青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

エンジェル 原作:石田衣良(青春アドベンチャー)

作品:エンジェル
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:幻想(日本)
初出:2000年5月15日~5月26日(全10回)
原作:石田衣良
脚色:北阪昌人
演出:保科義久
主演:田中健三

掛井は、ベンチャー企業に立ち上がりのための資金を投資する個人投資家、いわゆる“エンジェル”である。
ある夏の夜に、掛井はふと気がつくと、自分が深い山中にいることに気がつく。
しかも、目の前で二人のヤクザが埋めている死体は、自分の死体だ。
掛井は、自分が“エンジェル”ならぬ、“ゴースト”(=幽霊)になってしまったことを知り驚愕する。
しかし、不思議なことはそれだけではない。
死ぬ前2年間の記憶がないのだ。
掛井は、自分の身に何が行ったのかを知るために、自らの身辺を探り始める。

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「池袋ウエストゲートパーク」等で人気の直木賞作家・石田衣良さんの小説を原作とするラジオドラマです。
石田さんはTV等にも積極的に出演されている方ですので、お顔をご存知の方も多いかと思います。

本作品のストーリーを一言で言うと、「幽霊になってしまった男性が、恋人の女性の危機を救うために奔走する」というものです。
幽霊になってしまう主人公という意味では、ラジオドラマでは、ふたりの部屋で放送された新井素子さん原作の「二分割幽霊奇譚」を思い出しますが、どちからというと、大ヒットしたアメリカ映画「ゴースト/ニューヨークの幻」に似たタイプの作品です。
「ゴースト」と大きく違うのは、物語の開始時点で主人公が死んだ理由が主人公自身にも分からず、それを解き明かす一種のミステリー仕立てになっていることです。
とは言っても、掛井は幽霊ですので、瞬間移動ができますし、どこにでも潜り込んで秘密の話しを立ち聞きできるという、普通の探偵では望むべくもない特殊な行動が可能です。
一方、生きている人間に姿を見せたり言葉を伝えるには「たゆまざる努力」(幽霊仲間である小暮のじいさん(演:笹野高史)の言葉)が必要で、10分以上話を続けることはできないというハンディがあります。
しかし、結果として、優位性の方が大きく、謎解きは割とスイスイ進みます。

結局、掛井はどんな目的で、誰の意思で殺されたのか。
もちろん実行犯は若いヤクザ二人組なのですが、首謀者は誰なのか。
ヤクザの親分・宮田(演:西田健)はもちろん無関係ではないとして、日本映画界の巨匠・城戸崎監督(演:石田太郎さん)なのか、その弟でプロデューサーの渡(演:小高三良さん)なのか。
それとも、掛井の恩人で弁護士の高梨(演:西本裕行さん)や掛井の恋人の文緒(演:安永亜衣さん)も関わっているのか。
そして、事態の真相が分かった後に、掛井はどのような行動を取るのか。
タイトルの“エンジェル”の真の意味とは。
この辺は聴いてのお楽しみにしましょう。


さて、本作品の出演者についてですが、主役の掛井純一を演じているのは俳優の田中健三さんです。
田中さんは2004年から芸名を「建造」に改められているそうです。
青春アドベンチャーでは本作品の他にも「ゲノム・ハザード」、「魔女たちのたそがれ」、「赤と黒」など多くの作品に出演されているようです。
一方、ヒロインの藤沢文緒役は先ほども書きましたが、安永亜衣さん。
アドベンチャーロード時代の名作「妖精作戦」のヒロイン、小牧ノブ役がとても印象的です。
その他、「インベーダー・サマー」などにも出演されていました。


また、本作品の脚色を担当したのは脚本家の北阪昌人さんです。
青春アドベンチャーでは、原作付き作品の脚色として本作品と「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」の2作品、オリジナル脚本として「ラジオの前で」の1作品、合計3作品しか担当されていません(他にも短編はあり)。
しかし、NHK-FMで金曜日に隔週で放送されている「AKB48わたしたちの物語」や、TOKYO-FMで毎週日曜日に放送されている人気ラジオドラマ「NISSAN あ、安部礼司」を担当されている、ラジオドラマの売れっ子脚本家です。
まあ、両番組とも私は聴いていないのですけど...
最後に本作品では、オープニングテーマ曲とエンディングテーマ曲として、“エンジェル”に関連した曲が選曲されています。
特にエンディングテーマ曲は、第10回を除いて(第10回はオープニングと同じ曲がエンディングで流れる)、全ての回で違う曲を選曲しています。
本作品の選曲はいつもどおり伊藤守恵さん。
凝った選曲です。

