青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

魔人復活 第1部 青銅の魔人 原作:江戸川乱歩(アドベンチャーロード)

作品:魔人復活 第1部 青銅の魔人
番組:アドベンチャーロード
格付:B
分類:推理
初出:1987年7月6日~7月17日(10回)
原作:江戸川乱歩
脚色:大野哲郎
演出:上野友夫

昭和24年。
敗戦の痛手からようやく立ち直って、焼け跡の東京に生きる人々の表情に明るさが戻ったころ、何ともいいようない不思議な事件が起こった。
顔も体も青銅でできた魔人が現れ、夜な夜な高級宝飾店を襲っては時計を食べているというのだ。
今では想像もできない戦後の深い闇の中でうごめく、この青銅の魔人は一体何者なのか。
目的も正体を不明な魔人を巡って東京中が大混乱に陥る中、ついに魔人はその真の目的を明らかにする。
「皇帝の夜光の時計」
かの怪盗アルセーヌ・ルパンが血眼になって追い求めたという秘宝こそが、彼のターゲットだというのだ...

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江戸川乱歩さん原作の少年探偵団シリーズの1作を原作とするラジオドラマです。
原作は1949年発表の「青銅の魔人」です。
「青銅の魔人」は、太平洋戦争で中断されていた少年探偵団シリーズが戦後に復活した際の作品です。
このラジオドラマ版のタイトルはそれを意識したのか「魔人復活」となっています。
ちなみに本作品は全10回で放送されましたが、すぐ次の週から続編となる「魔人復活 第2部 地底の魔術王」が放送されました。
タイトル上、一応2作品に分かれていますが、事実上は20回連続の作品と考えた方が良いと思います。

さて、今更ネタバレを心配しても仕方がないので書いちゃいますが、言うまでもなく本作品の犯人は、日本探偵小説至上に残る希代の怪盗「怪人二十面相」です。
ちなみに、原作では「怪人二十面相」という名前がもっぱら使われているのですが、なぜかこのラジオドラマでは基本的に「妖怪博士」と呼ばれる違いがあります。
違いついでに補足しますと、原作では大活躍する少年探偵団「チンピラ別働隊」ですが、このラジオドラマでは登場しません。
また、逆にこのラジオドラマシリーズで「少年探偵団の世話役」として頻繁に登場する“ハラダセツコ”さんですが、こちらは逆にラジオドラマオリジナルのキャラクターだと思います。
チンピラ別働隊については登場キャラクターを整理している、あるいは「チンピラ」という用語を嫌った、のいずれかの理由ではないかと思いますが、その他の違いが何に起因しているのかはよくわかりません。

いずれにしろ、原作第1作「怪人二十面相」(青春アドベンチャーでは「妖怪博士と少年探偵団」)で登場したときは、盗品博物館を作るという立派な?目的があった彼ですが、途中から明智への復讐の念に取り憑かれてしまい、本来の目的を見失っていきます。
そして、戦後に開始されたこの「青銅の魔人」の頃にはすでに半ば愉快犯と言ってもよいレベルに達しつつあり、しかも、この傾向はこの後、一段と加速していくことになります。
ちなみに、本作品で“アイツ”は「青銅の魔人」に扮するのですが、前作までで用いていた「怪人二十面相」や「妖怪博士」(蛭田博士)という名前が一種の本名的に使われるに対して、本作品の「青銅の魔人」あたりからは、二十面相/妖怪博士が化けている一種のコスプレ的な位置づけになっていきます。
この辺の状況について、少年探偵団シリーズのパスティーシュ作品である北村想さんの「怪人二十面相・伝」では「二十面相は二人いた」という説で説き明かしています。
この「怪人二十面相・伝」で描いているのはまさに本作品「青銅の魔人」の事件です。
「怪人二十面相・伝」はこの「青銅の魔人」を知っていて初めて十分に楽しめる作品です。
是非、両方を聴き比べてみることをお勧めします。

さて、とはいえ本作品の前半は一応、「皇帝の夜光の時計」を巡る怪盗と名探偵の知恵比べになっています。
推理小説ではなく、あくまで子供向きの探偵小説ですので、トリックというほど難しいものではなく、かなりご都合主義な展開ではありますが、それなりに楽しい作品です。
そして後半は完全に対決自体が目的となり、二十面相の行動も復讐(というか嫌がらせ?)自体が目的になっていきます。
まあ、それもお楽しみではあります。
なお、本作品の一番大きなトリックが“復員”に関するものであるあたりが、如何にも戦後第1作らしいところです。
ただこれも羽佐間道夫さんの演技を聞きわけられた時点で真相の見当はついてしまうのですけどね。

さて、このアドベンチャーロード版「少年探偵団シリーズ」。
すでに多くの作品を紹介済みです。
スタッフ、キャストも毎回全く同じなため、詳しくは別の作品の記事を見て頂ければよいと思います。

さあ、次の記事はいよいよアドベンチャーロード版少年探偵団シリーズの最後の作品紹介「魔人復活 第2部 地底の魔術王」です。

【アドベンチャーロードの少年探偵団シリーズ】
・「妖怪博士と少年探偵団
・「魔人復活 第1部 青銅の魔人」(本作品)
・「魔人復活 第2部 地底の魔術王
・「透明怪人と黄金どくろの謎
・「宇宙怪人と少年探偵団



