青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

ぼくらのペレランディア 原作:島田満(アドベンチャーロード)

作品:ぼくらのペレランディア
番組:アドベンチャーロード
格付:A
分類:SF(その他)
初出:1989年7月3日~7月7日(全10回)
原作:島田満
脚色:島田満
音楽:BANANA
演出:角岡正美
主演:丸山匠

人類最後の英雄キャプテン・ポードキンに率いられたアレフ80号が、謎の惑星ペレランディアへ向かう途上で消息を絶ったのは、ぼくが4歳のときのこと。
その後、宇宙開発は急速に萎んでいき、今では冥王星基地すら全面的に閉鎖、宇宙船もほとんど飛んでいない。
人類は地球に引きこもってしまった。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
ぼくは飛びたいんだ。
宇宙の大海原をどこまでも、キャプテン・ポードキンのように。
大人になったら宇宙飛行士になれる?13歳では早すぎる?
でも今の状況では宇宙飛行士になったって宇宙飛行が出来る可能性は僅かだ。
それよりなにより、僕は今すぐにでも飛びたいんだ。

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本作品「ぼくらのペレランディア」は脚本家・島田満さんの小説「ぼくらのペレランディア!」をラジオドラマ化した作品です。
このラジオドラマ版のタイトルに「!」が付いていたかは、放送を聞いただけではわかりません。
いずれどこかの紙ベースの資料で確認したいと思います。
さて、放送を聞いただけという面からいうと、もう1点、不明確なことがあります。
本作品の放送中では「作 島田満」と言っているのですが、この「作」という言い方はNHK-FMの場合、通常、オリジナル脚本の作品に使われます(原作がある場合「原作」という)。
しかし、本作品にはこのラジオドラマが放送される約3年前に発刊された立派な原作小説があるようです。
一方、脚色者は読み上げられていません。
島田満さんはもともと脚本家であり、「五つの魔法の物語」のようにNHK-FMでもラジオドラマの脚本を書いたことがある方ですので、恐らく自らの原作小説をご自身で脚色したのが本作品だと思います。
このようなパターンは本作品のほかにも、「あたしの嫌いな私の声」(成井豊さん)、「愛と青春のサンバイマン」・「笑う20世紀」など(藤井青銅さん)、「昔、火星のあった場所」(北野勇作さん)、「恋愛映画は選ばない」(吉野万理子さん)など結構、例があります。
本作品が原作者による脚色であるという前提で聞いてみると頷ける点があります。
本作品、なかなか脚本が素晴らしいのです。
全5回と、この番組枠としては短めの作品ですが、主人公ダーゼット少年のモノローグを中心に、かなりのスピード感でグングン進んでいきます。
10分番組だったFMアドベンチャー時代を彷彿とさせるテンポの良い構成です。
物語の中盤、第3回のラストで提示される「キャプテン・ポードキンは生きており、しかも密かに地球に帰ってきているのではないか」という謎もなかなかスリリングで、適度なミステリー要素にもなっています。
この第3回は、他の回と違い、劇部分が終わったあと「ぼくらのペレランディア第3回。ではまた明日。」という最低限のナレーションが流れるだけで、出演者紹介などは一切なしでそのままBGMとともにストンと終わるなど、演出もなかなか洒落ています。
そうそうBGMといえば、本作品はアドベンチャーロード時代ではかなり珍しいオリジナルの劇伴が付いた作品であることも好印象の原因かも知れません(作曲家はBANANAさん)。
本作品、主役のダーゼットが13歳であり、彼と共に「宇宙戦士同盟」を結成し古い宇宙船(「ペレランディア号」と命名)を復活させようと奮闘する面々、ビリー、フリル、サボイ、ウンガノボも同級生の少年少女。
ただでさえ姦しい子どもの集団であるうえに、彼らの役に(たぶん)子役を当てていることから演技自体もちょっとたどたどしい。
彼ら声を合わせて叫ぶシーンなどは如何にも児童劇団風でちょっと引いてしまいます。
これらの点で個人的にあまり好きなタイプの作品ではないのですが、脚本の良さが優り、それがあまり気になりませんでした。
小さいところを見ると、例えば修理可能な宇宙船が子どもの行動範囲に放置されていることの不自然さなど、いくつも気になることもあるのですが、全5回では説明不足になるのはある程度やむをえないと思います。
いずれにしろ、さすがご自分の小説の脚色だと思います。

さて、作品のストーリーを全く無視して説明を進めてしまいました。
今更ですが少しだけストーリーの説明をしますと、時代設定は2075年。
ワープ航法の開発により人類は外宇宙への飛躍を約束されたようにみえたのですが、居住可能な惑星の発見に失敗し、一挙にクールダウン。
人類はすっかり宇宙開発を諦めている時代です。
そんな時代にダーゼットたちは少年少女だけで宇宙船を修理しようといます。
そこに現れるウォレスという男性。
最初は単なる管理人と思われたものの、宇宙に関する知識と立ち居振る舞いはとても普通の人間とは思えない。
ダーゼットは彼が消息を絶ったポードキンなのではないかと思うのですが…
ここからは聴いて(読んで)のお楽しみとしましょう。

本作品の出演者は丸山匠さん、北浦義典さん、榊原忠美さん、小川裕二さん、安保信之介さん、桜井さやかさんといったところ。
誰がどの役かさっぱり分からないのですが、並び順からすると丸山匠さんがダーゼットなのでしょう。
個人的にはウォレスを演じていた人の名前が気になる。
ちょっと正宗一正さんにも似たなかなか印象的な声でした。



