青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

レインツリーの国 原作:有川浩(FMシアター)

作品:レインツリーの国
番組:FMシアター
格付:AA
分類:恋愛
初出:2007年6月9日(全1回)
原作:有川浩
脚色:山本雄史
演出:佃尚能
主演:赤星マサノリ

「レインツリーの国」
インターネットで書評を書いている個人サイトの名前だ。
伸之がこのサイトを見つけたのは、学生の頃に読んだ忘れがたい小説「フェアリーゲーム」の名前で検索をしていた時だった。
そこには「フェアリーゲーム」の衝撃的な結末について、サイト主である「ひとみ」による思いのこもった感想が書かれていた。
懐かしい小説の思い出を共有しているという感動から、伸之はひとみあてにメールを書き、やがてそれはメールの交換へとつながっていく。
そして、ひとみへの思いが高じた伸之は、彼女に直接会うことを提案するが、彼女にはある秘密があるのだった。

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このブログでのラジオドラマの紹介も、今年(2013年)はこの作品が最後になりました。
最後の紹介作品を何にしようか迷ったのですが、このブログにおける2013年の作品紹介は、1月6日にアップした「妖精作戦」(笹本祐一さん原作)で始まりましたので、2013年最後も「妖精作戦」の関連作品である有川浩さんの「レインツリーの国」で締めることにしました(有川さんは青春アドベンチャーでは「三匹のおっさん」も採用されています)。
といっても「妖精作戦」の原作はSF風のライトノベルであるのに対し、この「レインツリーの国」は恋愛小説であり、ジャンルが全く違います。
これを敢えて関連作品と書いたのは、「レインツリーの国」のストーリーにおいてキーとなる架空の小説である「フェアリーゲーム」が現実に存在する小説である「妖精作戦」をモデルとしているからです。
この辺の事情は「妖精作戦シリーズ」全般に関するこちらの記事でも書いています。
「レインツリーの国」の原作者の有川浩さんは、「妖精作戦」の熱心なファン(創元版の「妖精作戦」に解説を書いている)であり、このようなお遊びをしたようです。
私も今を去ることウン十年?前に、妖精作戦シリーズの衝撃的なラストに、しばらく魂を抜かれてしまった一人です。
同様に衝撃を受けてしまった登場人物達が主人公の本作品(原作)はやはり外すことができない関連作です。

ちなみにこの「レインツリーの国」は、有川さんの人気作「図書館戦争」シリーズの第2巻の「図書館内乱」に収録されている「恋の障害」に登場する架空の小説の名前でもあります。
まず先に「恋の障害」があり、そのストーリーに出てくる架空の小説を、有川さんご自身が現実に小説化したわけです。
分かりづらいですか?
つまり、以下の関係が成り立っていることになります。

・現実の小説「図書館内乱-恋の障害」の中に架空の小説「レインツリーの国」がでてくる
・現実の小説「レインツリーの国」の中に架空の小説「フェアリーゲーム」がでてくる
・「フェアリーゲーム」は現実の小説「妖精作戦」とほぼ同じものと考えられる。

小説に中に小説がでてきて、さらにその小説の中に別の小説が出てくるという入れ子構造になっているのに、ここに出てくる3つの小説は全て現実に存在する、という少しややこしいことになっています。

ちなみに、本ラジオドラマでは、劇中劇として「フェアリーゲーム」を再現している場面があります。
ただし、その劇中劇において、主人公が“わたる”と“セーラ”になっていたり、ストーリーがファンタジーっぽくなっていたり、妖精作戦とかけ離れた内容になってしまっていて、ちょっと残念です。
もろに妖精作戦で再現してしまうと著作権等、様々な問題が発生するのだとは思いますが、折角、NHK-FMでつくっているのだから「どうせならアドベンチャーロードの妖精作戦をそのまま流しちゃいなYO!」となぜかラップ風に考えてしまいました。
まあ、問題の妖精作戦第4作「ラスト・レター」はラジオドラマ化されていないので、そのままは無理ですが、アドベンチャーロード版「妖精作戦」の一部を使いつつ、安永亜衣さんの新規録音を追加で...スミマセン、無理ですよねえ。

