青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

笑う20世紀パート5 作:藤井青銅(青春アドベンチャー)

作品:笑う20世紀 パート5
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:コメディ
初出:1998年7月27日~7月31日(全5回)
作 :藤井青銅
演出:平位敦
主演:今井朋彦ほか(下表参照)

1994年から1998年まで毎年1作ずつ作られた「笑う20世紀」シリーズ
同じ藤井青銅さんの手による「年忘れ青春アドベンチャー・干支シリーズ」と並ぶ長期シリーズです。
このシリーズは、藤井青銅さん作の1話15分のショートドラマを、5夜又は10夜連続して放送するものです。
本作品「笑う20世紀 パート5」は、その第5弾で1998年に放送されたのですが、「パート2」と同様、少なめの5話ものでした。

さて、このパート5の各話のタイトル、格付け、粗筋及び一言を一覧にすると以下のとおりです。
パート4までは一部、「笑う20世紀」として書籍化されている作品も混じっていましたが、今回の5話はすべて書籍版(kindle版を含む)「笑う20世紀」には掲載されていないようです。
各話は基本的にシニカルなコメディで、まさに藤井青銅さんらしい内容です。
ただ、官官接待(1995年頃より話題に)、格付け機関(1997年のヤオハンなどの倒産)、フランスワールドカップ(1998年開催)、Vチップ(1999年スタート)、そしてミレニアムネタと、この作品に限っては時事ネタが多く、「干支シリーズ」に似た雰囲気です。

話数 タイトル 主演 格付け 粗筋 一言
1 最後の接待 郷田ほづみ C+ 度重なる不祥事についに官僚の重い腰が上がり、「接待禁止法」が制定されたのだが。 「官僚、官僚」と連呼する辺りで大体のオチは見えてしまった。
2 格付けの位置付け 小椋あずき B+ 学歴、会社、人間関係等すべてが格付けされる社会。彼女が思いついた新事業とは。 格付け対象は本来「業績」ではなく「信用」(=返済能力」)。言葉が足らない。
3 学習効果 小林美江 B+ 日韓W杯を成功に導くため、フランスW杯を調査した。参考になる事案はあったのか? 「つまるところ好景気とはインフレ」。少ない言葉も十分学問的。
4 Gチップ内蔵 橋本潤 B- 料理番組の視聴を制限するFチップ。意外な効果に類似品が流行するが。 Gチップはグルメチップかと思ったら…。第4弾の「ギャグ著作権」を思い出した。
5 100年の恋 今井朋彦 B 気になる同僚がいるが声を掛けられない。そうだ、この「100年の恋ツアー」に参加しよう。 「笑う20世紀」最後の回はミレニアムネタ。綺麗にシリーズが終わったと思いきや…

なお、「笑う20世紀」はこの作品が最後になりますが、世紀末を控えた翌1999年には「笑う世紀末探偵」というタイトルで実質的な続編が制作され、さらに翌々年の2000年以降も「踊る21世紀」というタイトルで暫く続いていくことになります。

ちなみに、上表のとおり本作品は全5話すべて主演している人が異なり、作品全体としての主演は定め難いのですが、NHKクロニクルにおけるキャストの並び順を参考に、本ブログでは一応、今井朋彦さんを全体の主演として表示しています。
また、上記の主演者の方が他の作品に脇役として出演されているほか、福山伸一さん、山本満太さん、布施絵理さんが出演されています。
テーマ曲は前作に引き続きPUFFYの「サーキットの娘」です。

【藤井青銅原作・脚本・脚色の他の作品】
青春アドベンチャーの長い歴史において、最も多くの脚本と最も多くの笑いを提供しているのが脚本家・藤井青銅さんです。こちらに藤井青銅さん関連作の一覧を作成していますので、是非、ご覧ください。

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きりしたん算用記 原作:遠藤寛子(青春アドベンチャー)

作品:きりしたん算用記
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:歴史・時代
初出:2017年5月8日~5月12日(全5回)
原作:遠藤寛子
脚色:今井雅子
演出:藤井靖
主演:大塚千弘

大坂冬の陣から3年。
京の都を、汚い身なりの女の子が歩いていた。
彼女の名は小菊(こぎく)。
年齢は10ばかりだが、大坂の陣で両親を亡くしていた小菊は、奉公していた商家でも盗みの疑いをかけられ戻るところがない。
それなのに、また道端で泥棒との言いがかりをつけられてしまった。
そんな小菊の身を案じる人間が二人だけいた。
「だいうす町」に住む美しいきりしたんの女性ルチア。
そして、京でも豪商・角倉家の一族で、和算を学ぶ吉田与七(よしち)。
小菊とルチア、そして与七が出会うとにより、運命の歯車は回り始める。

