青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

フランケンシュタイン 原作:メアリー・シェリー(青春アドベンチャー)

作品:フランケンシュタイン
番組:青春アドベンチャー
格付:AA+
分類:SF(海外)
初出:2011年2月21日~3月4日(10回)
原作:メアリ・シェリー
脚色:坂本正彦
演出:藤井靖

北極に向かって航海中の若き冒険家ウォルトンは、氷の上で漂流している男を発見する。
男の名はヴィクター・フランケンシュタイン。
同船するうちに次第に打ち解けていくウォルトンとヴィクター。
そして、ウォルトンが自分と同じように世界の真実の探求に憑かれていると感じたヴィクターは、ウォルトンを間違った道に進ませないために、自分の秘密を打ち明けることを決意する。
ヴィクターが語り始めたのは、生命発生の原理の探求に情熱を傾けるあまり、人間に許されざる行為をしてしまった男の苦悩と、彼に生み出された巨人の悲しい運命の話しであった。

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19世紀のイギリスの女性作家、メアリ・シェリーの有名な小説を原作とするラジオドラマです。
青春アドベンチャーでは、1990年代に「世界名作シリーズ」と銘打って「ロビンフッドの冒険」、「モンテ・クリスト伯」などの古典文学を頻繁に取りあげていました。
その後も特にシリーズ名は付けずとも時々、古典的な作品が取り上げられており、当ブログでも既に「ロスト・ワールド」や「失われた地平線」を取り上げています。
本作品はその系譜に連なる比較的最近の作品です。

本作品の原作はファンタジー又はホラー作品の一面もありますが、SFの先駆けとの評価もある作品です。
今では、多くの派生作品で「フランケンシュタイン=人造人間=怪物」という誤解のもと、二次創作がなされる(一例として「フランケンシュタイン家の家庭読本」)ほどメジャーな作品であることはみなさんご存知の事かと思います。
SF面からいうと、確かに、人造人間の作り方の詳細な説明こそないものの、あくまで科学の力でつくりあげたという設定です。
また、作品のテーマが科学と人間との関わりを通して、人間のあり方を問うものであり、これはもう十分にSF的なテーマです。
こんな革新的な小説を書き上げたのが19世紀の女性というのは驚きです。
彼女が生きていたのはフランス革命のあった時期でもあり、女性が活躍しやすい環境になりつつあったのかも知れません。
それにしても彼女は、妻のある男性とアメリカに駆け落ちしたり(その妻は後に自殺)、長女と長男、そして夫を早くになくしたり、とても起伏に富んだ人生を送ったようです。
時代の力だけではなく、そのような彼女だから作り得た作品なのかも知れません。

さて、本作品は主人公のヴィクター・フランケンシュタインが船上で、自らの過去を語るという形式で進行します。
スイスのジュネーブで生まれ、大学で科学の研究をしていたはずの彼が、なぜ氷の海で怪物を探すに至ったのか。
語りが進むにつれ、因縁がややこしい方向にこんがらがり、氷の海に辿り着く経緯が明らかになっていきます。
まあ、因縁とは言っても、多分に、ヴィクターの身勝手から生じたものであるのですが、単純な因果応報、科学否定の結末にならないのはとても印象がよいものです。
物語の前半はヴィクターの口から物語が語られ、後半には怪物自身の言葉もヴィクターの口を通じて語られていきます。
ラジオドラマとしては、アクションに重点を置いたようなスピーディな作品ではなく、どちらかというと朗読に近い雰囲気の作品です。
第1話を丸ごとプロローグに使ってしまうあたり、なかなか大胆だと思いますが、全体に落ち着いた進行の作品です。
しかし、主演のヴィクター役の今井朋彦さんの苦悩の演技そして怪物役の井上倫宏さんの怒りと絶望の演技など、台詞が大げさで文学的であることと相まって、まるで舞台を聴いているようで、とても聴きごたえがありました。
今井さんは青春アドベンチャーの常連で、「風神秘抄」や「尾張春風伝」、「シュレミールと小さな潜水艦」など多くの作品に出演されています。
比較的大人しい性格の人物を演じることが多いのですが、本作品は舞台俳優らしいオーバーな感情表現の演技でとても印象的でした。
効果音や音楽も抑え気味ながら、叙情的でとても作品の雰囲気に合っています。
正直、私はもっとスピーディーな作品が好きなのですが、これはこれで納得の作品です。
演出は藤井靖さんで、藤井さんが担当した作品には、「ピエタ」もそうだったのですが、私があまり合わないジャンルの作品でもなかなか聴き入ってしまう魅力があります(藤井作品でもどうにもあわないものもありますが)。

さて、出演者は今井さんや井上さんのほかにも、他の作品で主役級又は準主役の役を演じている、寿大聡さん(蜩ノ記)、多田直人さん(海に降る)、渋谷はるかさん(レディ・パイレーツ)などの舞台俳優さんを配した堅実な配役です。
ちなみに、青春アドベンチャーでは「ヘウレーカ」など多くの作品でナレーションを担当している立木文彦さん(「新世紀エヴァンゲリオン」の碇ゲンドウ役や「世界の果てまでイッテQ!」のナレーションで有名)もご出演されていたりして、地味に豪華です。





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