青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

着陸拒否 原作:ジョン・J・ナンス(青春アドベンチャー)

作品:着陸拒否
番組:青春アドベンチャー
格付:AAA
分類:サスペンス
初出:1998年3月30日~4月10日(全10回)
原作:ジョン・J・ナンス
脚色:福田卓郎
演出:江澤俊彦
主演:辻萬長

フランクフルト発・ニューヨーク行き、クワンタム航空66便。
機長は、空軍出身のベテランパイロットであるジェイムズ・ホランド。
副操縦士は、機長を採点する役目のチェックキャプテンでもあるディック・ロブ。
クリスマス前の12月22日に離陸したその便は、アメリカ大使ランカスターというVIPを乗せていたものの、あくまで普通のフライトのはずだった。
機内でインフルエンザによる急病人が出て、ロンドンのヒースロー空港への緊急着陸を決断せざるを得なくなったことさえ、想定の範囲外のできごとではない。
しかし、ヒースロー空港が不可解にも66便の着陸を拒否したことにより、事態はもはや通常の出来事とは言えなくなった。
そして迎える急病人の死。
それは緊急事態の終わりではなく、始まりに過ぎなかったのだ。

―――――――――――――――――――

ジョン・J・ナンス原作の航空サスペンス小説を原作とするラジオドラマです。
初期の頃(1990年代半ば頃まで)の青春アドベンチャーは、海外小説を原作とする作品が大変に多い番組でした。
その中には、「北壁の死闘」や「ブラジルから来た少年」など、大人向けのハードな冒険もの、サスペンスものも多く、「A-10奪還チーム出動せよ」、「暗殺のソロ」など海外原作の作品が多かった前々身番組「アドベンチャーロード」、前々々身「FMアドベンチャー」の頃にも負けないラインナップです。
本作品「着陸拒否」が制作された1998年は、その流れがほぼ終わりつつあった時期にあり、本作品と同年の6月に放送された「Meg」(スティーブ・オルテン原作)が、この流れのほぼ最後となりました。
以後、現在(2014年)まで、「ラジオ・キラー」など僅かな例外を除いて、このような作品は制作されなくなりました。
本作品のような作品は、仮に映画化するとすれば膨大な予算が掛かってしまうと思います。
一方、アニメ化、漫画化などではフィクションっぽくなり過ぎてしまう。
こういう作品こそ、ラジオドラマ向きだと思います。

さて、本作品は、ある“事態”に巻き込まれた66便を巡るサスペンスドラマです。
その事態は不運な出来事であったとはいえ、最初は一種の“事故”に過ぎませんでした。
しかし、この事態を積極的に利用しようとする者が現れることによって、66便の運命は二転三転していきます。
機長を始めとする乗客乗員達はまさに危機一髪という事態にまで追い込まれるのですが、ここで地上に思わぬ味方が現れます。
空中の機長達と地上の味方が協力して如何に危機を乗り越えるのか、その辺がこの作品の聴きどころです。
先の読めない展開が続くストーリーで、特に、初めて地上の味方が66便に連絡を取ってくる第7話ラストはなかなかのドキドキです。
ただし、個人的には最終話ラストのオチ?は要らなかったな、という気はしました。

また、出演者も、主役のホランド機長役の辻萬長(つじ・かずなが)さんや副機長のディック役の上杉祥三さん、それに地上から彼らをサポートするDr.ラスティ役の金尾哲夫さんとシェリー役の戸田恵子さんなど、舞台俳優や洋画の吹き替えで活躍されている方がずらり。
なかなか渋い配役です。
一方、スタッフも、脚本が「ロスト・ワールド」や「夏への扉」など海外原作作品の担当が多い福田卓郎さん。
演出は名作「最後の惑星」演出の江澤俊彦さんと、納得のスタッフです。

前に書いたとおり、本作品は最近ではすっかり少なくなってしまった海外サスペンスの快作だと思います。
そういえば航空サスペンスとしてはFMアドベンチャー時代に「101便着艦せよ」も放送されています。
併せて聴くことをお勧めしたいところですが、あまりに古過ぎて完全な形で聴くのはなかなか困難かも知れません。



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