青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

21世紀のユリシーズ 作:横光晃(アドベンチャーロード)

作品:21世紀のユリシーズ
番組:アドベンチャーロード
格付:A+
分類:SF(宇宙)
初出:1987年1月19日~11月30日(全10回)
作 :横光晃
演出:音成正人、(こばやしともあき)
主演:役所広司

2056年。
この時代の人間は26歳で「成人研修キャンプ」を終えないと一人前とは認められない。
アソウ・ナオトは成人研修キャンプでも、より抜きの人間だけが受講を許される「リーダーコース」を研修中の身の上だ。
1週間の休暇が終わり、いよいよ後期のパーソナリティ補正教育が開始されるころに、重大な事件が発生する。
母親の乗った宇宙船が、地球に敵意を持った謎の異星人「アウトトリップ」の操る集団にハイジャックされたのだ。
さらに、その人質解放交渉にナオトの父親が、護衛にはパトロールに所属する恋人のユリが赴くことになった。
研修を続行するか、異星人との交渉に同行するか迷うナオトだったが...

―――――――――――――――――――

1987年に、青春アドベンチャーの前々身番組である「アドベンチャーロード」で放送されたSFラジオドラマです。
現在放送中の青春アドベンチャーは原作付きの作品が中心でオリジナル脚本の作品が少ない番組ですが、アドベンチャーロードは青春アドベンチャー以上にオリジナル脚本の少ない番組でした。
その中で本作品「21世紀のユリシーズ」は、「サハラの涙」(←間違い。注記参照)、「ロスト・タイム」などと並ぶ数少ないオリジナル脚本の作品でした。

本作品は、青年の主人公が異星人との接触、戦いを通じて、自分の弱さを克服していく過程を描く作品です。
次々と発生する難問を、苦労しながらも何とか切り抜けていくあたりは、なかなか良くできたストーリーです。
実は本作品は、「昔、火星のあった場所」(←ネタバレ名になるのでクリックは慎重に)と同種のどんでん返しがラストにあったりもします。
しかし、ナオトの成長は本物であること、随所でラストにつながる情報が開示されており、第4話辺りから視聴者にも大体分かってきていること、最後にさらにもう1回転する含みを持たせていることなどから、ストーリーに嫌みな印象は受けませんでした。
とにかく、サイズの異なる異星人、極小のタイムマシン、木星の衛星イオなどのSF感あふれる小道具が一杯です。
たまにはこういうコテコテのSFも良いものです。
なお、全10回にはサブタイトルが付いており、それを一覧にすると以下のとおりです。

第1回 キャンプ
第2回 行くか止まるか
第3回 スペース救助隊
第4回 今日
第5回 ソウル・ウォーズ
第6回 地球の常識
第7回 みにくい人間
第8回 愛について
第9回 死ぬのは誰か
第10回 ライフ・テーマ

それにしても、このくらい古い作品となると今では視聴することが相当困難です。
私も本作品については第9話を持っておらず、完全には聴くことが出来ません。
このブログの開始の趣旨にも書いたのですが、是非、NHKさんの手で過去の作品を何らかの形で聴ける体制をつくって頂きたいものです。

主役のナオトを演じるのは海外でも評価の高い俳優の役所広司さん。
いわずと知れた名優で、最近ではダイワハウスのTVCM「ダイワマン」が印象的です、といったら役所さんに怒られるかな?
役所さんは、アドベンチャーロードでは「夜のオデッセイア」にもご出演されていました。
実は“オデッセイア”という言葉は“ユリシーズ”という言葉の原語にあたります。
両作品の内容は全く異なるのですが、この両作品に役所さんを出演させたのは、NHKのどなたかの遊び心なのでしょうか?
いや、きっと単なる偶然でしょう。
さて、本作品が制作されたのは1987年。
役所さんがNHK新大型時代劇「宮本武蔵」でTVドラマ初主演をしたのが1984年ですので、それからまだそれほど経過していない時期ということになります。
その後、ますます売れっ子になられて、今では若年層向きの青春アドベンチャーにご出演願うのは難しいのかも知れません。
でも、本作品を聞いていてもさすがの演技ですので、是非、またご出演をお願いしたいと感じました。
その他の出演者は、役所さんと同じ無名塾出身で役所さんとも仲がよいらしい益岡徹さんや、少年探偵団シリーズにおける落ち着いた明智文代役とはひと味違った、華やいだ色っぽい演技が印象的な松阪隆子さんなど、なかなか聴きごたえがあります。

ところで、本作品を制作したのはNHK札幌放送局です。
最近の青春アドベンチャーでは、岡山局が制作した「風になった男」(2006年)などの数少ない例外を除けば、地方局が制作するとしても、大阪局や名古屋局ばかりです。
NHKの本局は、昔、東京放送劇団というNHK専属の劇団を抱えており、地方局でも札幌放送劇団などの専属劇団を設置していたそうです。
これらの劇団は1990年3月に解散したそうですが、その他も含めて地方局でラジオドラマを作れる体制が縮小しているのか否か、私は知りませんが、もしそうだとしたら寂しいですね。
なお、演出の音成さんは、後にプロデューサーとして「琉球の風」と「炎立つ」の二本の、地方を舞台とした大河ドラマを制作された方です。
東京修猷会(福岡藩の藩校に由来する福岡の超名門・修猷館高校の東京のOB会のようです。外部リンク。)のHPにもあるのですが、地方発ということに拘りを持っていらっしゃったように感じます。





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※注記(15.1.18)
「サハラの涙」は原作小説があることを確認。


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