青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

夢にも思わない 原作:宮部みゆき(青春アドベンチャー)

作品:夢にも思わない
番組:青春アドベンチャー
格付:AA
分類:推理
初出:1999年10月6日~10月17日(全10回)
原作:宮部みゆき
脚色:岡本螢
演出:松本順
主演:吉田亮

毎年、近所の白河庭園で開かれる「虫聞き(むしきき)の会」。
その会場で同級生の工藤久美子が殺された。
しかも、死体の身元を確認したのは、この僕、緒方雅男だ。
偶然ではない。
工藤さんが家族で虫聞きの会に行くのは本人から聞いていた。
淡い思いを胸に、会場で工藤さんに会えることを期待して行ってみたのだ。
それがまさか死体に対面することになるとは。
しかも死んだ工藤さんは、濃い化粧に、派手なスカート、高いヒールの靴。
いつも学校で見るのとは全く違う格好をしていた。
一体、何が起こっているのか。
僕はクールな親友の島崎とともに謎を追い始めるのだが。

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本作品「夢にも思わない」は、「緒方雅男&島崎俊彦」の高校生コンビが探偵役を務めるシリーズの第2弾のラジオドラマで、ミステリ-作家・宮部みゆきさんの小説を原作としています。
1998年に第1弾「今夜は眠れない」が青春アドベンチャーでラジオドラマ化されており、ほぼその1年後にこの第2弾が放送されました。

シリーズ第2作ということで、主役コンビのほか前作の登場人物も多数登場。
もちろん配役にも変わりはなく、雅男役の吉田亮さん、島崎役の笠原秀幸さんを始めとして、「雅男の母親」役の奈良富士子さんや「田村警部」役の石田太郎さん、そしてナレーション(数年後の雅男)の伊崎充則さんも続投です。
ただし、「雅男の父親」役の平泉成さんは出演されない、というか、そもそもこのラジオドラマでは父親の登場シーン自体がありません。
というのも、前作が「父親母親世代(大人)の世界の事件を雅男たち(子ども)が探る」内容であったのに対して、本作は「同級生(中学生)の世界の事件を雅男たち(中学生)が探る」作品です。
両作品とも、本職の探偵がバリバリと推理していく本格推理ではなく、日常生活の裏側に隠されたちょっとした秘密を巡るエモーショナルな作品です。
例えば本作品における事件の解決を「犯人の特定」と定義づけるならば、それは前半5回で終わってしまいます。
しかも犯人を特定するのは警察であって雅男たちではありません。
しかし、その裏に隠された「事情」を探っていくのが後半5回の内容になります。
このことからもわかるように、事件を通して「大人の世界」を知ることによる雅男たちが成長していく姿を描くことこそが本シリーズの内容であり、魅力です。
そして、この点では両作品とも同じなのですが、両作品には違いもあります。
それは、前作では雅男たちはあくまで探偵役で、心に秘めた思いを持っているのはあくまで両親世代であったのに対して、本作品「夢にも思わない」では雅男たちは探偵役であると同時に事件の当事者であること。
雅男の両親にとって青春時代は過去のものであるのに対して、雅男にとってはこれから震えながら向き合わなければいけない将来のこと。
以上の性格の違いから両作品の雰囲気は意外と違い、好き嫌いは人によって分かれるところでしょうが、私は本作品の方が気に入りました。
ちょっとしたアクションシーンもあったりしてアクティブですしね。
それに私、前作の「真犯人」の動機があまり好きではなかったこともあります。
あれに深い決意と思いを感じる人もいるでしょうが、いい年した大人がノスタルジーに浸るために周りを巻き込みすぎです。
まあ、本作品の雅男の最後の決断もあまりすっきりするものではなかったのですが、まあわかるよ、雅男…

何はともあれ、以上の状況から、前作では準主役と言って良かった雅男の両親は本作では、事件の謎に直接絡まない脇役に過ぎなくなっています。


さて、主な出演者はすでに書いてしまいましたが、その他に敢えて書くなら、ヒロインの工藤久美子役の渡部智美さんと、その親友の伊達宏美役の南里侑香さんといったあたりでしょうか。
ヒロイン?が小学生、その他の主な女性登場人物が中年女性ばっかりだった前作とはやはりだいぶ違いますね。

スタッフについては、後に制作統括として青春アドベンチャーを支えることになる松本順さんと、ラジオドラマではお馴染みの脚本家・岡本蛍さん。
岡本さんは高畑勲さん監督でアニメ化された「おもひでぽろぽろ」の原作者でもあります。
なお、宮部みゆきさん原作の3作品のうち、本作品と「今夜は眠れない」は松本さんの演出ですが、「蒲生邸事件」は佐々木正之さんの手で青春アドベンチャー化されてます。
なお、宮部さんは2シリーズ・3作品が青春アドベンチャーで取り上げられているのですが、これは比較的レアな部類に入ります。




