青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

谷山浩子の"悲しみの時計少女" (サウンド夢工房)

作品:谷山浩子の"悲しみの時計少女"
番組:サウンド夢工房
格付:A
分類:幻想(日本)
初出:1992年2月3日~2月14日(全10回)
原作:谷山浩子
脚本:香取真里
演出:川口泰典
主演:谷山浩子

浩子は、常に正確な時刻がわからないと不安で、寝るときでさえ時計を外さない時計中毒患者。
彼から別れ話を切り出され、彼の新しい彼女に会わせて欲しいとごねたあげく、思い出の喫茶店で二人を待ち構えている。
そこに浩子の彼を名乗る男が現れたが、彼は浩子の知っている彼とは全く違う、ハンサムだが魚の目をした「魚男」(さかなおとこ)だった。
魚男に困惑する浩子だが、やがて現れた彼の新しい彼女をみて一層驚く。
彼女は顔が時計の文字盤(ちなみにインデックスはローマ数字。ただし針はない。)の「時計少女」だったのだ。
しかし、時計少女と話しているうちに彼女の家であるという「時計屋敷」に興味を持ち、なぜか鎌倉にあるという時計屋敷を尋ねることになった...

------------------

作品タイトルのとおり、シンガーソングライターの谷山浩子さん原作の不思議な作品です。
谷山さん原作の作品は、放送期間が短かったサウンド夢工房時代だけで、本作と「ネムコとポトと白い子馬」、「谷山浩子の電報配達人がやってくる」の三作品がつくられており、サウンド夢工房時代を象徴する原作者さんだと思います。
特にこの「悲しみの時計少女」は評価が高いようで、青春アドベンチャー時代にも3回も再放送されています。

しかし、私にはこの3作品とも、基本的に意味がさーっぱりわかりません。
不思議系の話しなので抽象的な形で何らかの寓意が隠されているのかも知れませんが、何が何やら。
そもそも意味など考えずに聴くのが正しいのかな。
ただ上記の3作の中で、一番、引きつけられたのが本作であるのは確かでした。
喫茶店から時計屋敷へ移動する過程で次々と不思議な出来事が起きるテンポの良い構成です。
また、終盤の魚男の扱い(よく考えると少しカニバリズム的?)など、ホラー要素もあり、緊張感もあります。
さらに、終盤で浩子自身も知らなかった浩子の意外な事実が明かされるなど、謎解きの要素もあります(謎解きといってもそもそも何でもありの世界なので推理系のそれとは全く異なりますが)。
本作と同様に谷山さんが主演された「おしまいの日」の記事でも書いたのですが、谷山さんはラジオのトークは比較的普通です。
また、谷山さんのつくる歌詞は独特ではありますが、歌詞は誰がつくっても多少抽象的で非現実的なものになるのは良くあることですので、歌も割とすんなりと受け止められます。
しかし谷山さんの小説は不思議な話すぎて個人的にはどうもあまり楽しめません。
...と思っていたのですが、「おしまいの日」の記事を書いた後、久しぶりに谷山さんの曲を大量に聴いてみたところ、どうも自分が慣れちゃっていただけで、やっぱり歌詞も変なものが多いことに改めて気がつきました。
「素晴らしき紅マグロの世界」とか、わけわからなさ過ぎます!(褒めています)
そんな谷山さんの小説にはあまり馴染めなかった私ですが、主人公の浩子がなぜか相当、常識的であるせいかも知れませんが、本作品の世界観にはあまり違和感を感じず、楽しく最後まで聞き終えることができました。
良作であるという評価には同感です。

主役の「浩子」を演じるのは原作者である谷山浩子さんご自身。
オープニング・エンディングの曲も歌っており、まさに谷山さんのための作品になっています。
このブログには谷山さんのお名前を検索して辿り着かれる方がとても多いのですが、この作品における活躍ぶりを考えると納得です。
なお、青春アドベンチャーで原作者が出演している他の作品についてはこちらの記事をご参照ください。

その他の準主役級の時計少女と魚男は、前田悠衣さんと渡辺いっけいさんという当時の青春アドベンチャーの超常連が固めています。
本作では常識人である「浩子」を演じた谷山さんと、エキセントリックな性格の「時計少女」を演じた前田さんですが、実はこの二人はのちに青春アドベンチャー枠で、それぞれ三津子(おしまいの日)とサリー(五番目のサリー)という、それぞれ精神を病んだ(後者は厳密には障害)主人公を演じることになります。
その競演と考えると、本作を聴いていて何となく感じる怖さは配役の影響もあると感じます。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。




★本文内のリンクについて★
本ブログは、紹介したラジオドラマからスタートして、関連している作品、していない作品、原作などの様々な作品に興味を持っていただきたいと思い、本文の随所にリンクを設置しています。
特に外部リンクと明示してあるものと、アマゾンの画像以外は原則として本ブログ内へのリンクに限定しておりますので、安心してリンク先の記事をお楽しみください。
なお、アマゾンの画像リンクについてはこちらのご注意事項もご参照ください。


