青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

ランドオーヴァーシリーズ(青春アドベンチャー版)におけるキャストの移り変わり

ラジオドラマに限らず、シリーズものの映画・テレビドラマ・ラジオドラマなどのキャストは変わらないのが普通です。
本ブログで紹介しているNHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」でも基本的にはそのとおりなのですが、CFギャングシリーズ(「CF愚連隊」→「ロンリー・ランナー」)、「BANAN FISH」シリーズのように、全部または一部のキャストが変わってしまった例もあります。
その中でも、大幅に変わったものとして特に有名なシリーズが、本記事で紹介するランドオーヴァーシリーズ(1995年~2000年初出)です。
何と主役を演じる役者さんからして途中で交代。
そして最終作で当初の主役キャストが復活するという混乱ぶり。
ある作品である役をやっている方が、他の作品では別の役をやっているなんてこともある。
改めて調べてみると、第1作から第5作まで通して登場したキャラクターで配役が変わらなかったのは、「なかいおり」さんが演じた魔女ナイトシェイドだけでした。
その何とも複雑なキャスト変更の(おおむねの)全貌を表にしてみると以下のとおりです。

作品 1 2 3 4 5
魔法の王国売ります 魔術師の大失敗 黒いユニコーン 大魔王の逆襲 見習い魔女にご用心
脚色 高山なおき
演出 川口泰典、芦田健 川口泰典
ベン・ホリデイ 松本保典 古澤徹 松本保典
クエスター・スーズ 海津義孝 吉田鋼太郎
アバーナシー 井上和彦 山西惇 八十田勇一
ウィロウ 前田悠衣 森奈みはる 詩乃優花
フィリップ 高橋克実 腹筋善之助 栗田芳宏
ソット 千紘あい
カレンドボー 高橋克実 吉田鋼太郎 青山勝
川の長 青山勝 海津義孝 青山勝
ストラボ 青山勝 吉田鋼太郎
ナイトシェイド なかいおり
ミークス 海津義孝 佐々木蔵之介
マイルズ・ベネット 高橋克実 腹筋善之助
マイケル・アルド・リー 小須田康人
エリザベス 千紘あい 佐久間レイ
エッジウッドダーク 舵一星
大地の女王(大地の母) 千紘あい 佐久間レイ
ホリス・キュー 古田新太
ビガー 舵一星
ゴース 栗田芳宏
ミスターヤ 飯塚雅弓
リダル 青山勝
ホルトウィッスル(泥犬) 佐久間レイ
ポグワイト 古澤徹
ナレーション 千紘あい 毬藻えり 森奈みはる 毬藻えり 紘美雪

高橋克実さん、佐々木蔵之介さん、山西惇さん、古田新太さんといった、後にTVで随分とお見かけするようになる方が、ワンポイントリリーフ的に使われているのが印象的です。
また、各作品の記事ではあまり言及しなかったのですが、青山勝さんが準主役クラス(クエスターやアバーナシー)より少し劣るけど重要な役を非常にたくさんやられていることに気が付きます。
「ランドオーヴァーシリーズは実は青山勝さんでもっていたのではないか」ということに改めて気付いた一覧表でした。

【追記】 
ランドオーヴァーシリーズでウィロウを演じた森奈みはるさんのブログに、2017年9月18日、演出の川口泰典さんを囲む会の様子が掲載されました。
森奈さんのほか、松本保典さん、古澤徹さん、吉田綱太郎さん、海津義孝さんなど、ランドオーヴァーに出演されている「川口組」の面々がずらり。
なかなか壮観です。
それにしても、お仕事が終わってから四半世紀を経て、今でも集まれる関係ってうらやましいですね。

【ランドオーヴァーシリーズ】
第1作 魔法の王国売ります
第2作 魔術師の大失敗
第3作 黒いユニコーン
第4作 大魔王の逆襲
第5作 見習い魔女にご用心

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ほかの誰でもないアヤコ 作:鈴江俊郎(FMシアター)

作品:ほかの誰でもないアヤコ
番組:FMシアター
格付:B
分類:幻想(日本)
初出:2016年9月17日(全1回)
作 :鈴江俊郎
音楽:谷口尚久
演出:笠浦友愛
主演:イモトアヤコ

気が付くと、空中に自分がいた。
何というドジ。
階段から盛大に落っこちたのだ。
ヤバい…
しかし、目覚めたらお花畑にいた。
助かったのか?
いや、目の前にいる「死神のお使い」と自称する男によれば、まだ、生死の狭間にいるらしい。
しかも、この男に、自分が生きる値打ちのある人間であることを納得させられないと本当に死んでしまうらしい。
しかも45分の間に。
マジか…

