青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

タイム・リーパー 原作:大原まり子(青春アドベンチャー)

作品:タイム・リーパー
番組:青春アドベンチャー
格付:AA
分類:タイムスリップ
初出:1998年7月13日~7月24日(全10回)
原作:大原まり子
脚色:長川千佳子
演出:保科義久
主演:塩沢兼人

1988年8月2日午後10時17分。
会社帰りに恋人と待ち合わせをしていた銀行員・森坂徹は、目白通りの交差点で車にはねられてしまう。
徹が病院で目を覚ましたのは8月9日。
しかし、徹を車ではねた責任から、一週間も看病していてくれたらしい中川春名という女性と話していても、どうにも会話がかみ合わない。
そして徹は気がつく。
自分が今いるのは8月9日は8月9日でも、2018年の8月9日であることを。
そして自分の体の大部分が機械化されてしまっていることを。
自分がサイボーグになったことにも、30年もの時間をジャンプできる強力な超能力者になってしまったことにも、戸惑いを隠せない徹だが、戸惑ってもいられない事態が進行し始める。
時間のゆがみをただすことを目的としている「タイムパトロール」と、この時代で超能力者を片っ端から捉えて洗脳の上、エージェントとして利用している「特殊能力警察」という、2大勢力が彼の身柄確保に動き始めたのだ。

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SF作家・大原まり子さんのSF小説を原作とするラジオドラマです。
大原さんは、最近はあまり作品を発表されていないようですが、1980年代、1990年代を代表するSF作家のお一人でした。
大原さん原作の作品としては、本作品の放送された前年の1997年11月24日にFMシアター枠で「サイコサウンドマシン」が制作されていますが、青春アドベンチャー枠では本作品1作だと思います。
ちなみにwikipediaによると「タイムリープ」とは、記憶を持ったまま過去の自分の体に戻る形でのタイムスリップのことで、青春アドベンチャーでいうと「リテイク・シックスティーン」や「リプレイ」が該当するようです。
ただし、本作品は作品名にこそタイムリープという言葉が使われていますが、体ごとタイムスリップする通常の形式であり、普通のタイムパラドックスのあるタイムスリップものです。

さて、本作品は、タイムスリップを上手くストーリーに織り込んでおり、さすがSF作家のつくったタイムスリップものです。
また、基本的にアクションシーン満載の冒険ものでもあります(最近は銃撃戦のある青春アドベンチャー作品が減ったなあと感じます)。
面白いのがこのアクションシーンを担当するのが主人公のふたり(徹と春名)ではなく、タイムパトロールの面々や特殊能力警察の面々であること。
主役二人にとっては、どちらかというと恋物語の側面が強い物語でもあります。
この辺は女性作家らしいところでもあり、とんでもない事態に翻弄される男女の機微が物語の一番の聴きどころになります。

この男女二人を演じるのは塩沢兼人さんと水谷優子さん。
主役とヒロインを、ともにアニメ中心で活躍されている専業声優さんが演じているというのは、青春アドベンチャーでは比較的少ないパターンです。
主役の徹を演じた、当時人気声優であった塩沢兼人さんが事故で急逝されたのは2000年。
なんと46歳の若さでした。
塩沢さんは青春アドベンチャーなどのNHK-FMのラジオドラマにメインキャストとして頻繁に出演されていましたが、実は主役はそれほど多くありません。
このブログで塩沢さん主役の作品を紹介するの多分初めてだと思います。
本作の他には青春アドベンチャーでの遺作となった「オルガニスト」(1999年)も主役でした。
塩沢さんの出演作は以下のホームページでまとめている方がいらっしゃいます。

http://www4.pf-x.net/~may/kaneto/s_radio.html(外部リンク)

さて、塩沢さんといえば、少し斜に構えたような繊細な性格の役が多い印象があります。
だから、本作品の徹が、23歳の普通の駆け出しサラリーマンの割には、少し大人っぽいというか、気だるげな印象なのも頷けるところではあります。
しかし、本作品より10年以上前に放送された「妖精作戦」や「少女探偵に明日はない」では繊細というより、はつらつとした演技をされていましたので、やはり塩沢さんの個性というより実年齢が少し演技に影響しているように感じます。
塩沢さんが亡くなられたのは本作品の放送から僅か2年後。
事故でしたのでまだまだ老け込む年ではなかったのですが、本作の演技を聴いているとどことなく晩年の作品だなあと感じてしまいます。
なくなられる少し前という先入観からそう聞こえてしまうのかもしれませんが。

そして、ヒロインの中川春名を演じているのは声優の水谷優子さんです。
本作品が印象的なものになっている要因のひとつは、水谷さんの演技、特に春名の揺れる感情の演技だと思います。
アニメ的なオーバーな演技ではありますが、本作品にはそれがうまくマッチしています。
個人的には、水谷さんといえばNHKのTVアニメ「ふしぎの海のナディア」のマリー役
そういえば「ふしぎの海のナディア」には塩沢さんもご出演(ネオ皇帝役)されていましたね。
そして、この水谷優子さんも、2016年5月17日に、51歳という若さで亡くなられました。
乳がんだったそうです。
水谷優子さんのあたり役である「ちびまる子ちゃん」の「お姉ちゃん(さくらさきこ)」は割と落ち着いた演技なのですが、甲高い声のマリーやサラ・ザビアロフ(機動戦士Zガンダム)の印象が強いため、乳がんといわれてもどうにもピンときません。
この主役・ヒロインを演じたお二人がもういらっしゃらないなんて何だか信じられない気持ちです。

さて、気を取り直して…
アニメで有名な声優さんを使うパターン、「イカロスの誕生日」や「王の眠る丘」、「タイムスリップ明治維新」など、何となく保科義久さん演出の作品に多い気がします。
川口泰典さんの作品に宝塚出身の女優さんが多いのと対照的です。
気のせいかも知れませんが。

その他、脇役に平泉成さん(ゴー!ゴー・チキンズ)、堀勝之祐さんなどの渋い大ベテランを揃えているのも聴き所です。
特に本作品で注目すべきは、アマカス役を演じた堀勝之祐さん。
NHK-FMのラジオドラマでは、「成層圏ファイター」(ボッシュ軍曹役)、「これは王国のかぎ」(ジャーハル役)、「イカロスの誕生日」など印象的な役がたくさんありますが、活躍度合いでいえばこの作品が一番ではないでしょうか。
本作品は第9話で概ねの事件が集結し、第10話はエピローグに近い内容なのですが、本作品のアマカスは中盤から終盤まで大車輪で活躍し、この最終話の最後のおいしいところまで持っていきます。
堀さんファンの皆様は必聴です。

【保科義久さん演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。




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