青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

哲ねこ七つの冒険 原作:飯野真澄(青春アドベンチャー)

作品:哲ねこ七つの冒険
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:幻想(日本)
初出:2007年8月6日~8月17日(全10回)
原作:飯野真澄
脚色:佐藤ひろみ
音楽:梶本芳孝
演出:真銅健嗣
主演:永嶌花音

小学ニ年生の少女・ミルルのママはいつもツンツンしている。
しかも、最近湧いて出たパパの転勤話のせいで、一層、ご機嫌斜めだ。
折角の夏休み最大のイベントである、沙紀さんのうちへの旅行だというのに、相変わらず機嫌が悪い。
だから、沙紀さんのうちに着くなり、飼い猫のプルルを追って外に飛びだしてしまったミルルは、早くもママに怒られてしまった。
でも、ミルルは気がついたのだ。
ここには猫たちの王国があるのを。
沙紀さんのうちでみつけた“聞き耳ずきん”を被ると猫たちの世界が見え、声が聞こえるようになるということを。
やがてママにも猫の世界が見えるようになる。
ミルルとママの“哲ねこ”たちをめぐる冒険が始まった。

―――――――――――――――――――

飯野真澄さん原作の小説のラジオドラマ化作品です。
この原作、一見、「児童文学」なのですが、飯野さんの「哲ねこホームページ」(※)によれば、実は「子育てに悩んだりしているお母さんのために書いた本」とのことなので、「小説」と表記してみました。

(※:外部リンク)http://www.geocities.jp/iino_masumi/tetsunekonomori.html

ラジオドラマ化した作品を聴いてみても、確かに一見、子ども向けのファンタジー作品のような楽しげな雰囲気はあるのですが、その実は、子育てに悩んでいるお母さんに、哲学を使って子育ての指針や人生の指針を示そうという、何とも野心的な内容なのです。
妖異金瓶梅」や「光の島」、「ドラマ古事記」、「蜩ノ記」などの多くのとんがった作品を演出されている真銅さんらしい、挑戦的な作品です。
真銅さんご自身は「夏休みに、親子で楽しんでいただけるオーディオドラマを!その心意気で、演出にあたりました。」と書いていますが、実際には、おそらく主人公と同世代の小学校二年生には難しすぎる内容です。
親子で楽しむといっても、子供たちは猫たちが大集合してみんなで歌っている楽しげな雰囲気や風船の音を集めるという冒険を楽しみ、大人は哲学者の箴言で人生について考える、そういった違う楽しみ方が用意されている作品なのだと思います。

さて、本作品で取り扱われている哲学者(哲猫)たちは、ソクラテス(作中で登場する猫の名前としては「ソクラニャス」。以下カッコ内は同じ)、アリストテレス(ニャリストテレス)、デカルト(ニャカルト)、カント(ニャント)、ヘーゲル(ニャーゲル)、ハイデッガー(ニャイデッガー)、サルトル(ニャルトル)の7人(7猫)。
彼らとママ、そしてミルルが会話する中で、「無知の知」、「われ思うがゆえにわれあり」、「弁証法」、「理性批判」などの、哲学上の超有名なテーマを通して、嫌味にならないよう形で子育ての知恵?などを体得していくという内容です。
最初は、ママが、鬼のような形相で、ほとんど言葉の暴力といってもよいような言動で子供を叱っているわけです。
この辺の岩崎良美さんの演技は妙にありがちな感じで、自分も子供との会話は気を付けないとなあ、と変に考えてしまったくらいです。
それはともかく、そのママが哲猫の言葉に触れて、徐々に初心を取り戻していくところなどは、哲学の言葉に実感的な説得力が感じられてくるのが不思議です。
最初は「これちょっと大丈夫かな?」と思いながら聴いていた本作品ですが、原作者及び真銅さんの意図は結構、伝わってくる作品だと思います。

とはいえ、この作品が純粋に面白いかというとちょっと微妙なところです。
まず、ファンタジーとしてみると、主人公のミルル役の永嶌花音さんがいきなり歌いだしちゃったりするわけで、子供には良いのかもしれませんが、大人の男性である私にはちょっと甘すぎです。
最終回にはママまで歌いだしてしまって完全にファンタジー一色です。
最後まで「哲学」で行ってほしかったなあ。
でもやはり理性だけでは不十分で感性も必要だということで、敢えてこのような構成にしているのかも知れません(ちょっと理性批判してみました)。
なお、哲学を材料にした子育て論も興味は持てるし、納得できる部分も多いのですが、あくまでその楽しさは“インタレスト”であって“ファン”ではありませんでした。
つまるところ、少女でも母親でもない私には、今一つあわない作品だったとしか言いようがありません。
でも、こんなにも趣味にあわない作品なのに、最後まで結構、興味深く聴けてしまったのも、また事実。
次はどんな哲学者のどんな内容をもってくるのかな?と思っているだけで、結構、先が気になる展開でした。
この辺は原作者である飯野さんのアイデアの良さと、真銅さんをはじめとするNHKスタッフの作品選択の巧みさを感じました。

ちなみに、NHK-FMにはもうひとつ、「哲学」をテーマにしたラジオドラマ作品がありました。
それは、1996年に放送された「ソフィーの世界」。
こちらは合計225分にも及ぶなかなかの大作。
是非、「ソフィーの世界」の記事もご覧ください。




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