青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

黒蜥蜴 原作:江戸川乱歩(青春アドベンチャー)

作品:黒蜥蜴
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:サスペンス
初出:2009年5月11日~5月15日(全5回)
原作:江戸川乱歩
脚色:棚瀬美幸
演出:江澤俊彦
主演:篠井英介

名探偵・明智小五郎のもとに、またしても新たな依頼が舞い込んできた。
大阪の宝石商・岩瀬氏から、上京した際の娘・早苗のボディーガードを依頼されたのだ。
聞けば、岩瀬氏の元には早苗の誘拐予告が頻々と届いているという。
誘拐予告の信憑性も分からない中、明智は依頼を受けることを躊躇するが、最終的には岩瀬氏の熱意に答えてボディーガードを引き受けることを決める。
しかし、この誘拐劇は暗黒街の女王と呼ばれる女盗賊・黒蜥蜴の仕組んだものであり、明智は自らの探偵生命を掛けて、女傑・黒蜥蜴と対決することになるのであった。

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いわずと知れた江戸川乱歩さんの名探偵・明智小五郎シリーズの一作をラジオドラマ化した作品です。
明智小五郎といえば、当然「推理系」の作品として分類したところですが、本作品は少し違います。
もともと原作からして本格推理ものというより通俗スリラーものとして書かれた作品ですが、このラジオドラマではその色が特に強く、推理劇としての要素はほとんどありません。
例えば、黒蜥蜴が緑川夫人と名乗って明智に接近するところや、黒蜥蜴が早苗に入れ替わるところなど、トリックになりそうなところも全て時系列順に、場合によってはナレーションの説明まで入れて放送されるのです。
「黒蜥蜴」はTVや映画、舞台でも何度も演じられている作品ですが、これらも推理劇というよりは、独特の猟奇的な雰囲気や、幻想的なキャラクターの魅力を前面に出した作品になっています。
このラジオドラマもその系譜に沿ったものといえると思いますので、本ブログでの分類は「サスペンス」としました。

ちなみに今まで、TVや映画、舞台で、女盗賊・黒蜥蜴を演じた女優さんを挙げると、倍賞美津子さん、小川真由美さん、島田陽子さん、岩下志麻さん、松坂慶子さん、水谷八重子さん、美輪明宏(丸山明宏)さん、坂東玉三郎さん、京マチ子さん、と見事なくらい日本を代表する熟女女優が並びます(一部、男性も混じっているのが面白いですが)。
特に有名なのが美輪明宏さんで、舞台での黒蜥蜴は、美輪さんのライフワークともいえる当たり役として有名です。
ちょっと面白いのは、本作品で明智小五郎を演じる篠井英介さんですが、ご自身の芝居「ひとり芝居『女賊』」では何と黒蜥蜴を演じていらっしゃいます。
中性的な篠井さんならではですが、別々の番組で明智と黒蜥蜴の両方を演じたことがあるのは篠井さんだけではないでしょうか。

ところで、本作品は全5回しかない作品です。
作品の内容は東京と大阪との2回にわたる明智と黒蜥蜴の知恵比べなのですが、放送枠の都合からか、かなり駆け足の展開です。
特に、前に書いたように、ナレーションがトリックも含めて実況中継してしまうので、なぞ解きというにはかなりいまいちな内容でした。
しかしその分、テンポのある展開にはなってると思います。
ただしやはり10回くらいは使ってじっくりとやっていただきたかったという印象はどうしても残りました。

さて、出演者ですが、きら星のごとく大女優が演じている黒蜥蜴役は、本作で品では何とモノマネ芸人・女優の清水ミチコさんが演じています。
青春アドベンチャーでは「おしまいの日」にも出演されていますし、多芸な方ですので問題はないのですが、とても意外な配役です。
これってどなたがどうやってキャスティングを決めたのでしょう。
とても気になります。
一方の明智小五郎役は俳優の篠井英介さんです。
NHKラジオの明智小五郎といえば広川太一郎さんのイメージが強烈なのですが、青春アドベンチャーの平成版明智は3作品とも篠井さんが演じていらっしゃいます。
本作品の他、すでに紹介した「魔術師」と次回に紹介する「黄金仮面」です。
明智というとやはり、広川さんの声(姿のイメージはロジャー・ムーア=007)のパリっとしたイメージが強く、最初は違和感があったのですが、慣れてくるとこのような明智もアリの気がしてくるあたりは、さすがにベテランの俳優さんです。

脚色は棚瀬美幸さん。
青春アドベンチャーでの担当作は(恐らく)4作だけですが、本作品のほか「ゼンダ城の虜」、「らせん階段」、「神去なあなあ日常」と実にバラエティーに富んだラインナップです。
神去なあなあ日常」以外は演出の江澤俊彦さんとコンビです。
その演出の江澤さんは、番組がアドベンチャーロードだった頃から演出されているベテラン。
多くの作品を担当されていますが、今でも江澤さんの最高傑作は「最後の惑星」だと私は思っています。

最後に、青春アドベンチャーで放送された「黒とかげ」と「江戸川乱歩」に関係する、もうひとつの作品を紹介します。
成井豊さん原作の「サンタクロースが歌ってくれた」です。
これは乱歩の「黒蜥蜴」を一部取り込んでいるわけですが、全く雰囲気が異なった明るく楽しい作品です。
劇作家の成井さんの面目躍如の作品ですが、「黒蜥蜴」が江戸川乱歩さんの代表作としていかに多くの人に愛されているかを示しているものだと思います。

【篠井版・明智小五郎シリーズ】
・黒蜥蜴(本作品)
黄金仮面
魔術師
吸血鬼





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