青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

きりしたん算用記 原作:遠藤寛子(青春アドベンチャー)

作品:きりしたん算用記
番組:青春アドベンチャー
格付:B
分類:歴史・時代
初出:2017年5月8日~5月12日(全5回)
原作:遠藤寛子
脚色:今井雅子
演出:藤井靖
主演:大塚千弘

大坂冬の陣から3年。
京の都を、汚い身なりの女の子が歩いていた。
彼女の名は小菊(こぎく)。
年齢は10ばかりだが、大坂の陣で両親を亡くしていた小菊は、奉公していた商家でも盗みの疑いをかけられ戻るところがない。
それなのに、また道端で泥棒との言いがかりをつけられてしまった。
そんな小菊の身を案じる人間が二人だけいた。
「だいうす町」に住む美しいきりしたんの女性ルチア。
そして、京でも豪商・角倉家の一族で、和算を学ぶ吉田与七(よしち)。
小菊とルチア、そして与七が出会うとにより、運命の歯車は回り始める。

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本作品「きりしたん算用記」は、2015年にはアニメ化もされた「算法少女」で有名な遠藤寛子さんの小説を原作とするラジオドラマです。
「算法少女」と同様、「和算」(江戸時代に日本国内で独自に発達した数学)をテーマとしていますが、少女小説・児童文学とされ、主人公が少女である「算法少女」と比較し、PHP研究所から小説として発刊された本作品は、やや大人向けの作品のようです。
そのためか公式ホームページにおけるキャストの並び順は、ルチアを演じる大塚千弘さんがトップになっているのですが、聴いてみての感想としては、渡邉このみさんが演じる小菊が主人公といってもよい作品です。

さて、本作品は江戸時代初期の京都を舞台とした作品です。
青春アドベンチャーで江戸時代を舞台とした作品は「しゃばけ」や「魔岩伝説」などファンタジー要素が強い作品が多いのですが、本作品はそういった要素は一切なし。
風になった男」や「尾張春風伝」と同様、舞台が江戸でないという点で、ちょっと「外した」作品選択ではありますが、基本的にはごくまじめでハッタリ要素の少ない作品です。
ちなみに本作品の演出の藤井靖さんは「1492年のマリア」や「白狐魔記 天草の霧」で、キリスト教がらみの作品を採用しています・
しかし、とにかく終盤に近付くにつれ陰惨な転換になっていった「1492年のマリア」や、キリシタンの首魁・天草四郎を相当に胡散臭く描いた「白狐魔記 天草の霧」に対する反動からか、本作品におけるキリシタンは弱者をいたわるひたすら心優しい人々として描かれています。
ちなみにキリシタンというと私は西国のイメージしかありませんでした。
しかし、考えてみるとフランシスコ・ザビエルが布教のためにまず向かったのが京都。
その後、仏教勢力への対抗の意図もありキリスト教を保護した織田信長が勢力を持っていたのも畿内でした。
その後の弾圧のおひざ元でもあったわけですが、浸透具合からすると隠れキリシタンの集落が残っていても不思議ではありませんね。
しかし、時代背景を考えると、物語は悲劇的な方向へ向かわざるを得ません。
その辺が本作品のメインテーマなのですが…
本作品、全5回とショートサイズの作品です。
ストーリーについてこれ以上書くとほぼネタバレになってしまいますので、この辺でご容赦ください。
ただ、個人的には、この全5回というサイズ、やはり短すぎたのではないかと思います。
物語の縦糸が「キリシタン」だとすると、横糸が「和算」。
ただしストーリーが短すぎてどちらの要素も中途半端に終わったように感じました。
全5回の作品はスケールの大きい作品、構成要素が多い作品には向きません。
タランの白鳥」なども担当されている日高哲英さんの音楽など良い雰囲気もあったのですが…
ちょっと残念です。

さて、出演者についてはまず主役?のルチア(日本名:かよ)を演じたのは大塚千弘さん。
青春アドベンチャー初主演の「海に降る」や出演2作目の「恋愛映画は選ばない」でのやや活発な役どころと違って、本作品のルチアはあくまで穏やか。
どちらかというと「チョウたちの時間」に近いでしょうか。
また、真の(?)主役といってよい小菊は2006年生まれの子役・渡邉このみさんが演じています。
この渡邉このみさん若干10歳ですが、2012年に「八日目の蝉」で史上最年少の日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞(!)しているほか、2015年の「まれ」・2016年の「べっぴんさん」で2年連続して、朝ドラヒロインの幼少期を演じているとか。
本年1月にはNHK-FMのもうひとつのラジオドラマ枠「FMシアター」にも「きみを待つピアノ」で出演済み。
末恐ろしいですね。
一方、江戸時代のロンセラー算用書「塵劫記」(じんこうき)の著者として歴史に名を遺した吉田光由(みつよし)は辻本祐樹さんが演じています。
実在の人物という点では大儒学者・林羅山や名奉行として知られる京都所司代・板倉勝重(「天草の霧」で登場する板倉重昌の父親です)、も登場しているのですが、セリフが多くなく出演者紹介でも出てこないので、どなたが演じているのか確認できませんでした。


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ベルサイユのばら外伝 原作:池田理代子(青春アドベンチャー)

作品:ベルサイユのばら外伝
番組:青春アドベンチャー
格付:B-
分類:歴史時代
初出:1992年11月9日~11月20日(全10回)
原作:池田理代子
脚色:高取英
演出:川口泰典
主演:前田悠衣