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今夜は眠れない 原作:宮部みゆき(青春アドベンチャー)

作品:今夜は眠れない
番組:青春アドベンチャー
格付:A+
分類:推理
初出:1996年12月2日~12月13日(全10回)
原作:宮部みゆき
脚色:岡本螢
演出:松本順
主演:吉田亮

母さんが突然、5億円の相続人になった。
20年前にたった一度、命を助けた人物、20年間存在すら忘れていた男から遺産を譲られたのだという。
そして騒動が始まった。
どこで聞きつけたのかわからない様々な人からの寄付を求める電話が鳴りやまない。
外の女と不倫をしていた父さんは、自分のことを棚に上げて母さんにその男との関係を詰問し始めた。
もう家族はバラバラだ。
そして僕たちの周りに現れる不審な人物。
そん中、ついに事件は起こったのだった。

――――――――――――――――――――――――――

人気作家・宮部みゆきさんによる、中学1年生の二人組を主人公したミステリー作品を原作とするラジオドラマです。
宮部みゆきさんの作品は、この「今夜は眠れない」のほか、「夢にも思わない」と「蒲生邸事件」が青春アドベンチャーでラジオドラマになっています。
このうち「今夜は眠れない」と「夢にも思わない」は、主人公の雅男とそのクールな親友の島崎のふたりが探偵役となるシリーズです。
本作品、今、「探偵役」と書きましたし、冒頭のジャンル分類でも「推理」とはしました。
たしかに、伝説の相場師といわれた男がなぜ、20年前に会ったきりの女性に遺産を残したのか、そして終盤に発生する「事件」の犯人は誰なのかを探すという点でミステリーではあります。
しかし、主人公の雅男は最終盤までほとんど事件の真相に届けていませんし、島崎君はある程度の真相を推理で来ていたようですが、積極的に犯人を追及することはなく、いわるゆる推理ものとは少し趣の違う作品です。
そもそも、この作品にも敢えて言えば「犯人」といえる人物はいますが、「犯罪者」と言ってよいかは微妙なところですし、「被害者」もいなかったといってよいかもしれません。
また、最終回で明らかになる「真犯人」も主人公たちが解き明かしたというより、ある登場人物に教えてもらったというのが正直なところ。
これについては「真犯人」の名前を書くとネタバレになってしまうので、あまり詳しくは書けないのですが、正直、いささか唐突ではないかと感じました。
ただ、人間ドラマとしてはこの「真犯人」である意味があるのだと思います。
そういう意味でも本作品は、コテコテの推理ものというより、一種のサスペンスドラマ、それもアクションやホラー要素抜きの人情系サスペンスとして聴いた方が良い作品だと思います。

出演者は、主人公の雅男役を俳優の吉田亮さんが演じています。
この作品の時点では俳優というより「子役」という感じでしょうか。
この作品は1996年のアトランタオリンピック開催時点の雅男が、4年前、バルセロナオリンピック開催ごろに起きた事件を回想する形式で作られています。
そのため、1996年時点の雅男がナレーションをする形になっており、この「もう一人の雅男」は俳優の伊崎充則さんが演じていらっしゃいます。
ちなみに、本作品が放送されたのも1996年。
この記事をアップした2016年8月にはリオオリンピックがまさに開催中です。
作品中で、実際の実況が流れる「マイアミの奇跡」から20年が経過し、オリンピックの回数にして5回目が開催されているなんて時間が経つのは早いものです。

また、雅男の両親を演じるのは、奈良富士子さんと平泉成さん。
奈良さん演じる雅男の母は、本作品における準主人公と言ってよいほど重要な役です。
また、事件の捜査に当たる田村警部を石田太郎さんが演じているのですが、平泉成さんと石田太郎さんがお二人とも地声が低いので最初、少し混乱してしまいました。
その他、島崎を演じた笠原秀幸さんや、マダムアクアリウムを演じた高林由紀子さんといったところが、主要な出演者。
高林由紀子さん演じるマダムアクアリウムは出演場面は少ないのですが、高林さんが「アルバイト探偵」、「おいしいコーヒーのいれ方」、「分身」など当時、NHK-FMのラジオドラマで重用されていたことを考えると重要な役どころであることがばればれの配役ではありました。

最後に一言。
本作品、冒頭に弁護士が現れて緒方家の家族3人に対して、母親が5億円の相続人になったことを伝えます。
最初にこれを聴いた時に私は「弁護士さん、いきなり家族に言うのではなくて、まずはこっそり本人(=母親)に言わなきゃダメでしょう」と思ったのですが、最後まで聞いてみると、これはひょっとして伏線だったのではないと思うようになりました。
……ネタバレになりそうなので、この辺にしましょう。



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