ところで、この記事を書くにあたって念のため図書館戦争シリーズ全6巻も再読しました。
正直、図書館戦争シリーズ自体は、①恋愛要素とシリアスな要素の混ぜ方が肌に合わない、②自分の正義を疑わない軍人(図書隊員)が気持ち悪い、③敵方を記号としてしか描かない語り口に違和感がある(後書きによれば意図的にやっているそうですが)、という点から素直に楽しめませんでしたが、前に書いたような読者サービスはとても面白いと思いました。

さて、例によって内容には一切関係ない脱線でここまで記事を書いてしまいました。
少しだけ内容に触れますと、この「レインツリーの国」と「図書館内乱-恋の障害」は、共通する、ある要素が物語の重要なファクターになっています。
しかし、それを書いてしまうとネタバレの面もあるので、あまり書けないのです。
ちなみにこの“ある要素”のお陰で、アニメ版「図書館戦争」では「恋の障害」のエピソードを地上波で放送できなかったそうです(この辺の経緯は文庫版の有川さんの後書きに詳しい)。
もともとFMシアターは社会派的な作品が多い番組ですが、この「レインツリーの国」のような作品を放送できるという意味でもラジオドラマの存在意義はあるのかも知れません。
なお、その“ある要素”は音に関することです。
実際、本作品の作中でも音量の大小を使って、その要素を表現する場面などもありますが、小説と違って音で表現できるのがラジオドラマの特徴ですので、もっと積極的に音響効果を活用しても良かった気もします。
とはいえ、やり過ぎると、あざとくなりすぎるとは思いますが。


出演は主役の伸(シン)こと、伸之(のぶゆき)を、大阪で活動する舞台俳優の赤星マサノリさんが演じています。
正直、原作小説を読んだときは、伸之の言動に微妙に苛つかされてしまい、あまり好きなキャラクターではありませんでした。
本ラジオドラマにもその雰囲気はあったのですが、50分と限られた時間のドラマということもあってか、あまりくどくなりすぎず、不快にならない程度のキャラクターになっていると思います。
これは赤星さんのどこかユーモラスな雰囲気も影響していると思います。
赤星さんの所属する“sunday”は、青春アドベンチャーでは「645~大化の改新・青春記」や「スウィート・アンダーグラウンド」でお馴染みのウォーリー木下さんが主催する劇団です。
関西人のシンですので、当然、演じるのは生粋の関西人。
この辺はこの作品を制作したNHK大阪局としては当然の選択でしょう。
一方、ヒロインのひとみ役を演じるのは人気女優の前田亜季さん。
青春アドベンチャーへの出演履歴は見当たりませんでしたが、FMシアターには何作かご出演されているようです。
ひとみ役は是非、安永亜衣さんに...いや本作品では前田さんでぴったりだったと思います。

一方、スタッフは、脚本が「タイムスリップ明治維新」などのタイムスリップシリーズや「バルト海の復讐」を担当されている山本雄史さんで、演出が「僕たちの戦争」の佃尚能さんです。
ちなみに本作品の作中で「タイムスリップエリザベス」なる洋画がでてきますが、これは明らかにタイムスリップシリーズを意識した楽屋オチですね。
FMシアターは50分程度の枠しかなく、小説一本をラジオドラマにするにはなかなか窮屈なのですが、本作品はなかなか上手く纏まっており、とても良い出来だと思います。
ちなみに、新年度最初の作品紹介は山本さん脚本の「タイムスリップ戦国時代」の予定ですが、これは狙った訳ではなく、偶然です。


最後にもうひとつだけ。
このブログはNHK-FMのラジオドラマでも、青春アドベンチャーなどの帯番組を中心に紹介しています。
そのため、FMシアターなどの1回でまとめて放送するドラマはあまり積極的に取り上げていません。
今まで紹介した単発のドラマは3作品あるのですが、「星を掘れ!」、「木かげの家の小人たち」、「大黒屋光太夫」のいずれの作品も特別企画で放送された作品ばかりで、毎週放送しているレギュラー放送のFMシアターの作品を取り上げるのは本作品が初めてです。
今後の紹介方針を明確に決めている訳ではないのですが、今までどおり基本的には帯番組を中心としつつ、気が向いたときはその他の番組を臨機応変に取り上げる形にしていきたいと思います。





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2016/3/26追記
映画版「レインツリーの国」の記事をアップしました。
是非ご覧下さい。


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