青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

ロズウェルなんて知らない 原作:篠田節子(青春アドベンチャー)

作品:ロズウェルなんか知らない
番組:青春アドベンチャー
格付:B+
分類:職業
初出:2008年2月4日~2月15日(全10回)
原作:篠田節子
脚本:坂本正彦
演出:藤井靖
主演:勝村政信

駒木野町は、数年前にスキー場が閉鎖されて以来、寂れる一方の田舎町である。
町の売りといえば、空気が綺麗で街灯も少なく、夜空が美しいことくらい。
そこで、町の青年クラブは、都会から観光客を招き流星の観測会を企画した。
イベントというのもおこがましい小規模な観測会。
しかも折からの天候不良でろくに流星も見れやしない。
がっかりする一同だが、突如、雰囲気を一変させる出来事が起こる。
夜空に未確認飛行物体(UFO)が現れたのだ。
観測会は一転して大盛り上がりで終わった。
調子に乗った青年クラブの面々はオカルトをネタに町おこしを企み始める。
「日本の四次元地帯、駒木野!」これだ!
しかし大丈夫なのか、もともと駒木野町ではUFOとかオカルトとかそんな話しは聞いたこともなかったのだが...

――――――――――――――――――――

直木賞作家、篠田節子さんの小説を原作としたラジオドラマです。
テーマは「町おこし」。
元八王子市役所職員である篠田さんらしいテーマです。

田舎の過疎の町。
未来が見えない焦燥感。
なりふり構っちゃいられない中でのむちゃくちゃな行動。

冷静に考えると結構重いテーマですが、終盤まで物語はあくまでコミカルに進んでいきます。
主人公の靖夫(やすお)は比較的冷静な男で、元町長の父親が収賄で逮捕されたという経緯もあり、どちらかというと暴走しがちな仲間達を引き留める役回りです。
しかし、町の外からやってきた男・鏑木(かぶらぎ)が、火のあるところでは火を煽り、火のないところには放火するような勢いで、騒動を煽っていきます。
当初は釈然としなかった靖夫も、町の活性化のためにはやむを得ないことと割り切り、積極的に荷担を始めます。
話しが徐々に暴走していく様は、藤井青銅さん作の「愛と青春のサンバイマン」や「ゴー・ゴー!チキンズ パート2」にも似た感じですが、本作品はこれらの2作品よりもずっと地に足の付いた、というか現実に起こっちゃいそうな?話しです。
さて、この町おこし騒動はどのような結末を迎えるのか。
終盤はグッとシリアスな展開になっていきますが、それは見てのお楽しみということにしましょう。
ただ個人的には、終盤にあれだけ盛り上がったのにラストシーンだけは少し物足りなりないと感じました。

ところで、私も仕事で地方に行くこともあります。
地方によってかなり違うのですが、とにかくマイナス思考というか縮み指向というか、縮小均衡の方向でしかモノを話さない人もいるんですよね。
もちろん地方の持つ悩み、そして都会に対する複雑な感情というのはある程度は理解できるつもりですし、各地方についてよく知りもしないストレンジャーが論評するのは間違いなのかも知れません。
また、何かをやろうとしてもどうせ失敗に終わって借金が残るだけ、というのは実際に真実なのかも知れません。
しかし、このままでは明らかにじり貧な状況であるならば、それでも何かやらなければいけないはず、と感じたことがあります。
このドラマを聴いているとそんなことを思い出しました。
何だけ偉そうですね。
スミマセン。
他人事のように書いていますが、改めて考えてみると、地方の人が東京に対して持っている複雑な思いというものは、東京の人が世界に対して持っている忸怩たる思いにも似ている気がします。
東京とて世界から見れば辺境に過ぎないのですから。
偉そうに言う前にまずは自分が動かないといけませんね。反省、反省。

さて、主役の靖夫を演じているのは俳優の勝村政信さん。
言わずと知れた第三舞台出身の有名な俳優さんです。
こんな地味な作品に名の通った俳優さんを出演させるのがNHKらしいところです(青春アドベンチャーに出演されている有名な俳優さんについてはこちら)。
また、鏑木役のマギーさんも良い味を出していると思います。

なお、本作品が放送された2008年は、青春アドベンチャーの新作が年間で8作品しか作られず、他は再放送で賄われたという、究極の省エネ年。
サウンド夢工房から青春アドベンチャーに切り替わった1992年(番組の歴史はこちらの記事をご参照下さい)をみると青春アドベンチャーとサウンド夢工房を合わせて22作品が作られています。
それに比べると3分の1程度の作品数です。
最近はまた作品数が増えてきた(2011年17作品、2012年14作品)ようで、本当に良かったです。



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