青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

ロンリー・ランナー 原作:喜多嶋隆(青春アドベンチャー)

作品:ロンリー・ランナー
番組:青春アドベンチャー
格付:A
分類:職業
初出:1992年11月24日~12月4日(全9回)
原作:喜多嶋隆
脚色:佐久間崇
演出:伊藤豊英
主演:加藤亮夫

俺の名前は流葉爽太郎(ながれば・そうたろう)。
六本木にある広告代理店S&WでCFディレクターをやっている。
S&Wで、といっても、俺の率いる「流葉チーム」はS&Wの正式な組織ではなく、所属する我々も正社員契約も保証もなしの使い捨ての身分だ。
その代わりギャラは通常の2倍もらう。
このヤクザなチームに所属するのは、俺、ボクサー崩れの流葉のほか、かつてカンヌ国際広告映画祭のグランプリを取った敏腕プロデューサーながら酒と賭博には目がない熊沢、そして暴走族上がりで俺に喧嘩でコテンパンにやられてからS&Wの門を叩いたアシスタントのリョウ。
やはりヤクザな面々だ。
今回、この特攻チームに新しい仕事が舞い込んできた。
それは長距離走用のスポーツシューズのTVCM。
俺は偶然に出会った”裸足のシンデレラ”に的を絞って出演交渉を始めたのだが...

――――――――――――――――――――

喜多嶋隆さんの小説「CFギャングシリーズ」のうちの一作を原作とするラジオドラマです。
前作の「CF愚連隊」がアドベンチャーロードの作品として放送されてから3年半後に、続編である本作が青春アドベンチャーの作品として制作されました。(この辺の番組の変遷についてはこちらの記事をご参照下さい)
青春アドベンチャー系の番組では人気があってシリーズ化する作品も多い(詳細はこちらの記事をご参照下さい)のですが、大抵は同じ番組内の続編に留まっています。
番組を跨いで作られた作品としては「ふたりの部屋」→「カフェテラスのふたり」間でつくられた「赤糸で縫いとじられた物語」などいくつかの例がありますが、これらは基本的に短編集。
長編の作品で、番組を跨いで続編が制作されたのは恐らく本作だけなのではないかと思います。
なお、青春アドベンチャーではもう1作「天使のリール」が喜多嶋さんの原作作品ですが、こちらはCFギャングシリーズの作品ではありません。

作品内容を紹介しますと、前作「CF愚連隊」で結成された流葉チームが、今作では新しい仕事に挑みます。
前作では全10回の放送のうち、概ね前半は流葉チームが結成するまでの話しで、CF制作の話しにどっぷりつかるのは概ね後半5回分だけでした。
しかし、本作は全9回がCF制作の内容になり、CF制作をめぐるドタバタが濃厚に描かれます。
ちなみに、通常青春アドベンチャーは1週=5回を単位として、5の倍数の話数で制作されることが多いのですが、本作は全9回というイレギュラーな話数で作られています(その他のイレギュラーな放送回数の作品はこちらの記事をご参照下さい)。

