青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

移動都市 原作:フィリップ・リーヴ(青春アドベンチャー)

作品:移動都市
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:SF(その他)
初出:2010年6月7日~6月18日(全10回)
原作:フィリップ・リーヴ
脚色:小野田俊樹
演出:江澤俊彦
主演:内野謙太

荒廃した地球で最大の都市「ロンドン」。
この時代、都市は砂漠化した大地をキャタピラにより移動し、他の都市を襲撃するようになっていた。
トム・ナッツワーシーは、移動都市ロンドンの史学ギルドで見習いをしている孤児の少年である。
ある日、尊敬するギルド長のサディアス・ヴァレンタインとともに、他都市から奪った戦利品の検分にいったトムは、ヴァレンタインを敵と付け狙う少女と出会う。
顔に傷のある、その少女の名はへスター・ショウ。
ヴァレンタイン襲撃に失敗したへスターとともに、ロンドンの外に放り出されてしまったトムは、彼女と冒険の旅に出ることを余儀なくされてしまう。
そしてトムは、自分が知らなかったこの世界の真実、そしてロンドンの秘密を知ることになる。

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フィリップ・リーブ原作のSF小説を原作とするラジオドラマです。
原作は4部作で、本作はそのうち第1作をラジオドラマ化したものです。
舞台は人類文明を破壊した「60分戦争」という全面戦争から1000年後の地球。
...というと、「マッドマックス」や「北斗の拳」のように砂漠化して科学文明が衰退した世界を想像します。
しかし、砂漠化はしているものの、本作の舞台は戦争から1000年も経っていることもあって、独自の文明を築いています。
それが「移動都市」。
大型のものでは人口1万人を超える都市に、キャタピラがついて移動しているという設定です。
まさにSFらしい奇想天外な設定です。
しかし、想像力がなくてお恥ずかしいのですが、私には移動都市の具体的な姿を思い描くことが出来ず、そのために移動都市にいまひとつリアリティーが感じることができませんでした。
何せ、巨大な(ロンドンは7階建)都市が追いかけっこをしたり、都市どうしを接触させて戦争をするというとんでもない設定なのです。
ラピュタみたいな感じかなあ、でもキャタピラって想像できないなあ、と思っていたのですが、ネットで「移動都市」と検索すると結構、絵が出てきます。
なるほどこんな感じですか。
また、移動都市にリアリティーが感じられなかったもう一つの原因は、作中で、都市が移動しなければならない必然性の説明がなかったことだと思います。
原作は星雲賞を受賞しており、SFファンにも認められている作品なので、恐らく原作にはちゃんとそのあたりの説明があるのではないでしょうか。
イカロスの誕生日」などもそうだったのですが、青春アドベンチャーにはSF小説のラジオドラマ化にあたって“SF”の“Science”の部分を省略しがちな傾向がある気がします。
実際、ラジオドラマでは設定を声で説明しなければならず、放送時間に制約があることを考えると、そんな余裕があまりないのはわかります。
しかし「太陽の簒奪者」などそこそこ上手くやっている作品もあると思います。
「ワープ」や「レーザー砲」などの常識的に知っている設定は良いのですが、その作品独特の設定については、作品にリアリティーを与えるためにも是非省略せずに理論を描いて欲しいものです。

といいつつ、今度は今、書いたことと真逆とも受け取れることを書いてしまうのですが、本作品はナレーションが多すぎる気もしました。
エイレーネーの瞳」でも書いたのですが、アクションシーンが多い作品で「トムは発射レバーを三回引いた」的な登場人物達の行動を描写するだけのナレーションはスピード感を損なってしまう気がします。
ある程度、設定描写をナレーションするのはやむを得ないとして、それ以外の心理描写や風景描写についてのナレーションは最低限にして(台詞でかなり処理できる)、行動の描写はできれば音響効果だけでやって頂いた作品の方が個人的には好きです。
妖精作戦」のように上手くやっている作品もありますし。
ちなみに本作品の脚色は小野田俊樹さん。
青春アドベンチャーでは「スカラムーシュ」の脚色も担当していますが、そちらもややナレーションが多い作品でした。
小野田さんの個性だと思うので、それを否定するつもりはないのですが。

さて、作品内容にはほとんど触れないでここまで来てしまいました。
ややわかりづらい設定とは対照的に、登場人物達は個性的で魅力的です。
心に闇を抱えたヒロインのへスターと、これと対照的なお嬢様キャラのキャサリン・ヴァレンタインのふたりのヒロイン。
目的のために非情な側面はあるが基本的には好人物で優秀な冒険家であるサディアス・バレンタイン、ほとんどターミネーターみたいなサイボーグのシュライク、反移動都市同盟の女戦士アナ・ファン、野心家のロンドン市長マグナス・クローム、単なる技術屋と思いきやテロリストとしての資質十分なポムロイ博物館長&ベヴィスのコンビ。
また、少年が冒険を通して成長していく素直な成長物語として楽しむことも出来ると思います。


本作品で主人公のトム役を演じているのは俳優の内野謙太さん。
G戦場ヘヴンズドア」でも主役の堺田町蔵役を演じてられていました。
また、武闘派ヒロインのへスターを演じるのは山下真琴さん。
山下さんは「世界の終わりの魔法使い」、「蜩ノ記」など他の青春アドベンチャー作品にもご出演されているようですが、メインキャストで出演されている作品は珍しいと思います。





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