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白狐魔記 源平の風 原作:斉藤洋(青春アドベンチャー)

作品:白狐魔記 源平の風
番組:青春アドベンチャー
格付:B-
分類:伝奇
初出:2014年7月21日~7月25日(全5回)
原作:斉藤洋
脚色:山本雄史
演出:藤井靖
主演:成河

狐を狩る一方で、狐に騙されることを恐れてもいる。
そんな賢いと同時に愚かな、人間という不可思議な生物に興味を持ち、人間の言葉を覚えようと思い立った一匹の狐がいた。
そして、彼は、ある若武者に出会う。
崖を駆け下りていく鹿を指さし、「鹿も獣なら馬も獣。同じ崖を降りられないはずがない」と宣言し、自ら崖を騎馬で駆け下りていく、その若者の名は源義経。
彼の作り出した凄惨な戦場を目の当たりにして、狐は再び考え込む。
なぜ、彼は、そして彼ら人間は、そうまでして殺し合うのか。
後に「白狐魔丸」(しらこま・まる)と名乗ることになるその狐は、人間という不思議な生き物への興味を募らせていくのだった。

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斉藤洋さんによる児童文学作品「白狐魔記 源平の風」を原作とするラジオドラマです。
斉藤洋さん原作の作品としては、2013年放送の「シュレミールと小さな潜水艦」に続いて、2作品目の青春アドベンチャー化であり、演出も同作と同じ藤井靖さんです。
また、全5回というボリュームや、主要キャストに今井朋彦さんが加わっている点でも、両作品は似ている面があります。

さて、本作品は、歴史上の人物の事績や、彼を取り巻く人間の営みを、狐という第三者の目から描く作品です。
本作品において狐の観察対象となるのは源義経。
人ならぬ狐の視点ですので、基本的には武人である義経の行為の愚かさを批判的にみることになります。
しかし、狐自身が人間が持つアンビバレントな魅力にひかれている存在であること、いてもたってもいられなくなり観察者の立場を捨てて介入してしまう熱血狐であることから、単純な人間批判のようような説教臭さはあまり感じませんでした。
ただ、全5回という青春アドベンチャーでは短めの枠であることに加え、前半は狐が修行をして人に化けられるようになるまでに使ってしまっているため、義経との関わり合いはかなり端折って描かれています。
そのため、何となく物足りない印象が残りました。

ただ、個人的に私、この源平期の話って好きなんですよね。
特に、本作品は武蔵坊弁慶や伊勢三郎の陰に隠れがちな佐藤忠信にスポットライトが当たっており、意外とわかっているなあ、と感じます。
NHK新大型時代劇「武蔵坊弁慶」の終盤の回、例えば「吉野の灯」(第24回)、「地に潜む」(第25回)、「荒ぶる海へ」(第28回)、「安宅の関」(第29回)、「衣川立往生」(最終回)などを見て涙した私としては、意外と嬉しい内容でした。
ただ、ラストはいくらなんでも尻切れトンボすぎです。
少なくとも義経主従の末路までは描いてほしかった。

出演者は主役の狐(白狐魔丸)役を俳優の成河(ソンハ)さんが演じています。
成河さんは、青春アドベンチャーでは「海賊モア船長の遍歴」などに出演歴があり、単発の特集ドラマとしては「東の国よ!」で印象的な役を演じられていましたが、本作品は満を持して?の青春アドベンチャー初主演(多分)です。
また、仙人役は、藤井靖演出作品を始めとする多くの青春アドベンチャー作品の超常連である、今井朋彦さんが演じていらっしゃいます。
そのほか、源義経役は、「星を掘れ!」の主演が印象的な川口覚さん、武蔵坊弁慶役は“いわいのふ健”さん(変わった芸名ですねえ)が演じられています。
なお、青春アドベンチャーで過去に源義経が登場した作品としては、本作品と同じ山本雄史さん脚色の「タイムスリップ源平合戦」がありますが、この作品では義経は今井朋彦さんが演じられていました。
ちなもに、今井さんは「風神秘抄」では源義平を演じられています。
そういえば、青春アドベンチャーでは「夢源氏剣祭文」でも源氏が登場します。
歴史ものの王道である江戸時代や幕末よりも、マイナーな時代を取り上げることが多いのが青春アドベンチャーの特徴の一つです。

ところで、この「白狐魔記」の原作はシリーズものであり、「源平の風」はその第1作にあたるそうです。
原作はこのあと「蒙古の波」、「洛中の火」、「戦国の雲」、「天草の露」、「元禄の雪」と続きます。
本作品の結末があまりに唐突だったこともあり、この青春アドベンチャー版も続編ができるのか、楽しみです。

【2014/10/11追記】
何と早くも2か月後に続編「蒙古の波」が放送されました。
予想外の早さでした。
【2015/1/25追記】
そして第3作「洛中の火」も2015年1月に放送です。
ハイペースで続編が制作されています。
【2015/8/30追記】
第4作「戦国の雲」が放送中です。
ここまできたらあと2作。
最後まで行くのか?



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