今回、流葉が挑むのはスポーツシューズのTVCM。
しかもS&Wとクライアントとの関係は極秘で、流葉チームはS&Wとは無関係という建前で仕事をしなければならないという条件が付きます。
流葉が被写体として選んだのは、裸足で走ることによって有名になった長距離選手。
しかし、所属する大学からの妨害、アメリカスポーツ業界による妨害、そしてライバル選手の出現などCM撮影は一筋縄ではいきません。
そして、妨害を乗り越えて辿り着いたラストシーンでは意外な事態が起こります。
例によって現実のCF作成の描写というより、あり得ないようなトラブルの連続と、それを機転とアクションで颯爽と解決していく流葉チームの活躍が見所です。
このシリーズのフォーマットどおりのご都合主義な展開ではあるのですが、気の利いた会話に彩られた爽快な作品になっています。
一応、お仕事を巡る話しですし「悪の組織」みたいなものも出てきませんので本ブログでの作品ジャンルは前作同様に「日常系」としましたが、適度なアクションもあり内容的には「冒険系」にしても良いくらいの作品です(作品ジャンルについてはこちらの記事をご参照下さい)。
ただ前作と比較すると、妨害工作をしてくる神奈川体育大学の面々がほとんどギャグキャラであるほか、熊さんや巌さん、そして氷山制作部長などの流葉側の面々もコミカルな言動がめだちます。
また、ヒロインも前作はアメリカ人の大人の女性であったのが本作品では日本の女子大生ですし、流葉達を妨害する人間が属する組織も前作では米軍であったのが本作品では日本の大学と民間企業です。
そのため、今回もバイオレンスシーンはあるのですが、前作のように銃器が使われることもなく、全般的にハードボイルドというよりもライトな雰囲気になっています。
個人的には前作のシンディ、そしてドリーンの色っぽさが懐かしいところではあります。
ドリーン、色っぽいよ、ドリーン...
まあ、この辺は好みが分かれるところだと思いますが、ラストシーンの美しさは前作に優るとも劣らないものだと思います。
ただし、あのラストシーン、本当にあの結末でよかったのか、あのラストシーンで本当に放送できるTVCFがつくれたのかはやや疑問に感じますが。

あれで良かったのか、といえば、森野弓が流葉の提案に乗ったことが本当に彼女の競技人生にとってプラスだったかはちょっと考えてしまいます。
確かにあのままの環境で走り続けることが幸せだったとは思いませんが、アマチュアリズムをめぐる状況はそうそう簡単には変わらないのが現実だと思います。
しかし、本作品は「大人の童話」ですので、その辺をごちゃごちゃ言っても仕方ありませんが。

出演者についてですが、どのような経緯があったかは不明ですが、本作の出演者は前作「CF愚連隊」から一新されています。
主役の流葉爽太郎役が声優の加藤亮夫さんに交代。
加藤さんの声のせいか、今作の流葉は前作以上に体育会系的な雰囲気です。
そして、プロデューサーの熊さん、こと熊沢はベテラン俳優・声優の金田明夫さんに、アシスタントのリョウは俳優・声優の西凛太朗さんに、流葉チームの巣である流葉亭のコック巌さんは俳優座のベテラン俳優の塚本信夫さんに変わりました。
金田さんは2013年の新作「1985年のクラッシュ・ギャルズ」でも渋い中年を演じており健在なのが嬉しいところです。
そして本作のヒロイン森野弓(ゆみ)役は久我陽子さん。
サウンド夢工房時代の名作「ユンカース・カム・ヒア」にも出演されています。
ところで、途中で配役が変わることは「ランドオーヴァー」シリーズなどでもあったことなのですが、よほど合わない配役でない限りできれば避けて頂きたいところではあります。
ただ、本作の場合、変更後の配役もイメージにあった方々なので悪印象はありません。

一方、スタッフについては前作と変わりません。
脚色が佐久間崇さん、演出が伊藤豊英さんのコンビです。
そして何より音楽の雰囲気が前作と変わらないのが、シリーズとしての統一感を醸し出しています。
特にラストシーンの音楽は前作と全く一緒。
やはり音楽は重要ですね。

最後にこの「ロンリー・ランナー」、残念ながら前作の「CF愚連隊」と違って実写映画化はされていません。
しかし、原作でこの2作の間に存在するシリーズ第2作の「CFガール」は映画化されています。
私は別の映画を見た際の劇場予告編しか見たことがないのですが、こっちの流葉役は世良公則さん。
「流葉=世良公則」
うん、こっちも悪くないなあ。

【伊藤豊英演出の他の作品】
多くの冒険ものの演出を手掛けられた伊藤豊英さんの演出作品の記事一覧は別の記事にまとめました。
詳しくはこちらをご参照ください。




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