青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

一瞬の風になれ 原作:佐藤多佳子(青春アドベンチャー)

作品:一瞬の風になれ
番組:青春アドベンチャー
格付:A
分類:スポーツ
初出:2007年5月14日~5月25日(全10回)
原作:佐藤多佳子
脚色:佐藤久美子
演出:川野秀昭
主演:内山眞人

神谷新二は高校ではサッカーをやらないことを決めていた。
天才と称される兄・健一に憧れて始めたサッカーだが、自分に球技の才能がないことはこれまでで十分思い知った。
これ以上、結果のでない努力を続ける気力は新二にはなかったのだ。
だから進学した県立高校も、家から近く、自分の学力で入れそうなところ、というだけで決めた。
だから入学してもイマイチやる気が出ない。
そんな新二と同じ高校に幼なじみの一ノ瀬連も入学してきた。
連は中学2年にして短距離で全国7位という歴とした「天才」だったが、そのマイペースすぎる性格が災いしてか、中学の陸上部を途中で辞めていた。
自分を棚に上げて、連のマイペースぶりに苛立つ新二だが、久しぶりに連と一緒に走ってみて、その走りの美しさに感動し、連に再び陸上を始めることを勧める。
しかし、勧められた連は陸上を再開するにあたり新二も一緒に陸上を始めることを提案する。
驚く新二だが自分の中に連と一緒に走りたいという熱い風が吹くのを感じた。
どこまでも速くなること。仲間とバトンをつなぐこと。
新二の新しい挑戦が幕を開けた。

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佐藤多佳子さんの人気青春スポーツ小説を原作としたラジオドラマです。
佐藤多佳子さん原作の作品としては本作「一瞬の風になれ」が制作された前年に「しゃべれどもしゃべれども」が青春アドベンチャーに取り上げられています。
青春アドベンチャーになった青春スポーツものとしては、本作のほかに、あさのあつこさんの「バッテリー」(中学校・野球・2000年放送)、森絵都さんの「DIVE!!」(ダイビングクラブ・高飛び込み、2003年放送)があり、本作と併せてこのジャンルの人気小説をほぼ網羅している錚々たるラインナップです。
これ以外にすぐに思いつく人気小説と言えば、三浦しをんさんの「風が強く吹いている」(大学・駅伝)くらいでしょうか。
三浦しをんさんは「神去なあなあ日常」が青春アドベンチャー化されていますので、期待は持てそうですが、先物買いの好きな青春アドベンチャースタッフからするとすでにTBSでラジオドラマ化されている「風が強く吹いている」は評価が確立されすぎていて敬遠されてしまうのかも知れません。
ちなみに本作「一瞬の風になれ」は2007年5月の放送。
原作は同年に吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞しているのですが、吉川英治文学新人賞は例年3月に、本屋大賞4月に発表されています。
また、フジテレビでテレビドラマ化されたのは2008年2月。
ラジオドラマの企画は2007年初頭から動いていたと思われますが、文学賞の発表直後、テレビドラマの前という極めてニッチな期間を狙ってどんぴしゃで放送されたことになります。
NHKスタッフの皆さん、素晴らしいタイミングです。
それにしてもこれら4作品の著者が全て女性なのはどういうことなのでしょうか?
人気野球漫画「おおきく振りかぶって」(高校・野球)も女性が作者です。
最近の日本で女性の活躍が目立つのは創作の分野に限りませんが、このジャンルの書き手がここまで女性に偏るのはそれだけが原因ではない気がします。
個人的な想像としては、異性が書いた方が微妙に理想化できて書き手も書きやすいし、読み手としても受け取りやすいのではないかと思います。
現実の思春期の男の子なんて外面も内面もどろどろで、そのまま書いても微妙な作品になってしまうと思います。

さてさて、作品内容に戻ります。
本作の題材は陸上競技(短距離)ですが、その中でも特に4×100mリレー(通称「4継」)が作品のクライマックスになります。
天才・連に憧れて短距離を始める新二ですが、次第に負けたくないライバルとして連を意識するようになります。
天才である兄に憧れた末に挫折した経験を持つ新二ですが、同級生・根岸(通称「ネギ」)や先輩、顧問の先生と接するうちに、走ることの楽しさ、リレーの素晴らしさに気がついていきます。
周りの同期、先輩や顧問の先生がこれがまた良い人ばかりで(連はある意味クズですが)、ラジオドラマの宿命である原作の一部省略や女性原作者ならではの男性の理想化の傾向は感じますが、全体として爽やかな気持ちの良い作品になっています。
原作は全3巻の作品ですが、青春アドベンチャー化されたのはそのうちの第1巻部分(高校1年生編)のみです。
一応、ラジオドラマだけできちんと完結してはいるのですが、原作の状況からも、ラジオドラマとしてのできの良さからしても続編があっても良かった作品だと思います。
しかし、この記事を書いた2012年末の時点で初放送から5年以上が経過していることを考えると、難しかったのでしょうか。

