青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

DIVE!! 原作:森絵都(青春アドベンチャー)

作品:DIVE!!
番組:青春アドベンチャー
格付:AAA
分類:スポーツ
初出:2003年8月4日~8月29日(全20回)
原作:森絵都
脚色:丸山智子
演出:吉田努
主演:海宝直人

坂井知季(さかい・ともき)、中学生。
小学生の頃に初めて見た飛び込み台「コンクリート・ドラゴン」に衝撃を受け高飛び込みを志す。
MDC(ミズキダイビングクラブ)では平凡な選手と思われていたが、新しいコーチ・夏陽子(かよこ)に、唯一無二の「武器」を持っていることを見いだされ、急速に成長を始める。
沖津飛沫(おきつ・しぶき)、高校生。
津軽の海でしか跳んだことがないという幻の高校生ダイバー。
スポーツ用品メーカー・ミズキの会長に、彼をオリンピックに送り出すための組織としてMDCを作らせたほどの逸材。
その名のとおりスプラッシュ(飛沫)をものともしない豪快なダイブが持ち味だが、その反動で、ある弱点を抱えている。
富士谷要一(ふじたに・よういち)、高校生
両親とも飛び込みの有名選手というサラブレッドでありジュニアでは無敵のチャンピオン。
MDCでは知季や飛沫のことを気に掛ける面倒見の良い先輩でもある。
生まれから来るプレッシャーをはね除けるための膨大な練習の結果、圧倒的な正確性を身につけており、その入水は国際級の選手ですらめったにみられないほどである。

3人の少年達はクラブの存続のため、そして、高い高いところに上り詰めていくために、迷いながらもオリンピックを目指す。

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森絵都さん原作の青春スポーツ小説を原作とするラジオドラマです。
青春アドベンチャーにおける森さん原作の作品は1999年の「カラフル」に続いて2作目になります。
本作は高飛び込みというマイナーなスポーツを扱った作品です
高飛び込みは演技時間が2秒に満たないスポーツであり、これで競技会のシーンが盛り上がるのか、各選手の演技上の個性を十分に表現することができるのか疑問に思われるかも知れません。
しかし本作は迫力のある競技会のシーンが満載で、各選手の個性もまさに「キャラが立っている」という表現がぴったりなほど上手く表現されています。
本作の他に青春アドベンチャーで少年のスポーツを扱った作品としては「バッテリー」や「一瞬の風になれ」があります。
両作とも少年の悩みや葛藤を上手く取り込んだ良作ですが、残念ながら一つだけ大きな弱点があります。
それは15分×10話のボリュームで作られており、原作の途中までしか描かれていないこと。
それに対して本作は一挙20話で制作されています。
原作も長編なので20話でもそれなりに省略したうえでのラジオドラマ化だとは思うのですが、とにもかくにも物語の完結まで一気に描ききっており、しかもこの例外的な長編を飽きることなく聴くことができるなかなかの出来になっています。
ちなみに一挙20話で制作された作品は青春アドベンチャーの20年を超える歴史の中でも2012年の「レディ・パイレーツ」など7作品だけ(詳しくは長編作品特集その1の記事をご参照下さい)。
この7作品のうち3作品は青春アドベンチャー系番組全体で第3位に入った例の長編シリーズ(詳しくは長編作品特集その2の記事をご参照下さい)ですので、それを除くと本当に数が少ないことが分かります。
その意味で本作は幸せな作品です。

さて、内容は聴いてのお楽しみですが、やはり主役の3人の個性、それも単なる性格の違いではなく、演技スタイルの違いがスポーツものとしての出来の良さにつながっていると感じます。
この主人公達の個性に併せて、作品全体の構成も5話ずつ4つのパートに分かれており、それぞれパートのナレーション(主人公の独白)及びタイトルコールを、最初のパートについては知季(役の海宝直人さん)が、2番目のパートについては飛沫(役の斉藤亮太さん)が、3番目のパートについては要一(役の藤間宇宙さん)が担当しています。
作品全体の時間軸は最初から最後に向けて一直線に流れていくのですが、それぞれのパートごとに異なる主人公を据えて、彼の視点から物語が語られます。
最終の第4パートのタイトルコールは4番目の主人公とも言える女性コーチの夏陽子(かよこ)が勤め、場面に応じて夏陽子と3人の主人公達の独白がランダムに挟まる形です。
聴き始めた最初の頃は、最初の担当である知季の状況説明のナレーションが多く、それがあまり流ちょうでない(失礼!)こともあって「これはイマイチな作品かな」と思いましたが、次第に語り口がこなれてきたのと、作品が進むにつれ状況説明調の語りが少なくなっていったように感じ、次第に気にならなくなりました。
なお、本作品の脚本家は丸山智子さん。
青春アドベンチャーでは2005年の「家守綺譚」も担当している評価の高い脚本家さんです。

一方、作品全体を覆う雰囲気も、マイナー競技故の悲哀や、各主人公達が挫折し悩む姿など、ともすれば暗くなりがちな要素にもかかわらず、前向きで明るい作品になっています。
「バッテリー」や「一瞬の風になれ」に出てくる「天才」達が、一般人とは感性が異なるエキセントリックなキャラクターとして描かれ、少年期特有のイタさ、迷いが作品の前面に出ているのと比較するとあくまで本作は陽性です。
深みが足りないという感想もあるかも知れませんが、爽やかであるとも思います。

出演は上でも書きましたが、3人の主人公、坂井知季役が海宝直人さん、富士谷要一役が藤間宇宙さん、沖津飛沫役が斉藤亮太さん。
ハッキリ言って3人とも凄く上手いという感じではありませんが、若さがストレートに出ており聴いていて非常に好感が持てる演技でした。
ちなみに、知季を演じた海宝直人さんは本作品の2年前まで劇団四季ミュージカル「ライオン・キング」でヤングシンバを演じられていた方。
「上手いという感じではない」とは失礼な表現ではありますが、舞台とラジオドラマでは勝手が違うのでしょう。

また、3人のために全てを掛けて文字通り奔走する鬼コーチ・夏陽子役は中野若葉さん。
夏陽子はきつい性格のキャラクターですが、中野さんがなかなか可愛い(失礼)声であるため、嫌みな感じが全くしませんでした。
中野さんについてはごく少しだけ舌足らずな感じが昔の大場久美子さん(アドベンチャーロード時代の「幽霊海戦」)を思い出させました。
あと公式ページのキャストにも記載されていないマニアックなところでは、日水連の金メダルの鬼こと前原会長役の西村知道さん。
西村さんの主な出番は、要一と二人だけで話すワンシーンだけなのですが、結構長目で内容的にも重要なシーンです。
個人的に西村さんといえばやはりガイナックス史上最高の名作「トップをねらえ!」の「副長」役(これまたマニアックでスミマセン)です。
あの冷たい、でも本当は熱いと感じさせる声がとても印象的です。
やはりこういうバイプレーヤーも必要ですね。




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