青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

時間泥棒 原作:ジェイムズ・P・ホーガン(青春アドベンチャー)

作品:時間泥棒
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:SF(海外)
初出:1996年8月12日~8月16日(全5回)
原作:ジェイムズ・P・ホーガン
脚色:飯野陽子
演出:川口泰典
主演:松重豊

ある日、ニューヨーク各所の時間がバラバラに遅れ出すという前代未聞の事件が起こった。
ニューヨーク市警のジョー・コペクスキー刑事は、混乱する市内各所の対処に負われて疲れ果てて署に戻ると、上司に呼び出され、この事件の“犯人”を捕らえることを命じられる。
これは明らかに警察で取り扱える仕事ではないと抗弁するコペクスキー。
しかし、どうも、ある物理学者が「異次元のエイリアンがニューヨークの時間を盗んでいる」というとんでもない仮説を立てたらしいのだ。
そして、焦る市警の上層部が、犯人がいるなら警察にやらせようと、この説に飛びついたらしい。
宮仕えの身ゆえ仕方がなく、このトンデモ事件の“捜査”を始めることになったコペクスキーだが、虫好きのミナハン神父、科学電算研究所のエーリンガー博士そして、同僚の女捜査官ディーナの力を借りて、少しずつ真相に近づいていく。

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SF界の巨匠、ジェイムズ・P・ホーガンの時間SF小説を原作としたラジオドラマです。
ちなみにホーガンは2010年に他界していますが、本作品の制作時にはまだ存命でした。
世界的なSF界の巨匠と呼ばれる作家の作品で、青春アドベンチャー系の番組でラジオドラマ化されたものとしては、「ジュラシック・パーク」・「スフィア」(マイクル・クライトン著)、「夏への扉」(ロバート・A・ハインライン著)、「渇きの海」(FMアドベンチャー時代。アーサー・C・クラーク著)などがあります。
ただし、「夏への扉」こそハインラインでも最も評価の高い著作の一つですが、その他の作品は必ずしも各作家のベスト作品ではありません。
青春アドベンチャーには「有名作家のあまり有名ではない作品」や「あまり有名でない作家の代表作」が取り上げられる傾向があるように思うのですが、それはこの辺からも窺えます。
本作品もホーガンの作品の中では必ずしも評価が高い作品ではないようです。

さて、それはさておき、本作品は上記のとおり、ニューヨーク市警のコペクスキー刑事が奇妙な時間混乱事件を捜査するというものです。
雲をつかむようなところから始まった捜査ですが、やがて時間のズレの程度には、場所的に一定の法則があることがわかってきます。
そして、やがて「異次元のエイリアン」とは別の“犯人像”が明らかになっていきます。
問題はその犯人像です。
作中で、一定の根拠に基づき、明確に示されるのですが、どうもその“犯人像”についての納得性が低いのです。
もともとホーガンはハードSFの書き手として知られている方ですので、おそらく原作はそれなりに科学的な描き方がされているのだと思いますが、このラジオドラマでは結論だけを示されたような印象が否めませんでした。
その結果、「原因は何なのだろう?」ととても盛り上がる前半に対して、後半は「まあ、そういうものもあるかもね」くらいの印象になってしまい、何となく釈然としない感じが残りました。
ハードSFの要素をラジオドラマで表現するのは難しいと思います。
その点で、「太陽の簒奪者」や「エデン2185」は、かなり上手くやっていると思いますが、「イカロスの誕生日」などハードSF要素をあまり活かせていないラジオドラマも多いと思います。
本作品のような全5回の短い枠の中でそれをやるのはなかなか難しいかと思いますが、SFはScience的であることが魅力ですので、是非、科学的に納得性が高い(高く聞こえる)説明でうまく騙して頂きたいものです。

本作品の主演は2012年に一躍大ブレイクした松重豊さん。
青春アドベンチャーでは「バイオレンス・ジャック」や「星の感触」などでもメインキャストで出ていらっしゃいました。
松重さんにとって青春アドベンチャーに良く出演されていた時期は、ある意味、雌伏の時期だったのかも知れません。
しかし、青春アドベンチャーファンとしては、常連出演者の方がブレイクして頂くのは嬉しいものです。
その他、舵一星さんや武岡淳一さんなど、この時期の川口泰典さん演出作品を彩っていた懐かしい脇役陣が出演されています。

なお、脚色の飯野陽子さんは青春アドベンチャーでは2作品しか担当されていない方です。
ちなみにもう1作は本作品から2011年に放送された「鏡の偽乙女~薄紅雪華紋様~」で、なんと約15年のインターバルがあります。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。



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