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せえけつ教育委員会ホイホイ 原作:村田基(青春アドベンチャー)

作品:せえけつ教育委員会ホイホイ
番組:青春アドベンチャー
格付:AA
分類:SF(その他)
初出:1995年2月27日~3月3日(全5回)
原作:村田基
脚色:綾瀬麦彦
音楽:BANANA
演出:佐藤謙
主演:佃典彦

いつの頃からだろう、こんな奇妙な社会になってしまったのは。
環境汚染や世界経済の破綻と言った相次ぐ不幸に見舞われ、誰しもが物質文明の行き詰まりを感じていたのは確かだ。
しかし、不潔にしてさえいれば肉体的にも精神的にも逞しくなれる、などという「不潔思想」はいくら何でも極端な考え方だったはずだ。
それなのに、現実の世の中では、急進的な不潔主義者による不潔革命が成立し、世界は不潔思想で覆われてしまった。
本当に不潔が正しいことなのか。
誰も疑問は持たない。
いや、本当に誰も疑問に思っていないのか、この僕以外は。

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いやー、これは無理かな~
…冒頭から変な調子でスミマセン。
いえね、このブログはNHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」で放送されたラジオドラマ作品について、私の感想を述べるものです。
「私の感想」ですので、当然、私とは違う感想の方がいるのも当たり前、という気持ちでは書いているのですが、そうはいっても、格付けをするということは一種の「おススメ」をしているのと同じです。
だから、皆さんが同じ感想を持ってくれるんじゃないかな、と思いつつ書いているのも事実なのですが…
この作品への共感は得られないかも知れない。
この作品を評価しちゃう人って少ないかも知れない。
そんな気持ちを持ってしまった作品でした。

分類としては、一種のディストピア(反ユートピア)ものです。
青春アドベンチャーでは「狩人たち」(1999年)、「愛のふりかけ」(2000年)などでおなじみのテーマ。
主人公たちが徐々にディストピアであることに気づいていく作品類型、例えば「テレヴィジョン・シティ」(1993年)、「僕たちの宇宙船」(2013年)、「ニコルの塔」(2015年)まで含めれば、青春アドベンチャーの一大勢力といえるかも知れません。
しかし、これらの作品群の中でも本作品は特に異彩を放っている作品です。

まずは、なんと言ってもやたらと汚物の話が出てくること。
テーマが「不潔革命」ですので仕方がないのですが、とにかく、序盤から終盤まで「糞便」とか、「残飯」とか、「汚れた洗濯物」とか、「フロに入らない」とか、そんなネタのオンパレードです。
サウンド・ドライブ」(2005年)に「天使のおなら」というやたらとおならの音が鳴り響く怪作がありましたが、それに匹敵する汚れっぷりです。
ただ、本作品が人を選ぶのは必ずしもそれだけではありません。

大げさなセリフと奇天烈な用語、意外なのかよくわからないストーリー展開と笑っていいのか微妙なギャグ。
そういったものが、BANANAさんの作った妙にエスニックぽい音楽を相まって、妙なおかしみと悲しみ、あるいは馬鹿馬鹿しさと感動、に昇華しています。
…昇華していると感じるのですが、そう感じるのは私だけ?とも思わずにもいられません。
困った作品です。

さて、本作品の主役であり、やむにやまれぬ状況で「カクレきれい好き」一統に加わってしまう平助を演じるのは劇作家・俳優の佃典彦さん。
佃さんは「カバが棲んでいる」(2013年の「新・動物園物語」のうちの一編)やアドベンチャーロード時代の「ロスト・タイム」(1990年)の脚本を担当される一方で、本作品と「新・夢十夜」(1996年)では主演を張っています。
丸尾聡さんや北村想さんなど、ドラマに出演する脚本家さんは意外と多いのですが、脚本と主演の双方で青春アドベンチャーにタッチしているのは、青春アドベンチャー20年以上の歴史の中でも、佃さん以外では、前田悠衣さん(主演「五番目のサリー」など、脚色「優しすぎて怖い」など)や中江有里さん(主演「私の告白」、脚色「インテリア・ライフ」など)くらいでしょうか。
その他、平助の妻の道子役を塚本辰子さんが、「カクレきれい好き」メンバーを内田藍子さん(シズ)、木村庄之助さん(禎吉)、小林正和さん(野崎)が、そして敵役の小暮を火田詮子さんが演じています。

スタッフ関係では、本作品は後に「封神演義」を脚色することとなる綾瀬麦彦さんの青春アドベンチャーデビュー作が本作になります。
また、本作品は名古屋局の制作ですので、演出の佐藤謙さんを始め、本局とはひと味違ったスタッフ陣です。
そういえば、確かに名古屋局らしいアンニュイな雰囲気の作品です。

ここまで書いておきながら、原作について書くのを忘れていました。
原作はその名も「不潔革命」。
著者はSF作家の村田基さん。
この原作本は短編集で、その表題作が「せえけつ教育委員会ホイホイ」という名前でラジオドラマ化されたもののようです。

さて、お勧めすべきか否か、今でも迷っている本作品。
一見、不潔革命を揶揄しつつ、本当は清潔ばかりを追い求めている現代社会をこそ皮肉っているのかなあ、とも思うのですが、深読みしすぎかも知れません。
何はともあれ、もしご興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、是非、機会を見つけて聴いてみて下さい。
最後にひとつだけ。
私は「そういう」趣味はありませんよ。



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