青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

渚にて 原作:久世光彦(青春アドベンチャー)

作品:渚にて
番組:青春アドベンチャー
格付:AA+
分類:冒険(秘境漂流)
初出:2004年8月23日~9月3日(全10回)
原作:久世光彦
脚色:井出真理
演出:保科義久
主演:多賀基史

中学2年生から高校1年生までの少年少女を乗せたクルージング・スクール。
彼らが乗り込んだ船は、カリブ海の島々を巡り、順調に帰国の途にあったのだが、急な暴風雨に見舞われ座礁してしまう。
救命ボートに乗りあわせた、冬馬、カスミ、宗近、黒木、金原の5人は何とか嵐の海を乗り切り、漂流の末、無人島とおぼしき島に辿り着く。
この島で、5人にどのような運命が待ち構えているのか。

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久世光彦さんの無人島冒険小説を原作としたラジオドラマです。
「渚にて」というタイトルを検索すると、まず先にネビル・シュートによって書かれた、核戦争後の地球を舞台とした近未来SF小説がでてくると思います。
グレゴリー・ペック主演で映画化されていたりして、そちらの小説の方が有名ですが、本作品はそれとは全く関係ない作品です。

さて、本作品は漂流して辿り着いた無人島でのサバイバル物語です。
いうまでもなくこのジャンルの嚆矢は「ロビンソン・クルーソー」の物語であり、ジュール・ベルヌの「十五少年漂流記」です。
私は幼少期にこのジャンルの作品が大好きで、特に「十五少年漂流記」を愛読していました。
あまりに好きすぎて自分が無人島に流される大長編の夢を見てしまったくらいです。
目覚めたときにはぐったりと疲れていたのを覚えています。
改めて考えると変な子どもですね。
何でこんなに漂流系の話しが好きだったのか思い出してみると、一旦綺麗に生活がリセットされてしまう爽快感、そして発見と工夫で新たに一から生活を作り上げていく面白さが、その主要因だった気がします。
今、改めて考えてみると、これらの要素に加えて、漂流&サバイバルという一種の極限状態がつくりだす人間関係の変化が特に興味をひかれた要素だったのだと思います。
その点で、例えば「北壁の死闘」、「神々の山嶺」などの登山ものと一脈通じる部分がありますね。

ところで、本作品もその文法に則った作品なのですが、例えば同じ少年の漂流ものである「十五少年漂流記」と一番違うのは、無人島に流れ着くメンバーに少年だけではなく少女も混じっていることです。
「十五少年漂流記」に限らず、アドベンチャーロード時代の軽めの漂流もの「ロスト・タイム」なども遭難するのは全員少年です。
ところが、本作品では当初漂着したメンバーが上記の少年4人、少女1人であるほか、途中から少年1人、少女1人が加わることになります。
女性が混じっただけで話がややこしくなるのは人間の集団の常ですし、5:2という割合がまた微妙な感じです。
この辺のややこしい話を回避せずに、描いているのが本作品の特徴です。
その結果、本作品は、某巨大掲示板で「性春アドベンチャー」などと揶揄されることになっている訳ですが、基本的にはどの作品も健全な今の青春アドベンチャーの作品の中で、少年少女の性の問題を、茶化さず、かつ、斜に構えず扱ったという点で、貴重な作品であることが確かだと思います。
この点で思い出されるのは尾瀬あきらさんの漫画「とべ!人類Ⅱ」。
こちらの記事で青春アドベンチャー化して欲しい作品として紹介しています。
これも極限状態に置かれた少年少女の物語なのですが、上記の面でNHK的には結構、難しい面もあると思っていました。
改めて「渚にて」を聴いてみると、これが許されるなら「とべ!人類Ⅱ」も十分、いけるなあと感じています。


出演は、主人公の冬馬(とうま)の役を多賀基史さんが、ヒロインのカスミ役を太刀川亞希さんが演じています。
多賀さんは「鬼の橋」でも主演されています。
一方の太刀川亞希さんは青春アドベンチャー有数の長編シリーズである「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズで星野りつ子役を演じており、多くの回に出演されています(「緑の午後」で特に紹介)。
その他、一緒に「モアイキャット島」(=漂着した無人島)で共同生活をすることになる少年少女を以下の5人が演じています。

・宗近役       :谷川俊さん
・黒木役       :齋藤淳さん
・金原(フライデー)役:岩下寛さん
・小林役       :中西陽介さん
・未知(みち)役   :鈴木佳由さん

序盤を除いて物語はこの7人だけで進行し、この7人の人間関係が物語の全てと言っても過言ではありません。
その点、責任感の強いリーダーの宗近、肉体派の黒木、料理上手で繊細なフライデー、孤立しがちな小林、奔放な未知と、それぞれキャラクター造形が明確で、とても分かりやすいストーリーになっています。

作品全体の感想としては、中盤に島に出現する“アレ”のリアリティーが今一つ感じられないこと(しかも後半にあまり大きな影響を及ぼさない。なんだったんでしょう、アレ。)、サバイバルが容易すぎて命に関わる緊張感が感じられないこと、終盤の展開がやや突飛でかつ急であることなど、気になる部分もありました。
しかし、上に記載した、青春アドベンチャーではごく例外的なアノ要素を含めて、最後まで楽しく聴くことができる作品でした。

【保科義久さん演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。





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テーマ:テレビドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

コメント

これは拙い。

聞いた感想は中高生とは思えない考えと行動、そして主人公だけ好きになる描写はハレムを見るようでした。最悪です。

  • 2016/09/28(水) 12:46:15 |
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