【保科義久さん演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。






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折原みとの“天使の降る夜” (サウンド夢工房)

作品:折原みとの“天使の降る夜”
番組:サウンド夢工房
格付:AA
分類:恋愛
初出:1990年12月17日~12月21日(全5回)
原作:折原みと
脚色:成田勝也
演出:川口泰典
主演:徳永廣美

愛理はパパを早くに亡くし、今はママと二人暮らしの14歳の少女。
そのママに再婚話が持ち上がった。
相手の男性はとってもいい人だけど、再婚なんてパパへの裏切りだよ!
ショックを受けた愛理は、宝物の絵本 -パパがお話を書いてママが絵をつけた、世界でただ一冊の絵本- をもって、街にとびだす。
そして泣いていた愛理は、ふとした弾みで大事な絵本を風に飛ばされてしまう。
慌てて絵本を取ろうとして転落してしまう愛理。
だが、ふと気がつくと、愛理は自分が天使と名乗るリョウという男性に助けられたことを知る。

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折原みとさん原作の「天使シリーズ」の第2作目を原作とするラジオドラマです。
前作である「夢みるように愛したい」の9年後の世界が舞台になっており、NHK-FMでは前作の次の週に放送されました。
主人公は、前作の桜子から愛理に変わりますが、桜子も重要な役で登場します。
ちなみに前作で桜子を演じた徳永廣美(ひろみ)さんは、本作品では「桜子とそっくり」という設定の愛理を演じており、25歳になった桜子は別の方が演じています。
また、天使であり普通の人間とは歳の取り方が違うリョウは、引き続き宮川一朗太さんが演じています。
そのほか、六平直政さんや、蘭このみさんといった脇役陣、脚本家の成田さんや演出家の川口さんといったスタッフも同一であり、印象的なテーマ曲も同じです。
そういえば「夢みるように愛したい」の記事で、このテーマ曲は「サテンのマーメイド」と同じ、と書きましたが、実はFMシアター枠で放送された「広くて素敵な宇宙じゃないか」も同じ曲を使っているんですよね。
この3作品、いずれも演出は川口泰典さん。
何かこの曲に思い入れがあるんでしょうかね?

何はともあれ「夢みるように愛したい」から、事実上、連続したストーリーとなっている本作品。
とはいえ、前作は前作だけできちんと完結した作品です。
一度、美しく完結した作品を掘り返して続編をつくるのはどうなのだろう、と私も思います。
しかし、本作品は、前作の内容を背景として消化したうえで、愛理とリョウの間の物語として単独で完結した物語になっています。
そして同時に、桜子とリョウの物語も本作品をもってようやく完結したともいえる構成になっており、なかなかの出来映えです。
本作品の格付け“AA”は、本作品単体の格付けであるとともに、2作品がともに完結を迎えたという感慨を込めた格付けです。
例によって、毎回終了後に、なぜか辛島美登里さんの「夢をつないで」が流れたりして、純然たる作品時間はかなり短めなのですが、短いなりに好印象の作品です。
是非、前作を聴いたあとに聴いて頂きたい作品です。

さて、それにしても、前作の桜子に引き続き、本作の愛理の言動もかなり痛いものです。
おじさんとしては、素面では聴いていられないくらいです。
でも、「屋上デモクラシー」や「リテイク・シックスティーン」などもそうでしたが、中高生の考えていることなんてイタくて当たり前です。
こういう作品は、そのイタさを楽しむものだと思います。

個人的な感想ですが、「サウンド夢工房」時代の作品は、エッセイや女性向きの小説などを原作としている作品が多く、肌が合わない作品が多かった印象があります。
本作品も素材的には肌が合わない作品だと思いますが、上手く料理されており、食わず嫌いはいかんなあ、という思いを改めました。

本作品の脚色は成田勝也さんで、演出は川口泰典さんです。
青春アドベンチャー系列の作品で、成田さんが脚色を担当されている作品は、私が把握している範囲で7作品だけです。
このうち「武蔵野蹴球団」以外は全て「サウンド夢工房」時代の作品なのが特徴的です。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。



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