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本作品「きりしたん算用記」は、2015年にはアニメ化もされた「算法少女」で有名な遠藤寛子さんの小説を原作とするラジオドラマです。
「算法少女」と同様、「和算」(江戸時代に日本国内で独自に発達した数学)をテーマとしていますが、少女小説・児童文学とされ、主人公が少女である「算法少女」と比較し、PHP研究所から小説として発刊された本作品は、やや大人向けの作品のようです。
そのためか公式ホームページにおけるキャストの並び順は、ルチアを演じる大塚千弘さんがトップになっているのですが、聴いてみての感想としては、渡邉このみさんが演じる小菊が主人公といってもよい作品です。

さて、本作品は江戸時代初期の京都を舞台とした作品です。
青春アドベンチャーで江戸時代を舞台とした作品は「しゃばけ」や「魔岩伝説」などファンタジー要素が強い作品が多いのですが、本作品はそういった要素は一切なし。
風になった男」や「尾張春風伝」と同様、舞台が江戸でないという点で、ちょっと「外した」作品選択ではありますが、基本的にはごくまじめでハッタリ要素の少ない作品です。
ちなみに本作品の演出の藤井靖さんは「1492年のマリア」や「白狐魔記 天草の霧」で、キリスト教がらみの作品を採用しています・
しかし、とにかく終盤に近付くにつれ陰惨な転換になっていった「1492年のマリア」や、キリシタンの首魁・天草四郎を相当に胡散臭く描いた「白狐魔記 天草の霧」に対する反動からか、本作品におけるキリシタンは弱者をいたわるひたすら心優しい人々として描かれています。
ちなみにキリシタンというと私は西国のイメージしかありませんでした。
しかし、考えてみるとフランシスコ・ザビエルが布教のためにまず向かったのが京都。
その後、仏教勢力への対抗の意図もありキリスト教を保護した織田信長が勢力を持っていたのも畿内でした。
その後の弾圧のおひざ元でもあったわけですが、浸透具合からすると隠れキリシタンの集落が残っていても不思議ではありませんね。
しかし、時代背景を考えると、物語は悲劇的な方向へ向かわざるを得ません。
その辺が本作品のメインテーマなのですが…
本作品、全5回とショートサイズの作品です。
ストーリーについてこれ以上書くとほぼネタバレになってしまいますので、この辺でご容赦ください。
ただ、個人的には、この全5回というサイズ、やはり短すぎたのではないかと思います。
物語の縦糸が「キリシタン」だとすると、横糸が「和算」。
ただしストーリーが短すぎてどちらの要素も中途半端に終わったように感じました。
全5回の作品はスケールの大きい作品、構成要素が多い作品には向きません。
タランの白鳥」なども担当されている日高哲英さんの音楽など良い雰囲気もあったのですが…
ちょっと残念です。

さて、出演者についてはまず主役?のルチア(日本名:かよ)を演じたのは大塚千弘さん。
青春アドベンチャー初主演の「海に降る」や出演2作目の「恋愛映画は選ばない」でのやや活発な役どころと違って、本作品のルチアはあくまで穏やか。
どちらかというと「チョウたちの時間」に近いでしょうか。
また、真の(?)主役といってよい小菊は2006年生まれの子役・渡邉このみさんが演じています。
この渡邉このみさん若干10歳ですが、2012年に「八日目の蝉」で史上最年少の日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞(!)しているほか、2015年の「まれ」・2016年の「べっぴんさん」で2年連続して、朝ドラヒロインの幼少期を演じているとか。
本年1月にはNHK-FMのもうひとつのラジオドラマ枠「FMシアター」にも「きみを待つピアノ」で出演済み。
末恐ろしいですね。
一方、江戸時代のロンセラー算用書「塵劫記」(じんこうき)の著者として歴史に名を遺した吉田光由(みつよし)は辻本祐樹さんが演じています。
実在の人物という点では大儒学者・林羅山や名奉行として知られる京都所司代・板倉勝重(「天草の霧」で登場する板倉重昌の父親です)、も登場しているのですが、セリフが多くなく出演者紹介でも出てこないので、どなたが演じているのか確認できませんでした。


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