青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

成層圏ファイター 原作:遠藤明範(アドベンチャーロード)

作品:成層圏ファイター
番組:アドベンチャーロード
格付:AA-
分類:SF(その他)
初出:1988年10月3日~10月14日(全10回)
原作:遠藤明範
脚色:下川博
演出:保科義久

時は西暦2040年。
共和国同盟は自由連邦との全面戦争を始めようとしていた。
というのも、共和国同盟は新型の人工生体の開発に成功し、両国の軍事バランスが崩れつつあったからだ。
間近に迫った開戦を回避するため、自由連邦は急遽、新型人工生体の製造工場を爆破するための特殊工作部隊を送り込むことを決める。
特殊工作部隊の隊長はコード名“傷跡”こと、サティ・ライアン。
通信一般が専門の“ねずみ”、爆破が専門の“貧乏神”、応用数学と射撃を得意とする“カマキリ”、そして手柄を求めて密航してきた“ボウヤ”の4人とともに警戒厳重なサン・クレルモ市への潜入を図る。
ライアンに許された時間はわずかに72時間。
サン・クレルモ市ではライアンに積年の恨みを持つ、ブイコフ大佐とボッシュ軍曹が手ぐすねを引いて待ち構えている。
ライアンたちは任務を果たすことができるのか。

―――――――――――――――――――

遠藤明範さん原作のジュブナイルSFを原作とするラジオドラマです。
この作品を簡潔に表現するとすれば、まずは「主演の安原義人さんの、安原さんによる、安原さんのための作品」!
次に「B級だっていいじゃないか、面白ければ。」
といった感じでしょうか。
本作品の内容をB級SFと言ってしまえばそれまでなのですが、主演の安原さんの魅力と、毎回絶妙なところで終わるヒキの強いシナリオで、最後まで飽きることなく聴くことができる作品です。

この2点のうち、まずは安原さんですが、青春アドベンチャー系の番組ではアドベンチャーロード時代から青春アドベンチャー時代まで長い時代に亘って出演されている常連出演者さんです。
このブログで格付け“AAA”や“AAA-”を付けた、私が傑作であると考えている「最後の惑星」や「ラジオ・キラー」にご出演されているほか、「イカロスの誕生日」や「海賊モア船長の遍歴」など、安川さんのご出演作品にハズレはなし、という状況です。
本作品で安原さんが演じるライアンは全編、ほとんど出ずっぱりの役です。
次から次へと訪れるピンチを決断に次ぐ決断で切り抜けていく、まさに洋画のB級アクション映画のような展開の作品であり、「アメリカ人っぽい声」といわれる安原さんの魅力がもっとも発揮されている作品だと思います。
はっきり言って作品全体の出来としては私は「最後の惑星」などの方が好きですが、「最後の惑星」では途中、安原さんが登場しない時間が結構長かったりします。
その点で本作品は、安原さんの演じる、軽妙洒脱で、かつ芯が強い、不屈のプロフェッショナルであるライアンを、全編で堪能できるとても魅力的な作品です。

なお、本作品の配役に関してはライアンの他にも敵方を演じる方々が魅力的なのが特徴。
敵方のボスであるブイコフ大佐を演じるのはベテラン声優の大塚周夫さん。
2013年現在、84歳の今も現役(ワンピースのゴール・D・ロジャーなど。※追記参照)の大御所声優・俳優で、この人の悪役の演技を聴いたことがない人はいないのではないかなと思われるほど悪役系の演技が強烈な方です。
でも、大塚さんはゲゲゲの鬼太郎のねずみ男なども演じられており、芸域が広い方です。
青春アドベンチャー系の番組では本作と同じアドベンチャーロード時代の名作「A-10奪還チーム出動せよ」がとても印象的です。
最近では息子さんの大塚明夫さんがNHKのラジオドラマに登場する機会が多い(「星を掘れ!」・「王の眠る丘」など)のですが、是非、親子共演も聴いてみたいものです。
また、敵方といえば、ボッシュ軍曹役の堀勝之祐さんも聴き応えがあります。
ある回の最後の出演者紹介で「ボッシュ二等兵 堀勝之祐」というところなんかゾクソクします。
他にもヒロインのメーベル役が戸田恵子さんだったりして、往年の名声優さんがそろっていますね。


次にシナリオに関してですが、本作品の骨子は、簡単にいうと敵国に潜入して破壊工作をしてくるだけです。
でも、毎回、次々と問題が発生し、そしてまた毎回、絶妙なタイミングで放送が終わるため、とても先が気になる構成です。
この作品の脚本家は、実は、このブログで何度も何度も(「タイムスリップ源平合戦」ななど)紹介しているNHK大型時代劇「武蔵坊弁慶」の脚本を担当している下川博さんです。
下川さんにとってはおそらく専門外のごく軽い仕事だったのかも知れません。
確かにSFの雰囲気はあまり感じられずその面ではイマイチですが、単純に冒険ものとしてよくできている脚本です。
さすがです。

【保科義久さん演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。





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ちなみに上記の真ん中の画像はソノラマのカセット版のものです。
ソノラマのカセットは「妖精作戦」のようにNHK-FMのラジオドラマを使ったものと、「西風の戦記」のように全く別ものがあります。
本製品は後者だと思うのですが確認はできませんでした。




※2015年1月15日に85歳で亡くなられました。残念です。合掌。

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