女性ながら王太子妃付きの近衛士官を務めるオスカル・フランソワ・ド・シャルジェのもとに、一番上の姉の娘であるル・ルーが行儀見習いにやってきた。
しかし、この少女、男勝りと言われたオスカルが驚くほどの、お転婆。
洞察力が鋭くて行動力があり、小生意気ですばしっこいが、幼稚で泣き虫。
この少女が巻き起こす様々な事件のせいで、オスカルも、彼女の従卒のアンドレも右往左往。
はてさて、次はどんな事件が起こりますことやら。

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「ベルサイユのばら」といえば、漫画家・池田理代子さんの代表作。
しかし、それ以上に宝塚歌劇団の代表的な演目として知られています。
「あ~い~、それは~気高く~」というやつです。
今でこそあらゆる分野から原作を持ってくる悪食な宝塚歌劇団ですが、意外なことに1974年の「ベルサイユのばら」初演当時には「漫画が原作ではだめだ」との意見もあったそうです。
まさに宝塚歌劇団の歴史を変えた一作であったともいえると思います。

本作品「ベルサイユのばら外伝」の原作は、1984年~1985年に掛けて「月刊Jam」に連載された同じ池田理代子さんによる漫画作品です。
ちなみに2008年に宝塚歌劇団向けに池田理代子さんが書き下ろした「外伝ベルサイユのばら」は全くの別作品です。
本作品の設定は「ベルサイユのばら」本編とほぼ同じで、本編の主役ペアであるオスカルとアンドレ、そしてマリー・アントワネットも主要登場人物として登場します。
しかし主人公はオスカルの姪の少女(というか幼女)ル・ルーであり、事件が始まるたびにオスカルとアンドレがル・ルーに振り回されるコメディミステリー的な作品です。
とにかくこの作品の魅力はル・ルーの魅力とも言い換えてもよいと思います。
オスカルが持ち前の行動力でつかんでくる真実をル・ルーは推理だけで洞察してしまいます。
また、行動力もなかなかのもので、アンドレが「お転婆っているのはオスカルみたいのを言うのだと思っていたが、まだ上がいた」と漏らすほどです。
でも作中で何度も迷子になるなど、あくまで幼女なのがポイント。
結局、アンドレとオスカルを加えた3人が良いトリオになって物語は解決に向かいます。
3人が巻き込まれるのは以下の3つの事件。

タイトル 内容
ル・ルーと、いっしょに来た人形 第1回~第3回 オスカルの家に来る途中で勝手に馬車を下りてしまったル・ル―。ひょんなことから、ある人形を拾うのだが…
トルコの海賊と修道女 第4回~第7回 川を流れてきたトランクから見つかった女の手首。それが修道院を舞台した事件の始まりだった。
悪魔のくすり 第8回~第10回 パリで急に有名なったエベーラという名前の女祈祷師。彼女の作る薬は万能である上に運勢まで良くなるというのだか…

原作ではこのほか、「ジェルジェ将軍の息子あらわる!?」という話があるようですが、残念ながらこのラジオドラマでは省略されています。
そのせいかわかりませんが、「ル・ルーと、いっしょに来た人形」でこれ見よがしに出てきた「泥棒貴族デュフレ一族」がその後出てこなかったのは意外でした。

さて、本作品を演出した川口泰典さんは、自身の演出作品で宝塚出身の女優さんを多用していたのが特徴だった方。
その演出意図を「今日は一日ラジオドラマ三昧」では「派手な演技がさまになる」からと説明されていましたが、正直なところ単に川口さんが宝塚好きだったのではないかというようにも感じます。
本作品のキャスティングも当然のように全員元宝塚の女優さん。
いうまでもなく男性の役も女性が演じる宝塚方式です。
せっかくなら、生歌を披露していただいても良かったのではないかと思いますが、歌の部分はどうも既存の音源を利用されているようです。

さて、具体的なキャストを紹介しますと、まず主役のル・ルー役が青春アドベンチャーではお馴染みの前田悠衣さん。
わたしは真悟」、「ジュラシック・パーク」、「霧隠れ雲隠れ」など、前田さんの幼女(または少女)役は青春アドベンチャーの一つの様式美といっても過言ではないでしょう。
また、準主役のオスカルとアンドレは、「あずみれいか」さんと瀬川佳英さん。
また、マリー・アントワネットは元花組トップ娘役の秋篠美帆さん。
その他、毬藻えりさん、桂紫緒里さん、なかいおりさん、紘美雪さん、蘭このみさん、珠みゆきさん、 郷真由加さんといったところ。
語り(ナレーション)はこの方々が交互に担当されていますが、本編ではほとんどナレーションがない脚本なのでナレーションの存在感はありません(セリフでの状況説明が多いのがやや気になる…)。
実は私のような素人は、宝塚歌劇団は年中、ベルばらをやっているようなイメージがあったのですが、調べてみると本公演に限れば公演回数は意外と少ない。
本作品が制作された1992年までの間だと、 本公演に限れば約20年間で9回だけです。
宝塚歌劇団が4つの組(当時)に分かれていることを考えると、1度もベルサイユのばらの主要キャストを担当せずに退団される方も多いわけです。
実際、本作品のキャストでは、毬藻えりさんが1989年星組公演のマリー・アントワネット役をやっている程度です。
ひょっとしたら、この作品は、そんな本公演でベルばらに縁のなかった方々への川口泰典さんからのプレゼントなのかもしれません。


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