青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

獅子の城塞 原作:佐々木譲(青春アドベンチャー)

作品:獅子の城塞
番組:青春アドベンチャー
格付:A+
分類:歴史時代
初出:2014年1月20日~1月31日(全10回)
原作:佐々木譲
脚色:小林克彰
演出:藤井靖
主演:石橋徹郎

戦国時代末期の1582年、ヨーロッパの築城技術を求めてひとりの石積み職人が海を渡った。
彼の名は戸波次郎左(となみ・じろうざ)。
ルネッサンス文化の中心地ローマで、3年と期限を決めて修行に打ち込む次郎左だが、彼を取り巻く状況は徐々に変化を始める。
パトロンであった織田信長の死、職人仲間との確執、異端審問の陰...
「日の本に、攻められても落ちぬ“不落の城”を築きたい」という次郎左の理想がかなう日は来るのだろうか。

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「エトロフ発緊急電」や「廃墟に乞う」(直木賞受賞作)など冒険小説や警察小説で有名な佐々木譲さんの時代冒険小説を原作としたラジオドラマです。
ちょっと過去まで遡って調べてみたのですが、佐々木譲さん原作の作品が青春アドベンチャー系列の番組でラジオドラマ化されるのは初めてのようです。
いかにもFMアドベンチャーやアドベンチャーロードの時代(1980年代から1990年代初頭)に取り上げられてそうな作家さんだけに意外ですね。

さて、本作品「獅子の城塞」の物語は、安土桃山時代の日本に始まるので、いわゆる時代ものかと思いきや、すぐに舞台はローマに移ります。
キリスト教の中心地ローマで、異教徒である次郎左が暮らすわけですので、修行は苦難な道になるのですが、後半には更に意外な展開が待っており、次郎左の運命は大きく変転していきます。
我々は学校では日本史は日本史、世界史は世界史として習うわけで、もちろん両者がつながっていることは知識としては分かっているのですが、実感として体感するのはなかなか難しいものだと思います。
私も、中学生くらいの頃でしょうか、吉村昭さんの「三国志」を読んでいて、曹操の起こした「魏」が、日本史で習った卑弥呼の出てくる「魏志倭人伝」の「魏」だということに突然気がついて、愕然とした覚えがあります。
その他、村枝賢一さんの漫画「RED」を読んでいて、日本で西南戦争をやっていた頃に、アメリカではネイティブアメリカン(インディアン)が虐殺されていたいうことに改めて気がつかされたこともありました。
「日本史におけるあの時代は、世界史ではこの時代だったんだ」ということがわかる、本作品のような作品には新鮮な驚きがありますね。
青春アドベンチャーでは過去に佐藤賢一さん原作の「ジャガーになった男」もラジオドラマ化されています。
「ジャガーになった男」は江戸時代初期が舞台で、本作品よりは少しだけ後の時代を舞台とする作品ですが、日本人が海外で変転を繰り返すという意味でも似ています。
本作品は、「ジャガーになった男」のように終盤に荒唐無稽と言えるほどの大展開をするわけではありませんが、意外な展開でなかなか楽しめました。

さて、以上のとおり本作品は、(日本の)歴史ものであると同時に、西洋歴史ものでもあり、同時に冒険ものでもあります。
そして仕事と向き合うプロフェッショナルを主人公とした職業ものでもあります。
本作品において次郎左は、戦乱に巻き込まれた都市を守るため、そして大事な人たちを守るため、ヨーロッパで真摯に仕事を続けます。
しかし、家族には必ずしも彼の思いは理解されず、彼自身、日本での家康との約束を胸の内に燻らせているなど、どこかやるせない展開が続きます。
次郎左の理想と思いはどのように結末を迎えるのか、彼に救いはあるのか、「獅子の城塞」とはどういう意味なのか、この辺は聴いてのお楽しみとします。

ちなみに本作品「獅子の城塞」の原作には、前作があるようです。
次郎左の父・戸波市郎太を主人公とする作品でタイトルは「天下城」。
こちらの舞台は日本国内のみのようです。
本作品中でもごくわずかですが、一郎太と信長のエピソードが語られています。
順序が逆になってしまうのですが、こちらもラジオドラマ化したら面白そうですね。
とはいえ、「獅子の城塞」自体、原作のボリュームが大きすぎて、ややダイジェスト感のあるラジオドラマになってしまっています(マルチンの扱いなどちゃんと伏線を回収しようとはしていますがやはり15回枠が欲しかったような...)。
実は「天下城」の原作のボリュームはどうも「獅子の城塞」の倍近くあるようなので、青春アドベンチャーではとても10回では収まりそうにない状況ではあります。

出演者は、主人公の次郎左役を文学座所属の俳優の石橋徹郎さんが演じています。
石橋さんは「氷山の南」(2012年放送)や「ヘウレーカ」(2013年放送)にも出演されていましたが、本作品では満を持して(?)の主役での登場です。
ヒロインのルチア役は無名塾の樋口泰子さん。
その他、吉見一豊さんや大内厚雄さんなど、最近の青春アドベンチャーではお馴染みの出演陣が脇を固めています。

また、脚色の小林克彰さんは、同じ歴史時代系の「蜩ノ記」(2012年放送)に続いて2度目の青春アドベンチャー登場。
2作とも良い印象の作品ですので、今後の青春アドベンチャーでのご活躍が楽しみです。





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