとしています。
磯部勤さんが演じるサリエリのモーツァルトに対する二律背反する思いや、福島桂子さん演じる妻・コンスタンツェの懊悩。
特に序盤に浮かれ気味だったコンスタンツェが、段々憔悴していく様子は妙にリアルです。
また、映画アマデウスで一躍有名になった「モーツァルト毒殺説」も大きく取り上げられており、終盤は結構ハードな展開です。
でも、結末は決してダークなものではなく、気持ちの良い作品でした。
考えてみると、この作品、いわゆる「悪人」はひとりも登場していない気がします。
もちろん原作が元々そういう作品だということが大きいと思いますが、作品チョイスを含めて、脚色:内田史子さん、演出:斎明寺以玖子さんという青春アドベンチャーでは珍しい女性コンビの作品であることが影響しているのかも知れませんね(偏見かな?ご不快になられた方にはご容赦を)。






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