青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

透明怪人と黄金どくろの謎 原作:江戸川乱歩(アドベンチャーロード)

作品:透明怪人と黄金どくろの謎
番組:アドベンチャーロード
格付:B+
分類:推理
初出:1987年7月25日~8月12日(全15回)
原作:江戸川乱歩
脚色:大野哲郎
音楽:天上昇
演出:上野友夫
主演:広川太一郎

太平洋戦争終結後の混乱も収まってきた頃。
気だるい夏の黄昏時、町外れの古びた洋館で、少年探偵団の世話役セツコさんと4人の少年探偵団員は、新聞記者の黒川と共に、全身が透明な“透明怪人”と出会う。
やがて透明怪人は東京のあちこちに出没するようになる。
銀行や宝石商からみると、目に見えない透明怪人に泥棒に入られたら防ぐ手段はない。
世間が恐れおののく中、ついに透明怪人は島田家の秘宝「真珠の塔」に狙いを定めて動き出した。
こんな恐るべき怪人を相手に出来る者は、東京広しといえども彼らしかいない。
そう、明智小五郎と少年探偵団の出番がやってきたのだ。

―――――――――――――――――――

...う~ん。駄目ですねえ。
冒頭の紹介文、全然、作品の雰囲気を表現できていないなあ。
広川太一郎さんの明智ですよ、羽佐間道夫さんの怪人二十面相ですよ!
そして、中西龍さんのナレーションですよ!
歌謡曲調の主題歌といい、何とも昭和な、懐かしいラジオドラマです。

原作はいわずと知れた江戸川乱歩さんの少年探偵団シリーズ。
その中でも本作品は「透明怪人」と「怪奇四十面相」の2作が原作です。
本作品の第1回から第9回までが透明怪人を相手にした作品、第10回から第15回までが黄金どくろの謎を解くストーリー(「怪奇四十面相」相当)です。
江戸川乱歩さんは大人向けの推理小説と、子ども向けの探偵冒険小説の両方を書いており、明智小五郎は両方の作品に登場しますが、少年探偵団シリーズはもちろん後者。
青春アドベンチャーの前身番組であるアドベンチャーロードでは合計5作品の少年探偵団シリーズがラジオドラマ化されており、この系統のラジオドラマ番組でも有数の長編作品(長編作品についてのまとめはこちら)です。
本作品はその4作目ですが、その全てはほとんど同じスタッフ、キャストで制作されています。
キャストは以下のとおり。

・明智小五郎:広川太一郎
・明智文代 :松坂隆子
・二十面相 :羽佐間道夫
・小林芳雄 :萩原等司
・中西警部 :青砥洋
・語り    :中西龍

スタッフは脚色は大野哲郎で、演出が上野友夫さんのコンビ。
そして何と言っても桜田誠一さんの音楽と、冒頭にいきなり流れる主題歌が凄い。
「夢と幻に生きてるぅ~ あな~た、あな~た、怪人~二十面相~」という感じで、歌謡曲風の歌詞もさることながら、いきなり透明怪人の正体をばらしてしまってるやんけ、とツッコミを入れたくなってしまいます。
主題歌と言えば番組の終わりに「主題歌の楽譜をご希望方は~」というのが昔のNHKらしいですよね。
主題歌の楽譜をプレゼントする、なんて文化があったんだなあ、と感慨深いです。
また、効果音や場面転換の時に入るSEなども、随分と懐かしい印象。
でも、それが良いのです。
最初聴いた時はちょっとびっくりする主題歌も、コテコテのSEも、羽佐間さんの声が出てきた段階で今回、二十面相が化けているのは誰か分かっちゃう(出演者の紹介でも羽佐間さんの役名は言わないように配慮していたりするんですけどね。でもバレバレです。)のも、すべてこれで良いのです。
この作品はそんなところに突っ込むのではなく、二十面相の仕掛けるほとんど単なる愉快犯としか思えない大仕掛けと、これを颯爽と解き明かしていく明智の活躍と、そして中西さんの“タメ”の効いた名調子を、わくわくしながら聴けば良いのです。
「一郎君が、窓の外に見たものは...なにか。それでは...あしたも、また...」(by中西龍)
聴いている内に、上で書いたような、つまらないことは気にならなくなってしまいますから。

ところで上でも書いたように、明智小五郎は大人向けの推理小説でも登場しています。
青春アドベンチャーでも「黒蜥蜴」などがラジオドラマ化されています。
大人向けのシリーズに登場する明智は、人間くさく失敗も多い人物で、少年探偵団シリーズに登場する明智とは別人のように描かれています。
でも、大人向けの作品の「魔術師」の事件で明智と知り合った文代さんが、明智の妻として少年探偵団シリーズにも登場していたりして、明らかに同一人物という設定になっています。
この点について、少年探偵団シリーズのパスティーシュ作品である「怪人二十面相・伝」で、明智は二十面相との戦いを「自分の人生にとって一服の清涼剤のようだった」と、語っています。
実際、原作の明智が「ヤツは恐ろしい企みを実行に移すでしょう」と言っているときも、きっと楽しい気分だったんだろうなあと思います。
多くの少年読者にとってそうであったように。

さて、少しだけ本作品の内容を書きますと、冒頭に書いたとおり本作品は、透明怪人の話しとと黄金どくろの話しに、大きくふたつのパートに分かれています。
前半の透明怪人の話は典型的な、明智vs二十面相の騙しあいです。
二十面相は誰に化けているのか、明智は誰に化けているのか...
第10話で同じ部屋に三人の明智が集合した状況での、以下の会話はやはり痺れます。

明智「さて、○○になりすまし、怪老人に化け、明智に化けた変装の名人、君は...」
二十面相「ワシは誰なのだね?」
明智「観念したまえ!君こそが、ある時は妖怪博士と名乗り、ある時は怪人二十面相を名乗る希代の怪盗!」
二十面相「フハハハハ!俺は...お察しのとおりの妖怪博士、またの名は怪人二十面相だ!」

明智が二十面相の正体を鋭く指摘する姿も格好良いのですが、それを受けて堂々と名乗りを挙げる二十面相も、さすがに“黄鯛の解凍”(おいおいATOKさんよ...)ではなくて、“希代の怪盗”! 素敵です。

また、後半の黄金どくろ編は少し雰囲気が変わり、二十面相(後半では自称「四十面相」)も、もちろん登場するのですが、どちらかというと、黄金どくろに秘められた宝のありかの謎を解くところが、作品の聴きどころです。
二十面相は火事場の小林少年を助けるなど人の良いところを小林少年につけ込まれたりして、ちょっと間抜けな役どころです。
ちなみに、二十面相って、この作品に限らず、結構、小林少年に痛い目に合わされています。
相性悪いみたいですね。
個人的には前半のような対決ものも良いのですが、後半の宝探しも結構好きです。
それでは、皆さん、今夜は紙と鉛筆のご用意を。(by中西龍)
「ゆなどき んがくの でるろも むくぐろ べへれじ しとよま とだんき すのをど すおさく」...
そういえば「弓手(ゆんで)」と「馬手(めて)」という言葉はこの作品(の原作)で覚えたんだったなあ。
懐かしいです。

【アドベンチャーロードの少年探偵団シリーズ】
・「妖怪博士と少年探偵団
・「魔人復活 第1部 青銅の魔人
・「魔人復活 第2部 地底の魔術王
・「透明怪人と黄金どくろの謎」(本作品)
・「宇宙怪人と少年探偵団




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