□スポンサーリンク□

テーマ:ラジオドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

世紀の大冒険レース~アムンゼンとスコット 原作:チェリー・ガラード、本田勝一(アドベンチャーロード)

作品:世紀の大冒険レース~アムンゼンとスコット
番組:アドベンチャーロード
格付:AA+
分類:冒険(秘境漂流)
初出:1987年11月16日~11月27日(10回)
原作:チェリー・ガラード、本田勝一
演出:角井佑好

1911年1月、南極大陸に二人の男が上陸する。
一人は大英帝国の誇る優秀な海軍軍人ロバート・ファルコン・スコット。
もう一人はアルゼンチン出身の熟練した探検家ローアル・アムンゼン。
国家の威信と男の夢をかけた二人の大冒険レースが始まる。
進むは人跡未踏の大地・南極大陸、目指すは人類史上初の南極点への到達。
世界一過酷な旅の果てに二人を待ち受ける運命は、栄光か失敗か。

------------------

史実のアムンゼンとスコットの南極点到達レースを扱った作品です。
チェリー・ガラードの「世界最悪の旅」と本田勝一さんの「アムンセンとスコット」を底本にNHKがつくった準オリジナルの作品のようです。
なお、タイトルでは「アムンゼンとスコット」とアムンゼンが前に来ていますが、本ラジオドラマは主としてスコットサイドを中心とする内容になっています。
このレースの結末は非常に有名ですので、以下はネタバレ覚悟で書いています。
結末をここで知りたくない方は、恐縮ですが、ここでストップして下さい。
 ↓
 ↓
 ↓
 ↓
 ↓
主役のスコット役は細川俊之さん。
最終回でスコットが遺書を書いている場面の細川さんの声を聴いていると何度聞いても涙ぐんでしまいます。
あの渋い声で、冒険のスポンサーに対して「小生は遂に大探検家にては、これなく候。」ですよ。
夫人への遺書は「最愛なる妻キャスリーン...いや...拝啓、ロバート・ファルコン・スコット未亡人へ…」ですよ。
死んだボアーズ隊員の母親に宛てた手紙は「ボアーズの母堂へ 拝啓、生涯の最も大いなる打撃の一つをお受け遊ばしたる後に、この書状がお手に届くことをお許し下されたく候。」ですよ。
万感が胸に迫りつつもあくまで軍人としての責務を全うしようとする姿には、このようなヒロイックな行動にシニカルな私でも何がしかの心が動かされずにはおれません。
実際のスコットも、死を直前に計12通もの遺書を書き、その中では死んだ隊員の働きを褒め、世間の人たちへ隊員の遺族への配慮を求めるとともに、自分の妻には適当な男性がいれば再婚することを勧めているとか。
今日の検証ではスコット隊は負けるべくして負けた、という評価がほぼ定着しているようです。
確かに遭難直前の状態で標本採取を継続するなど、素人の私から見ても狂気の沙汰です。
ただ、あれほどの悪条件が重ならなければこのような悲劇には終わらなかったでしょうし、「蜩ノ記」の秋谷のときにも書きましたが、自らの価値観だけで他人を断罪するのは避けたいものです。
何しろスコット隊は南極点に残されていたアムンゼンの手紙(スコット隊が負けたことの証明)を持ち帰っているんですよ。
自分の命よりも優先すべきものがある、と口で言うことは簡単ですが、死を前にして実際の行動でそれを示すのはなかなかできないと思います。
なお、本作では、スコットだけでなくスコット隊の他の極点到達メンバー(ウィルスン、ボアーズ、オーツ、エヴァンズ)のひとりひとりの性格と行動が丁寧に描かれており、その辺も聞きどころです。

一方のアムンゼンを演じたのは草野大悟さん。
こちらもエネルギッシュで合理的なアムンゼンを見事に演じており、「脱獄山脈」の相馬刑事とはまた違った魅力がありました。
また、ナレーションは女優の和泉雅子さんです。
ただ、この和泉さんなのですが、ナレーション自体は良いですが、作品の前後にご自身の南極・北極経験をお話されるのが、ちょっと…
特に最終回の全ての物語が終わって余韻に浸っているときに聞こえてくる和泉さんのアレはちょっとないんじゃないの、というのが正直な感想でした。

何はともあれ、昭和の南極探検作品である本作品、平成の南極探検作品である「氷山の南」とはかなり趣の違う作品です。




★本文内のリンクについて★
本ブログは、紹介したラジオドラマからスタートして、関連している作品、していない作品、原作などの様々な作品に興味を持っていただきたいと思い、本文の随所にリンクを設置しています。
特に外部リンクと明示してあるものと、アマゾンの画像以外は原則として本ブログ内へのリンクに限定しておりますので、安心してリンク先の記事をお楽しみください。
なお、アマゾンの画像リンクについてはこちらのご注意事項もご参照ください。
□スポンサーリンク□

テーマ:ラジオドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

次のページ

FC2Ad