出演は主人公の新二役が内山眞人さん、飄々とした連役が小林良也さん、熱いネギ役が豊永利行さんで、それぞれ好演しています。
みっちゃんこと、三輪先生役の江川央生(ひさお)さんも、大雑把でワイルドかつ理性的なみっちゃんをなかなか良い感じで演じていらっしゃいます。
また、新二の兄の健一役で、後に「東のエデン」(滝沢朗)、「坂道のアポロン」(西見薫)、「銀の匙 Silver Spoon」(八軒勇吾)、「機動戦士ガンダム サンダーボルト」(ダリツ・ローレンツ)など、多くのテレビアニメで主役を務めることになる木村良平さんが出演されています。





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ごくらくちんみ 第2期 原作:杉浦日向子(青春アドベンチャー)

作品:ごくらくちんみ 第2期
番組:青春アドベンチャー
格付:C+
分類:グルメ
初出:2011年5月2日~5月6日(全5回)
原作:杉浦日向子
脚色:井出真理
演出:真銅健嗣
主演:角替和枝ほか

漫画家で江戸風俗研究家であった杉浦日向子さんの小説が原作のラジオドラマで、1話完結・全5回の短編集です。
本作には2009年に放送された同じタイトルの作品(ごくらくちんみ)があります。
青春アドベンチャーでは第2シリーズを放送する場合、「2」など、それとわかるような表記をタイトルにつけるのが通例なので、全く同じタイトルで違う内容(続編)を制作するのはめずらしいと思います。
思いつくものとしては遠い昔のアドベンチャーロード時代の1989年に放送された「アルバイト探偵」くらいでしょうか。
こちらは連作短編だったのですが、第1シリーズの放送の半年後に同じタイトルで何事もなかったかのように続きを放送していました。
ちなみに「アルバイト探偵」は第2シリーズの更に後に今度はタイトルを変えて(「女王陛下のアルバイト探偵」)、第3シリーズが放送されていました。
本ブログでは、2009年版の「ごくらくちんみ」と紛らわしいので本作を「ごくらくちんみ 第2期」と表記させて頂きました。

さて、作品内容はほぼ前作の「ごくらくちんみ」と同じです。
毎回、異なる女性を主人公として、各話1品ごとの珍味(酒肴)と絡めてその女性の人生の一場面を綴っていく作品で、まさに「日常系」の作品です。
今作で採用されている珍味は以下の五種類です。
個人的には昔「釣りキチ三平」(だったと思いますが自信なし)に登場し一度は食べてみたい、と思っていた「鮎のうるか」が選ばれているのはちょっと嬉しかったですね。
結局、私は食べたことがないのですけど。

1 にがうるか
2 うずらのピータン
3 がん漬け
4 しおうに
5 ちょろぎ

前作は、語り口は軽妙であるものの、やや重い内容の作品が多かったのですが、本作はその傾向は少し薄れ、気軽に聞ける作品が多くなっています。
ただし前作同様、テーマである珍味に無理やり結び付けたように感じられてしまうストーリーや、逆に珍味は小道具として出てくるだけで何らストーリーには関係ない作品も多いと感じます。
第4話は私が子供の頃から大好きだった「しおうに」がテーマだったのですが、本当に作品の片隅に出てくるだけでした。
また、「娘が旦那と喧嘩して家に戻ってきた」とか「長年飼っていたペットが死んだ」とかいうことが人生の一大事件であることは理解できますし、それをテーマにしたラジオドラマも結構だとは思うのですが、どちかかというと、より文芸色の強い「FMシアター」でやって頂いた方が私にはしっくり来ます(この辺は私の個人的な希望です)。
とはいえ、いまや数少ない帯のラジオドラマ番組である青春アドベンチャーですので、多様なリスナーの希望にこたえるためには、このような傾向の作品も一定程度は必要なのだとは思います。

主演も前作同様、各話ごとに異なる女優さんが演じています。
全体のナレーションを担当するのは前作と同じ銀河万丈さん。
長谷川真弓さん(おいしいコーヒーのいれ方シリーズ)、大高洋夫さん(アルジャーノンに花束をラジオ・キラー)、石田太郎さん(有頂天家族三匹のおっさん1985年のクラッシュ・ギャルズ)など青春アドベンチャーに出演経験が多数ある芸達者な方が多く、日常系の短編ドラマとして安心して聞ける仕上りになっていると思います。
1話15分で完結する話ばかりですので、気軽に聞くにはぴったりだと思います。




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