青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

エデン2185 原作:竹宮恵子(青春アドベンチャー)

作品:エデン2185
番組:青春アドベンチャー
格付:AA+
分類:SF(宇宙)
初出:2000年2月28日~3月10日(全10回)
原作:竹宮恵子
脚色:香取真理
演出:川口泰典、濱田裕之
主演:岡野浩介、海津義孝

宇宙船「エデン2185」は西暦2085年に地球を出航した宇宙移民船である。
100年をかけて外宇宙を航海し、その名のとおり2185年に惑星エデンに到着する計画であった。
惑星エデンに到着するまでには何世代も必要となるため、当初の乗客・乗員は惑星エデンにたどり着くことはできず、実際に到着するのは彼らの子孫になる。
そのため、航海の間、エデン2185年の船内では地球からは全く独立した社会が営まれる。
エデン2185に乗り組む人たちは、この後戻りのできない航海に参加することを望んだ後腐れのない人ばかりであり、若干18歳でパイロット候補生として乗り組んだシド・ヨーハンもその一人であった。
しかし、出航の5年後である2090年には早くもエデン2185の乗客・乗員達の意識と、彼らの社会は微妙な変化を見せ始める。
果たしてエデン2185は無事に惑星エデンに到着することができるのか。
この物語はエデン2185の航海に人生を捧げたシド・ヨーハンの信念と苦悩の記録である。

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竹宮恵子さんの漫画を原作としたラジオドラマです。
竹宮さんは女性の漫画家ですが萩尾望都さんなどとともにSF漫画で一世を風靡した方でした。
代表作は「地球へ…」でしょうか。
NHK-FMではFMシアターの方の枠ですが「イズァローン伝説」もラジオドラマ化されています。
本作も「世代間宇宙船」を題材にした本格的なSFです。
世代間宇宙船については、ラジオドラマ化希望作品として尾瀬あきらさんの「とべ!人類」を紹介した記事に詳しく書いてますので、そちらもご参照下さい。
ちなみに一方の萩尾さんも「マージナル」がNHK-FMでラジオドラマ化されています。

さて、本作は主人公達が感情的となる場面に少女漫画チックな部分も感じますが、世代間宇宙船というハードSFの要素を取り入れていることからもわかるように、基本的には本格的なSF作品です。
青春アドベンチャー系列のラジオドラマ番組でのハードSF作品は「太陽の簒奪者」や「渇きの海」くらいしか思いつきませんので、その意味では貴重な作品です。
作品の舞台は宇宙船エデン2185の船内ですが、時系列的にみると、出航後5年経過後から暫くの期間と、50年経過後から暫くの期間のふたつの期間が舞台になっています。
ふたつの時点で起こる事件、ふたつの時点間における社会の差異、ふたつの時点間におけるシドの性格や立場や理想の違い等が浮き彫りになる構成で、聴いていてとても興味深い内容でした。
ハードSFの要素を取り入れたと書きましたが、内容的には科学的な考証に偏ったものではなく、作品中のセリフである「感情は飛ぶためのエンジンだ。」「最後の国境線は人の心の中にある。」に象徴されるように叙情的な面でも印象的な作品です。
特に物語の結末の美しさ、説得力の強さはなかなか見事なものだと感じました。
格付けの"+"は結末の素晴らしさ分のプラスです。
今更ながら竹宮さんの素晴らしさを再確認した作品です。
まあ世代間宇宙船ものでは良くある展開ではありますが。

本作の主役は岡野浩介さんと海津義孝さんの二人が勤めます。
岡野さんが若き日のシドを、海津さんが後年のシドを演じています...と書きたいところですが、実際はもう少しだけ複雑です。
その辺は実際に聞いてみてのお楽しみということにしたいと思います。
海津さんは「ジュラシック・パーク」のグラント、「カルパチア綺想曲」のジェラードなどで青春アドベンチャーではお馴染みの常連出演者さんで、いつもながらの安定した演技です。
一方の岡野さんは青春アドベンチャーでは名前を聞かないのですが、血の気が多い若者の役を巧みに演じており好感触でした。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。



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