――――――――――――――――――――――――――

本ラジオドラマ「ほかの誰でもないアヤコ」は、お笑い芸人イモトアヤコさんを主演に据えたラジオドラマです。
イモトアヤコさんといえば、日本テレビの「世界の果てまでイッテQ!」の「珍獣ハンターイモト」のコーナーで一躍お茶の間の人気者になったお笑い芸人さん。
幅広い出演者層をもつNHK-FMのラジオドラマでもお笑い芸人さんが主演する作品はなかなか珍しいのではないでしょうか。
ちなみにイモトさんは、イッテQでは「珍獣ハンター」だけではなく、「イッテQ登山部」などの活動もあり、番組のロケで世界中を飛び回る多忙な生活を何年も続けていますが、その中でも意外と精力的に女優としての活動も続けています。
TVドラマでは2010年の「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」が初出演で、2014年には「最高のおもてなし」で初主演。
合計6作品に出演されており、その他にも2016年には朗読劇「ラヴ・レターズ~2016 The Climax Special~」にも参加されています。

で、そのイモトさんの演技なのですが…結構悪くないです。
もともとイッテQでのイモトさんのコーナーって、バラエティとは言いつつ、珍獣や登山それ自体よりも、トラブルが起きた時のイモトさんのリアクションや喜怒哀楽の表現自体が見せ場になっています。
「水曜どうでしょう」や「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」と同じような作りですね。
本作品は、ロケでのイモトさんのリアクションをそのままラジオドラマにしたような作りの作品ですので、いつものイッテQのままのノリで演技されているのが良かったのかもしれません。
イッテQの番組中でも「自分には何にもない」と、突然ブレイクして勢いだけで続けてきたことに対する危機感を漏らす場面もあったりしました。
芸域を広げようと色々考えてのことだと思いますが、こんな地味なラジオドラマ番組のオファーまで受けるところをみると、意外と真剣に女優業に取り組んでいるのかもしれません。
実際、ロケの合間に台本を読んだりするのは大変でしょうね。

さて、作品の内容は冒頭に書いたとおり、アクシデントで死にそうになった普通のアラサー女子アヤコのもとに、「死神の使い」が現れ、彼女の半生を振り返るというものです。
彼女が生き続けるに値するかを45分以内に決めないといけない、という設定ですが、この45分はほぼラジオドラマの残り時間となっているという仕掛けです。
生死の決定権を死神(性格には「死神の使い」)が持っているという設定は「死神の精度」を思い出させられますが、本作では死神の使いとアヤコが正対して過去を巻き戻しながら二人で議論して結論に至るスタイルです。
ただ内容は…
どうなんでしょう、個人的には「二兎追うものは一兎も得ず」だったのではないかという印象を受けました。
本作品のアヤコはいわゆる「都合のいいオンナ」で、自己主張がない、と死神の使いに指摘を受けます。
本当にそうなのか、そうだとしても、だから生きる価値がないといえるのか。そうだとしたらこれからどう生きたらいいのか。
その辺についてのアヤコ自身の振り返りと気づきが本作品の最終テーマであると思うのですが、そこに導くのに「軍国主義」とか「憲法9条」とか必要でしょうか。
いえ「反戦」という要素を否定するつもりは全くないのですが、結局、アヤコの気づきは極めてプライベートなことであり、そこに社会問題を絡ませるのはいささか牽強付会。
確かに、眉間にしわを寄せてこわばった表情で叫ぶのばかりが正しい反戦ではないと思いますし、エンターテイメント性とテーマ性はやり方によっては十分両立できると思います。
しかし本作品の場合、せっかくのイモトさんの勢いのあるしゃべりを取り入れてエンタテイメント性を持たせているのに、反戦の持ち出し方があまりに唐突です。
晴れたらいいね」や「僕たちの戦争」、「走れ歌鉄!」のようにうまくエンターテイメント作品に昇華できている作品もあります。
もう少しうまくやれたらもっと良かったのにというのが正直なところです。

という訳で、個人的には(本作品のファンの皆様、ごめんなさい)いまいち釈然としないところが残った本作品。
しかし、結構、好評だったのか、10月10日に早くも再放送が決まったようです。
確かにイモトさんの元気の良い声を聴くだけでもファンには悪くない作品だと思います。
あとふと思ったのですが、演技をしているときのイモトさんの声って、同じイッテQに出演されている、いとうあさこさんにちょっと似ていると思いませんか?
思ったのは私だけ???

(補足)
谷口尚久さんが作曲された本作品の音楽が配信されています。
作品を聴いて気に入った方はこちらをご覧ください。
(外部リンク)https://itunes.apple.com/jp/album/nhk-fmshiata-hokano-shuidemonaiayako/id1156352705



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